【民のサービス】切ることよりも惑わすことを意識する

まず、タイトルにある「民のサービス」とはなんぞ？
DVDにもなっている、元五輪代表の仲村錦治郎さんの「神のサービス」はあまりにも有名だけれど、私のサービスレベルは「神」ではなく「平民」。つまり「神のサービス」ではなく「民（たみ）のサービス」ということである。
そんなわけで、民レベルのサービス論考をひとつ。

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いまの私は現役時代の半分くらいの実力しかないと思うんだけれど、最も昔と感覚が違う（レベルが落ちた）と思うのは「サービス」である。
これでも現役時代はサービスが得意で、表ソフトなのにブチ切れたサービスを出すことができていたけれど、今はほとんど練習する時間もないので感覚が戻らない。

とはいえ、今でもオール練習なんかでは思い切って出せるので、切れるサービスを出せないことはないのだけれど、ゲーム練習になると途端にブチ切ったサービスが出せなくなる。
サービスがあまり効かないものだから効果的な３球目攻撃もできず、サービス権を持っているアドバンテージを活かせないという体たらくなのである。

そこで私は考えたんだけれど、回転量より「相手を惑わす」ことに重点を置いたサービスの方が、今の私には武器になるのではないかと。
つまり「まぎらわしい」「ややこしい」がテーマのサービスである。
具体的には以下のようなことをやってみるということ。

長短のサービスフォームで惑わす
「大きいテイクバックから短く出す。小さいテイクバックから長く出す」など、サービス動作で長短をわからなくする。

サービスを出す位置を変える
ミドルから出したりフォアサイドから出したり、サービスを出す立ち位置が変わるだけでけっこう相手は戸惑っちゃうよね。

フォアとバックの両サービスを使う
フォアサービスとバックサービスの両方を使うのも効果的。
相手がフォアサービスに慣れてきたらバックサービスに変えたり、ここぞって場面でバックサービスを出すなど。
フォアサービスとバックサービスの両方で出す位置をコロコロ変えながら出せば、さらに相手はヤマを張りにくくなる。

トスの高さを変える
通常の高さのトスに加え、投げ上げサービスを多用してみるなど、トスの高低で惑わすのも効果的。
バックサービスで高めにトスを上げる人は少ないから、ちょっと高めのトスでバックサービスを出すのも、これまた意外に効果的だろう。

フェイクモーションを大袈裟にする
これは特に大事。先日の練習会で、ダブルスの時にハチャメチャなフェイクモーション（フォロースルー）を試てみたんだけれど、これが激烈に効いた。
ダブルスなのにレシーブが明後日の方向へ飛んでいったのを見て、オーバーアクションのフォロースルーは効果てきめんであると思った。

コースを散らす（スピードに緩急をつける）
回転量が少なくても、フォア前へのサービスと、バック・フォアへのスピードのあるロングサービスという組み合わせで、スピードに緩急をつけていけば、相手を間違いなく翻弄できる。
実力者と試合をするとこのパターンで自分がやられることが多いので、しみじみそう思うのである。

こういうのを駆使して、回転量が大したことなくても「コイツは何をやってくるかわからん」と思わせられたら勝ちである。とにかく相手に「思い切り打たせない」ってことが大事なわけだから。

つまり回転量云々ではなく「いかに３球目攻撃に繋げるか」が大事なわけで、サービスエースを狙おうとしなくてもいいということだね。
サービスの回転量が多いと、レシーブにその回転が残っていて、３球目攻撃が実にやりにくいということがあるので、あまり回転量にこだわると自滅しちゃうことになりかねない。

目指すべきは、野球で言えば「打たせて取る」ピッチャーのようなもの。
豪速球で三振（卓球で言うところのサービスエース）を狙いにいくのではなく、詰まらせる（芯に当てさせない）ことによってアウトを取る技巧派ピッチャーである。
卓球でも相手を惑わす技巧派サービスの使い手を目指すのもアリなのかもしれない、と私は思っておるわけです。

「サービスがぜんぜん切れねえのよ」と悩んでいる人は多いと思うけれど、そういう人は視点を変えて、回転量で勝負するのではなく、それ以外の部分で工夫して「相手を惑わす（戸惑わせる）」てな方法でサービスに磨きをかけるってこともアリなんではないかと思いますね。