今月号は、全日本選手権ロスを癒すように、じっくり読み倒しました。
張本智和 インタビュー&テクニック
今月号の目玉企画はコチラ。
張本智和、13歳
「僕は誰にも負けたくない」
【独占インタビュー】
「不屈の少年」
【テクニック徹底分析】
「張本智和はなぜ勝つのか?」
インタビューでは、世界ジュニアの振り返りと、選手としての「現在とこれから」について語っている。
自分の卓球の完成図は少しずつ見えてきているか? という質問に対し「今の樊振東に、より安定感と爆発力がある選手になりたいです」と答えたのには驚いた。
そんな選手になったら「怪物」なんていう表現も生ぬるくなってしまうが、なってもおかしくないと思わせるところが恐ろしい。
田㔟邦史監督の分析
そして、【テクニック徹底分析】では、男子JNTの田㔟邦史監督が、張本選手の強さの秘密を解説している。
田㔟監督は、張本選手のここが凄い! というポイントをいくつか挙げているが、「天才的な部分」として、次のように語っている。
・張本智和の天才的な部分というのは、相手の特徴と弱点を的確につかみ、強い部分を避け、弱い部分を突いていけること。相手のプレーの分析が非常にしっかりしています。ミスをして負けることはあっても、「とりあえず入れる」というボールはない。すべてのボールに理由があるし、入らなくても次は入るように練習すればいい。
・ベンチで指示した作戦を正確に実行する能力も高いです。また、相手のボールへの瞬間的な判断能力、技術の使い分けによる対応力という面でも、非常に優れていますね。
試合中は誰よりも熱いけれど、冷静に相手を分析する、クレバーな「卓球脳」も優れているということだね。
私なんて「とりあえず入れる」ばっかりだけどね……。
こちらの企画では、連続写真を使って張本選手のテクニックの紹介もしているが、そこには本人のコメントも掲載されている。
例えば、張本選手の得意技であるチキータについては、このようにコメントしている。
・ナックル系のサービスや、少しでも浮いたサービスは一発で打ち抜くチキータで狙い、サービスが切れていたら回転重視の弧線(こせん)を描くチキータにします。時々、相手のフォアへ、強い横回転を入れたチキータを混ぜています。
・チキータについては、特別な技術という感じはないです。これからもっと磨いていきたい。
さらにこちらの企画では、張本選手の父親でありコーチでもある張本宇さんに、技術以外のことも聞いている。
張本選手は13歳とはいえ、あまりに奥が深すぎるプレーヤーなので、本人を含めたいろいろな人のコメントを読めるというのは、実にありがたい。
張本智和、テナジーを語る
そして、レギュラー企画である「THE FRONT RUNNER」でも、今月号は張本選手にスポットを当てている。
張本選手自身は用具にあまりこだわるタイプではないが、常に自分の力を発揮する用具をチョイスしてきた。
その裏には父・張本宇さんの手腕があったのだという。
小学生時代にバタフライとアドバイザリースタッフ契約を締結した張本選手は、バタフライ研究開発チームのサポートのもと、用具を選んできたわけだが、バタフライと実際にやりとりをして、用具を選ぶのは宇さんなのだとか。
そしてそのこだわりは半端なものではないという。
例えば、数多くの世界トップ選手が使う『テナジー05』を、宇さんは息子には使わせなかった。
そこには、こんな理由があった。
「私が試打した時に『テナジー05』はスピードが速くて良かったのですが、智和はまだ体が小さかったので、パワー不足になり、ラバーの性能を引き出せないと判断しました。用具は威力よりも安定性が大事です。そして、小学生の選手にとって、重量も注意しないといけません。だから、フォア面に『テナジー64』を選び、バック面は特に安定性と重量を考えて『テナジー64FX』のアツにしました。軟らかいスポンジにすることで、少しでも重量を軽くしたかったのです」
張本選手は、『テナジー64』と『テナジー64FX』という組み合わせのまま、1グラムずつ重量を上げていったという(それに比例してラバーが硬くなっていく)。
それは張本選手の筋力とも比例していたそうで、その判断も宇さんによるものだったという。
・バック面は15年9月に『テナジー05FX』に変更。そして、すぐにスポンジの厚みをアツからトクアツにした。ラバー、そして厚みの変更はさらにスピードを求めたためだ。重量が重くなっても「振れる」と宇さんが判断した時、ラバーはより打球感の硬いものに変更されていく。それは張本が知らないところで宇さんが調節していた。
・特にチキータを使い始めてからバックハンドのスイングスピードが飛躍的に上がっていき、『テナジー05FX』でもしっかり食い込ませて打てるようになっていった。パワーの向上だけではなく、打法が増えればラバーへの要求も変わる。より強い回転を求めるチキータには『テナジー05FX』の方が適していた。
技術だけでなく、用具に関しても的確にコントロールできることが、真の名コーチの条件ということなんでしょうかね。
他にもまだまだテナジー選びのポイントや、「選手を見て、用具を変える時期を判断するポイント」、さらにはラケットについてのこだわりポイントを宇さんは語っている。
そしてこの記事では、張本選手もテナジーについて語り、バタフライ研究開発チームのスタッフの方も、宇さんの用具選びの裏側などを語っている。
まさに、成長とともに最適な用具を選ぶためのヒントが満載の企画であると思う。
テナジーユーザーはもちろんのこと、どの用具を使う場合であっても、非常に参考になる企画だろう。
特に指導者には必読かと思います。
創刊20周年!
もうひとつの目玉企画はコチラ
【創刊20周年記念企画】
この20年の卓球界のビッグニュース20
卓球界の顔20
編集部がシビれた試合20
今月号で創刊20周年を迎えた卓球王国。
この節目に、卓球王国なりに20年間を振り返るという主旨のもと、上記の3つのテーマで、編集部がそれぞれ20をセレクトするという企画。
ランキングのネタバレになっちゃうのもあれなんで、ここでは細かくは書かないが、20年の卓球史を振り返りながら、改めて卓球の面白さや奥深さを感じ、懐かしさにむせび泣いてはいかがだろうか。
あと、創刊20周年記念として、83アイテムが合計200名に当たる、「スペシャルBIGプレゼント」の企画もあるので、そちらでもワクワクできますよ。
この表ソフトが熱い!
そしてもうひとつ取り上げたい注目企画がコチラだ
【グッズ特集】
次世代 表ソフトラバー
この1年間で新作が次々と登場した表ソフトであるが、果たして次世代を担う表ソフトはあるのか、そしてプラボールは表ソフトにどのような影響を与えたのか。
こだわりが強いと言われる表ソフトユーザーのために、新作ラバーの性能を試打検証するというのがこちらの企画。
試打をするのは、大坂亮輔選手(中央大・左シェーク裏表)と、久住昭博選手(琉球アスティーダ・右シェーク裏表)。
取り上げるラバーは、『スペクトル ブルー』『スペクトル レッド』『スピンピップス ブルー』『スピンピップス レッド』『インパーシャルXS』『インパーシャルXB』といった王道ラバーの新作から、『キラープロ』『スーパードナックル』といったクセモノまで、全12種類。
ひとつひとつのラバーへのコメントはもちろんだが、最終的に「回転重視のラバー」「相手がいやがるラバー」「使いたいラバー」「台上技術に適したラバー」をそれぞれ選んでコメントしている。
そして最後に、「今後の表ソフトの未来は?」という問いに答えているのだが、2人はこうコメントしている。
大坂 これから表ソフトを使う人は打法を強化していかないといけないと思います。上級者はスピードを出す打ち方と、回転をかける打ち方の両方ができますね。どちらか片方しかできない人は表ソフトを補助的にしか使えない。
久住 両方を打つなら最終的に縦目のスピード系表ソフトに行き着くと思います。横目だとナックルが出しづらいし、ボールが遅い。両ハンドの相手に対しては、回転で攻めるよりもスピードが必要。縦目でスピードで勝負しながら安定させる。あとは要所で回転をかける総合力が求められます。
(後略)
私も表ソフトユーザーなので興奮しながら読んだわけだが、自分の能力を最大限に引き出す運命の表ソフトを探すために、大いに役立つ記事であると思う。
表ソフト愛好家は、ガン見すべし。
こんな感じの3月号であるが、それにしても創刊20周年というのは素晴らしいことだね。
このクオリティーで毎月出し続けて20年というのは脱帽ですよ、ほんと。
果たして50周年の時には誰が表紙を飾り、どんな記念企画が行われているのだろうか。
ひょっとすると、また今回みたいなランキング企画があるかもしれない。
そして「編集部があきれた卓球バカ50」なんていうランキングがあるかもしれない。
その際には私も「30年以上卓球ブログを書き続けている男」として、ランキング入りできたら嬉しい。
よし、これからの目標はそれにしよう。
この間念願のキッチン測りを買いました。
やっと自分のラケットの重さが分かりました。
140グラムジャストでした。
どえらい軽いですね。
張本くんは特アツなんて扱えるんですねー。
さすが違うなぁ。
レベルの段階的に性能を上げていくですかり
やっぱり筋力やレベルに合った用具が大事なんですね。
ラバーは悩みますな。
表ソフトは今はTUTLLEの3Cの1.5を使っています。
ヤフオクで900円だったので。
裏面は今は729の謎のブルースポンジ1.5です。
ヤフオクで1000円だったので。
表が1.8の時は裏面はbomberdです。
安くて軽くて薄いテンション系の裏ソフトは無いものかー。
つぐさん
私もいま、裏面に厚いラバーを貼った上でできるだけラケットが軽くならないかと思案中です。
計るのはキッチン計りでいいんですね。買ってみようかな。
私も150グラムしかないですが、重いと感じています。
大人でも筋トレで筋力アップしながら用具を調節するのはありですね。
なかなかクセモノな表ソフトを使ってますねぇ。
種類は少ないけど個性的揃いなのが表ソフトのいいところです。
安く掘り出し物を見つけるテクニック、見習いたいです (^.^)
痺れた試合20に痺れましたw
シンタローさん
激しく同意!
いつも更新ありがとうございます。
張本選手、言葉の端々に怪物ぶりを感じさせますね〜。個人的に興味が湧いたのは、「自分の卓球の将来のビジョン」を現時点で描けている事です。
通常、ビジョンが描けていないと点を取りに行く戦術が固まらず、そのため習得するべき技術もバラバラになってしまいます‥。※とはいえ、初めて間もない時は色々な技術を練習してボールタッチを磨くことは重要ですが。
そんな中、張本選手は中1にして将来のビジョンが描けているため、練習効率も良く、試合中の悩んだ場面で使用する戦術も迷いがないのかと思いました。そのため、宇さんが常にそばにいなくても自発的に強くなれるのでしょうね。
張本選手も怪物ですが、張本選手の「ビジョンを描く力」をもし宇さんが教えたのであれば、これもまた名コーチだと感じました。
コネラムコネさん
ナイスな視点ですね。勉強になります。
将来ビジョンが自分なりに見えているからこそ、現在やるべき戦術がわかっているということかもしれませんね。
日頃の練習時から、相当高い意識で考えながら取り組んでいるのでしょう。
その「ビジョンを描く力」はやはり、宇さんの教えの影響はあるでしょうね(母親の影響もあるかも)。
技術以外の部分をもっと深いところまで知れたら面白いですね。
いずれ王国さんががっつり取材してくれるのではないでしょうか (^o^)