『卓球 練習革命』 監修:偉関晴光


卓球練習革命
卓球王国
2014-11


本日ご紹介するのは、偉関晴光さん監修の『卓球 練習革命』。

中国出身の偉関さんは、87年世界選手権男子複で優勝し、88年ソウル五輪男子複で金メダルを獲得。
97年に日本に帰化し、全日本選手権で4度の優勝を果たす。
現在は、東京都北区で卓球場「偉関卓球ランド」を経営しながら、日本ジュニアナショナルチームでコーチも務めている。

私も全日本選手権で偉関さんのプレーを何度か観たことがあるが、「強過ぎる」し「うま過ぎる」と思った。
鉄壁のブロック、横回転ショート、切れ味抜群のサービス、どれをとっても一級品のスーパーテクニシャンといった印象だ。

そんな偉関さん、今は日本の若い世代を指導しているんですね。
「〇〇クラブ」や「〇〇卓球」というのはよくあるが、「偉関卓球ランド」とはまたユニークな名前だ。
なんだか楽しそうな卓球場って感じがするよね。

偉関さんちょっとプーさんぽいしね・・・って、それはいいんだが、今後このクラブから偉関イズムを継承した、日本を代表する選手が誕生するかもしれない。とても楽しみだ。

本書を読めば、夢の王国「偉関卓球ランド」に行けない人であっても、偉関さんの考え方や練習法方を学ぶことができる。
なんというお得な本であろう。

練習革命とは、「練習のための練習」をやらないための「意識革命」のこと。

試合というのは練習の成果を「試し合う」場。試合で勝てない最大の敗因は日々の練習法なのだ。

本書は、「中国卓球の合理的な思考をもとに、勝利という目的から逆算した効率の良い練習メニュー」を紹介している。
初級・中級・上級者、それぞれのレベルに応じた、試合での勝利に直結する合理的な練習法だ。

イラストや写真をふんだんに使用しており、各練習メニューには、目的(その練習を行う目的)、目安(練習を行う量の目安。時間・分で表示し、多球練習の場合は球数も表示)、目標(「成功率70~80%」など、その練習で目標にしたい数値やポイント)という、3つの「目」が表示されているので非常にわかりやすい。

中国卓球の思考をもとにしている本書には、中国卓球独自の練習法や概念も記されており、そこが日本の卓球人が書く卓球本とは一味も二味も違うところである。

他にも、人数が多い場合の多球練習法や、3人1組で行う多球練習のやり方、変則のゲーム練習など、多様な練習メソッドが紹介されている。

また、具体的な練習法の紹介がメインではあるが、練習をする上での考え方や練習の効率を上げるヒントなど、心構えについても色々な視点で教えてくれている。

その中からひとつご紹介します。
第1章の「合理的な練習の【原則】」より、“覚えておきたい「練習法のコツ」3カ条”。

1.練習はラリーが続きすぎたらダメ! あまり続かないのもダメ!

全くラリーが続かない練習は、続けていても効果が上がりません。一方、簡単すぎて何本でも続く練習なら、やる意味がありません。ラリーが「続きすぎず、続かなすぎず」の少し難しい練習こそ、選手にとって最適なレベルの練習。自分がやるべき練習メニューの判断に迷ったら、「少し難しい」を判断基準にしてみましょう。

2.複雑で難しい練習=良い練習ではない!

トップ選手が「複雑で難しい、特別な練習をやっている」という先入観を持っている人は多いのではないでしょうか。しかし、中国卓球には「簡単高級」という言葉があります。「簡単」、つまりシンプルな練習メニューで、「高級=レベルの高い」ボールを打つということ。
中国ナショナルチームの選手でも練習メニューは驚くほどシンプル。その代わり選手たちが打つボールの質が高いのです。
複雑すぎる練習はかえって練習の効率を下げます。初・中級者も「簡単高級」を合言葉に、安心して練習に取り組みましょう。

3.個性は必ず出てくるもの まず弱点をなくし、それから個性を伸ばす

個性を伸ばすか、それとも弱点を克服するか。指導者も選手も悩むポイントですが、少なくとも初・中級の段階での個性は、上達を邪魔する「クセ」であることがほとんど。本当の個性は、上達するにしたがって必ず出てきます。将来、勢いよく伸びていくために、余計な雑草(クセ)は抜いてから個性を伸ばしていきましょう。

練習したことが試合で活かされない、上達が遅い、練習プログラムの組み方がわからない、
そんな悩める選手や指導者の方に、本書をおすすめしたい。

今すぐ意識革命を起こし、日々の練習を見直すことによって、あなたの練習場も、偉関卓球ランドに負けない夢の国となるはずです!

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