7月号の目玉企画は、『【世界卓球2015】蘇州大会〈個人戦〉』。
今月号の半分を占める超ボリューミーなこの大特集は、試合の分析、日本代表選手へのインタビュー、大会の舞台裏の話、などなど、世界卓球を色々な角度からもう一度楽しめるお得な内容である。
読むだけであの興奮がよみがえりましたよ、ほんと。
世界卓球の余韻にいまだ浸っていた私であったが、この特集を読んで「世界卓球がやっと終わった」と一区切りつきました。
ここ一ヶ月幸せだったなぁ…。
で、今月号で私が個人的に注目したのは、“チキータ対策について”である。
現代卓球に必須の技術となったチキータをどのように攻略すればいいのか、そのヒントを得られる記事がいくつかあったわけですよ。
まず「世界のトップサービス in 蘇洲 Vol.1」から、世界卓球でチャンピオンとなった馬龍の技術を紹介。
シンプルなサービスから相手のチキータを狙い打つ
馬龍のサービスはとにかくシンプルで、回転の種類も決して多くないし、モーションも複雑ではない。一見、怖さのないサービスに見えてしまうが、シンプルなサービスには、相手のレシーブを単純にできるというメリットがある。一方、複雑なサービスは、複雑なレシーブが来てしまうため3球目が待ちにくいデメリットがあるのだ。
特にチキータというレシーブ技術が主流になった現代では、サービスにおける回転の変化は以前ほどの効果はなく、どんな回転でもチキータで狙い打たれてしまう。そこで馬龍はサービスの種類を限定させ、低さと長さを正確にコントロールすることで、相手のレシーブも限定させる戦術を用いている。相手がストップをすればより厳しいダブルストップで対応し、相手かチキータなどの長いレシーブをすればそれを両ハンドて狙い打つ。予想されるパターンが絞られ、迷いなく臨めることで、3球目の決定力がさらに高まっていく。
またチキータが流行し始めた当初は、「いかにしてチキータをさせないか」がサービスの大きなポイントだったが、結局はチキータを完全に封じるというのは非常に難しく、現在は相手にチキータをさせて、3球目で狙い打ちする戦術が増えてきている。そういう面でも多彩なサービスを駆使するのではなく、シンプルなサービスを出しておいたほうが3球目で狙い打ちやすくなるのだ。
(後略)
そしてもう1つは、「吉田海偉の卓球 鬼のペンドラVol.3」の中で紹介されている≪対シェークのカギとなるチキータ対策≫から。
見せ球で恐怖心を植え付ける
シェークのバック前にサービスを出すと、近年はチキータで返されることが多くなりました。つまり、今はチキータを狙い打つ3球目を練習しないと、サービスを持っても得点しにくくなっています。
下の連続写真のパターンは、ショートサービスをチキータで打たれたボールに対して回り込み、3球目ドライブで狙っています。これはチキータ対策の理想のパターンですが、まずはこのパターンに相手を引きずり込む準備が必要です。
はっきり言って、ペンの選手はシェークにチキータを打たれるとかなり厳しいでしょう。回転量のあるチキータを様々なコースに打ち込まれると、すべてを3球目攻撃で狙い打つことは不可能です。だからこそ、私は相手との心理戦に持ち込みます。私の場合、試合の序盤でチキータに対してすぐに回り込んで狙い打ち、相手への「見せ球」にします。まずは「チキータは狙い打つよ」と相手に思わせて、チキータは打たれてしまうという恐怖心を植え付けるのです。
チキータレシーブが主流となった今では、サービスを持ったほうが有利とは言えなくなっており、チキータをされることを前提にサービスを出さなければならない。
よって、チキータをさせておいてからの3球目攻撃がとても重要な技術となる。
馬龍は、シンプルなサービスを出すことによって相手のレシーブもシンプルにするという戦術でチキータを狙い打ちする。
中国選手と言えばサービスがうまいという印象があるが、3球目を狙うためにあえて複雑なサーブを出さずにチキータに対抗しようという戦術だ。
吉田海偉選手のほうは、試合の序盤で一発ガツンとチキータを回り込んで打っておくことで、「やべえ!チキータは打たれちゃうよ!」とビビらせる戦術である。
フォアハンド主体のペンドラ選手にはこうした“ハッタリ”も必要だということですな。
蘇洲の世界選手権では、中国選手のチキータのうまさに磨きがかかっていたが、同時にチキータをされたときの3球目攻撃も凄かった。
チキータは、自分が仕掛けるのもやられたときの返し技も両方できなければ、世界どころか、中学生レベルでも通用しないという日が来るだろう。
もはや「チキータ&チキータ対策」は小さい頃からの練習が必須。
そのためにぜひ参考にしてもらいたい記事である。
ちなみに鬼のペンドラではもう1つチキータ対策を紹介しているので、それは読んで確認してくださいませ。
それではまた!
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