熱血親父が書いた『多球練習』の専門書!

本日ご紹介する書籍はコチラ

渡辺勝男著:『差がつく練習法 卓球 渡辺勝男式多球練習』

 

卓球 渡辺勝男式多球練習 (差がつく練習法)
渡辺 勝男
ベースボールマガジン社
2015-06

 

 

先日、偶然発見して手に取ったこちらの本、なんと「多球練習」に特化した珍しい本なのです。

発売ホヤホヤの本書の著者は、丸善クラブの監督の渡辺勝男さんという方で、愛称は『熱血親父』だそうです。

東京の八王子にある丸善卓球センターで活動しているクラブだそうだが、東京の卓球人にはお馴染みの方なんでしょうね、渡辺さん。

【渡辺さんプロフィール】
1943年生まれ、東京都出身。小学校時代に卓球をはじめ、高校まで卓球部に所属する。高校卒業後も実業団でプレーした後、35歳から本格的に子どもたちへの指導を開始。全国ホープスでの2度の優勝など、教え子が好成績を挙げている。さまざまなパターンの多球練習を独自に作成し、すぐに勝つ卓球ではなく、子どもたちの将来を考えた指導をモットーとしている。愛称は「熱血親父」。

本書には、渡辺さんが長年かけて生み出した多くの多球練習が、渡辺さんの情熱的な言葉で紹介されている。

何がすごいって渡辺さん、とにかくの多球練習への「愛情と信頼」がハンパないのである。

なぜ、私が多球練習に重きを置くかというと、特に卓球をはじめたばかりの幼少期には、感覚的な部分がすごく大切になるため、ボールをたくさん打たせることが大事だと考えるからです。そこで、1本打ってはボールを拾って・・・・・・とやっていたのでは効率が悪く、卓球に必要なリズムも養うことができません。多球練習であれば、ミスをしても練習を続けることができ、卓球に必要な技術やリズムをしっかりと覚えていくことができます。
(はじめにより抜粋)


70歳を超えてらっしゃるようだが、丸善クラブで行う多球練習では、すべて渡辺さんが球出しをしているとのこと。
それは、選手同士でやらせると安定して良い球が出せないという理由の他に、「球出しをしながら練習している選手を見たい」という目的があるそうだ。つまり選手同士の多球練習ではお互いにアドバイスをすることはなかなか難しく、「ただボールを出すだけの多球練習には意味がない」というのだ。

渡辺さん曰く『多球練習の球出しとは、球を出すのではなく、球を出しながら教えるものだと思います。』

う~ん、深い。

で、私がめちゃ驚いたのは、渡辺さんの指導法は、「多球練習」と「ゲーム練習(試合)」だけ、ということ。

つまり「一球練習」はなし!っつうこと。

また、私が1本打ちで指導をしないのは、卓球の幅が狭くなってしまうから、という理由があります。1本打ちでは、続けてボールを打たないために限られた技術しか身につけられませんが、多球練習ならば、どんな技術も練習することが可能です。どこからでも打てる、どこへでも打てるというのが、私の理想のため、技術の範囲が狭い1本打ちは行っていません。多球練習を通じて、より実践に役立つ卓球を教えてあげてください。
(32ページより抜粋)


え!? マジ?

驚いた私はちょっこし調べた。すると丸善クラブのサイトに渡辺さんのこんなコメントが載っていた。

私が34年間、自分で考えてじっくり育てて来たシェークハンド両ハンド攻撃選手のための基本技術は、多球練習とゲーム練習の2通りのみの指導をすることで選手たちは練習が楽しくなったりゲーム練習がおもしろくなって来て、卓球に対する想いが強くなって夢中で練習に励むようになるんです。(後略)
(出典:http://www.maruzenclub.com/staff/


やはり間違いないようだ。

一球練習を一切やらないクラブや学校って他にあるんだろうか? 私は聞いたことがない。

でもこの指導法で全国チャンピオンを多数輩出しているのだからお見事というほかない。

もう渡辺さんはどこまでも「多球練習ラブ」「多球練習至上主義」「多球練習のためなら卓球をやめてもいい」人なのである。

もはや「多球練習教の教祖様」と言っても過言ではない。

つまり、本書はその教えのすべてが詰まった『経典』なのである。

 

丸善クラブには9つのコースがあり、選手それぞれに合った多球練習が用意されていて、そのすべてが掲載されているのが本書。

初級者も上級者も、本書を参考にすれば、無駄のない効率的な多球練習をすることができるだろう。

多球練習のやり方がいまいちわからないとお悩みの選手・指導者の方には、ひとまず多球練習教の信者となることをおススメします。

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