卓球が上達するための方法というのは、「とにかくボールをたくさん打つ」「素振りをする」「筋トレをする」「球突きや壁打ちをする」など、いろいろなものがある。
もちろんどれも正解なんだけれど、卓球上達法として、私が強く推したいと思うものがあって、それが「知識を入れる」である。
卓球の専門誌や、卓球選手や指導者が書いた卓球本など、卓球関係の教科書はいろいろあって、それらを徹底的に読み込んで、卓球の知識を大量にインプットする、ということなんだけれど、意外とやっている人は多くないだろうと思う。
ちょっと検索すれば試合動画が観られる時代であるので、多くの卓球人は研究のため、日々観まくっていることと思うが、「知識を得る」ということにおいては、活字媒体に勝るものなしである。
「卓球の雑誌や本はたまにしか読まない(あるいはまったく読まない)」という学生さんも多いはず。
中高生にとっては、ただでさえ用具にお金がかかるのに、卓球雑誌を毎月買ったり、卓球本を買ったりというのは金銭的に厳しいというのもわかる。
けれど、知識を入れることの有益性は計り知れないものがあると私は思うのですよ。
知識を蓄積することで、理解力が上がり、上達のスピードが上がる
専門誌や書籍で勉強し、知識を積み重ねている人とそうでない人では、練習の質に差が出るのではなかろうか。
指導者に何かを教えてもらったとしても、知識のある人は理解力が早く、どんどんアドバイスを吸収していけるが、「卓球読書」が足りていない人は知識が薄いため、教えられても理解が遅く、上達のスピードも上がらない。
私は「芸人さんのネタを観てアドバイス(ダメ出し)をする」という仕事を10年以上続けているんだけれど、たまに、こちらの言っていることをなかなか理解しない人というのがいて、そういう人は大抵「お笑いの勉強が足りていない人」である。
「他の人のネタは観ている」と本人は言うが、聞けば圧倒的にその量が足りていないのである。
「〇〇さんのネタのように」と例を出しても、観たことがなければ話が通じず、別の言い方を探すので時間がかかってしまう、というように、非常に効率が悪い。
そういう芸人さんに限って「どうすれば面白くなりますかね?」と聞いてくるが、「人のネタを観まくってもっと勉強するべし」というのが一番のアドバイスということになる。
つまり卓球でも、知識があると理解が早くて上達のスピードも上がる、ということだと思うのですよ。
例えば、バックドライブを打っていて「もっと腰を落として打て」と言われた時、何の知識もないと戸惑ってしまうが、そこでパッと、樊振東が腰を落としてバックドライブを打っている写真が頭に浮かべば、イメージがつかみやすくなる。
つまり「卓球読書」で培った引き出しの多さが上達を助けるということ。
試合はセンスではなく、知識で観る
動画にしても生観戦にしても、試合というのはセンスではなく「知識で観る」ものだと思う。
試合を観るにしても、知識があるのとないのでは、勉強効率にかなり差が出るだろうと思う。
トップ選手のチキータを観ても、知識がなければ、ただ漠然とすごいなぁと感心するだけで終わるが、チキータの重要なポイントについての知識があれば、「肘の角度」「足の運び」「どの種類のチキータを使ったか」などに注目しながら、巻き戻して何度も確認してみる、ということができる。
これも「インプットの質を高める」ということに繋がるわけである。
アイデアの質と量は知識の量に比例する
一流の卓球選手というのは、オリジナリティーを持っている。
日々の練習の中で、「これだ!」とひらめいて、唯一無二の技術を確立していくのであろうが、こうしたひらめきは、なにもトップ選手だけの資質ではないはず。
これも卓球読書による引き出しの多さがカギとなるのではなかろうか。
「アイデアの質と量は知識の量に比例する」
これは、私が仕事をしていく上で常に意識していることで、面白いアイデアとか奇抜な発想というのは、インプットの量が多ければ多いほど生み出しやすいと思っているからである。
あらゆるアイデアは、先人の知恵の上に成り立っており、普通のフェイントサービスがあったから「デス・サービス」が生まれ、普通のカウンターがあったから「キル・カウンター」が生まれ、テニスがあったからテーブルテニスが生まれたわけである。
あらゆる知識(材料)を持っていると、ひらめきは生まれやすい、ということである。
新しいプレーのヒントや答えの質と量は、知識量と比例するのではないだろうか。
え~、そんなわけで、
アウトプット(その選手の持つ技術力)の質を高めるためには、インプットの質と量を高めていくこと。
ということが言いたくて、つらつらと書き綴ってみたわけだけれど、ぜんぜん書き足りない。
ではどのように読むのがより効率的なのか? など、「読書術」的なこともまだまだ掘っていける気がする。
「打つ練習」と同じくらい大事な「読む練習」。
このテーマは、今後も追求していこうかな、と思っている次第であります。
まさしくその通りだと思います。
知識があると無いとでは同じものを見たとしても自分の中での再現度がまるで違います。ただバック面のラバーで打ってるのか、それはバックドライブなのか、それは腰を落としてしっかりと回転を掛けたバックドライブなのか… 構成要素がいくつあっても、要素を知識として認識していないと要素を分類できません。「樊振東のバックドライブ」を知らない人にとって「樊振東のようなバックドライブ」は認識不可能であり、「バックドライブ」としてのみ認識されるのだと考えています。
Kさん
「再現度が違ってくる」
まさにこれですね。
あらゆる知識があれば、よりレベルの高い方法論を再現できますからね。
知識を増やしながら、同時に動画でイメージを固めていくと相乗効果が期待できます。
また、自分の戦型以外の知識を入れることは、戦術力の向上にも繋がります。
戦術のアドバイスをされた時に理解力が高ければ、実践もしやすくなります。
再現度を高める読書、これはバカになりません。
朝練に読書タイムを導入してもいいかも(笑)
朝練の読書、いいアイデアだと思います。精神力も鍛えられそうですし。
あと、読解力や文章力が付くので、勉強にも役立つかもしれませんね。
読練(ヨミレン)が普及すると面白くなりそうです。
ラケットマンさん
その効果はあると思います。
そうなると、ヨミレンは小学生のうちからやるのが、より効果的かもしれませんね。
読書感想文も卓球本について書けば、これ一石二鳥です 笑
私も同じ考えです。情報や経験をインプットし、それを言語化、図式化出来る位、理解してアウトプットします。
私はFBのメンバー制のコミュニティで投稿していてこれが良い知の訓練となってます。
オガさん
図式化できるくらいになっていれば、その知識はまさに本物ですね。
私もブログのためのインプット&アウトプットが卓球脳を鍛える良い機会になっています。
学生時代にこれができていればと思いますが、どうしても「打つ練習」ばかりになってました(悲)
学生選手であれば卓球ノートという方法がありますが、これも大抵三日坊主で終わります。
もっと楽しくインプットとアウトプットができる方法があれば学生の卓球脳も鍛えられるかもしれませんね。
卓球ブログとか 笑
確かに仰る通りだと思います。
プロの試合を観戦したところで、その技をセンスだけで盗むにはそれこそプロ並みのセンスが求められますが、肘の角度、足の位置、バックスイングの取り方、など知識という観点で捉えれば、完璧には無理としても擬似的に選手の技に近づけることは可能ですしね。
知識があるから応用がある、応用があるから試合が出来る。心に刻みたいです。
卓球主義さん
目で盗み知識で盗む。
この両輪をバランスよく回すことで、吸収率が違ってくると思いますね。
私も学生時代は雑誌とか卓球本を読んでましたが、ほんの一部だけでした。
もっと隅々までしっかり読み込んでいれば、より効率的な練習ができていたと思います(笑)
学生に「読む」ことの重要性をどう説くのか、この壁を突破できたチームはグンと伸びるんじゃないかと思えてなりません。