強いペン選手を生み出す“百花放斉”とう考え方


近年、ペンホルダー選手はめっきり少なくなっているが、最強卓球帝国の中国ではコンスタントに強いペン選手を排出している。
 
そこには様々な要因があると思うが、その1つに「規定を作る」ことが挙げられるのではないだろうか。
 
ここで、1992年に中国国内で行われた「全中国選手権大会」について書かれた記事を、TSPトピックスの1993年1月号から引用します。
   オリンピック後の中国国内のビッグトーナメントとして「全中国選手権大会」が10月21日から28日まで、広東省中山市で行われた。(中略)
今回の大会から男子のチーム戦の3人の中に必ずペンホルダーの選手(表ソフトでも裏ソフトでもよい)を入れなければいけない、という規定が義務づけられたとのこと。これは近年中国でもシェークハンドが増えており、これについてヨーロッパのあとをついていくのはよくない、もう一度昔のように“百花斉放”つまりいろんな花、打法を咲かせていこう、という考えが出てきたことを示している。また、ペンでも世界で勝てることを強調している。中国は今まで、世界の流れを見ながらチーム(3人)の中にカットマンを一人入れる、ペンの表ソフト速攻型選手を入れるという規定を作ってきたが、新しい方策を久しぶりに打ち出してきた。
 
 
全中国選手権大会というビッグな大会においてこうした規定を設けることで、トップレベルでのペン選手の成長を促そうとしたわけである。
 
馬琳、王皓、許昕など、ペンのスター選手たちの出現には、こうした規定が作られたことが少なからず影響を与えたのかもしれない。
(中国には世界の舞台に出てきてはいないが実力は一級品というペン選手も多い)。
 
選手人口の多い中国だからこそいろんな選手が出てくるというのもあるかもしれないが「ペン選手を必ず入れる」といった規定を作るなどの工夫や、危機意識の持ち方が他国と決定的に違うのだろうと思う。

 

日本でも昔は学生の大会では団体戦で1人はペン選手を入れなければいけないというルールがあったようだ。
 
この規定は確かにペン選手を生み出す効果はあるのかもしれないが、学生を対象にすると、団体戦のために指導者が無理やりペン選手を作るといった弊害も出てくるのではないだろうか。
 
ペンをやりたいと思っていない選手(小中学生)に「ペンをやれ」と押し付けるようなことが起こる可能性はいなめない。

 

「ペン選手には協会から補助金を出します」という方策であれば、
ペンやりまーす!(アムロレイ風)という選手も現れるかもしれないが、それはさすがに健全なやり方ではない。
 

「ペン選手を必ず入れる」という規定を設けるとしたら、学生を対象にするのではなく、トップレベルの選手達が集うようなハイレベルな大会でのみ採用するのがいいのではないかと思う。

日本にも百花斉放、いろいろな花が咲き乱れてほしいものである。

4 件のコメント

  • 中国本当にずっと昔からペンがハイレベルですね
    裏面を作ったのも中国ですしサイドスピンショートも中国人選手が好んで使います
    ペンは日本では大きく分けて前陣速攻型、ペンドラ型、ペン粒ブロックマン型に別れサイドスピンショートはあまり教えられません
    そんな事するなら周りこんでドライブしろがほとんどです

    • つばきさん
      日本では「オールフォア文化」が長く続いてきましたからね。
      ペンならもっと柔軟な考え方で多彩な卓球を目指すのが良いと思いますね。

      いろんなことに手を出してどれも中途半端になったら本末転倒ですが・・(何を隠そう、それは私です)。

  • 只一つのことだけを鍛える、つまりオールフォアで打つのか逆にバックでブロックだけで返して失点で点をかせぐかですがどちらも厳しいです
    オールフォアだと周りこんでカウンターされてしまいます
    ブロックだけだとサンドバックになります
    どちらもリスクが高いわりにこちらは旨味が無く点が取り辛いです
    なら両立するべきです
    ペン特有の技術も取り入れた方が良いでしょう
    勿論記事主がしたい事は違うかも知れないので参考に

    • つばきさん
      まさにそのバランスの良さが私の目指す卓球です。
      オールフォアと鉄壁ブロック、どちらかだけでも勝てませんからね。

      私はブロックだけはカッチカチなので、あとはいかにフォア攻撃の割合を増やしていくかが課題です。
      (そこにペンならではの技術を取り入れながら)

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