100年にひとりの天才! ワルドナー伝説(後編)

『ワルドナー伝説』の後編です。

100年にひとりの天才! ワルドナー伝説(前編)

 

ワルドナー伝説 (卓球王国ブックス)
イエンス フェリッカ
卓球王国
2003-12

 

 

本書 の第2章は主に、ワルドナーの国際大会での軌跡について書かれている。

16歳(82年)の時のヨーロッパ選手権準優勝から始まる長いストーリーは、35歳にしてシドニーオリンピックで銀メダルを獲得するまで続く。

誰も成し得なかった超人的な活躍の道程を見ると、改めてワルドナーという男の偉大さがわかる。

 

ゴルフが好きすぎる!

そして第3章では、結婚観や家族のこと、さらには趣味のことまで、ワルドナーのプライベートライフについて触れている。

ワルドナーは無類のゴルフ好きで、シーズンオフの休暇は、ほとんどがゴルフ場で費やされるほどハマっているのだという。 

ワルドナー以外のスウェーデン選手も皆ゴルフが大好きで、スウェーデンのナショナルチームの合宿の時、ゴルフの全英オープンの最終日のテレビ中継があるからという理由で、トレーニングの時間を変更してしまうこともあったのだとか。

ちなみにワルドナーがゴルフをする時はサウスポーになるらしいです。

 

ワルドナーへの63の質問

そして第4章では、ワルドナーが63の質問に答えている。
 
 
Q11―― 一番好きな飲み物は?
「食事の時にはミネラルウォーターで、夜遅く飲む時にはビールだね。ドイツビールが最高だね。あのクリーミーな泡が何とも言えない」
 
Q16――君のキャラクターを言葉で表すとしたら。
「楽観主義者、頑固者、ハッピーな男、かな」
 
Q25――何か後悔していることは?
「ないね」
 
Q51――用具に関しての質問だけど、君がラバーを選ぶ時に注意することは?
「大きな大会の前にぼくはたくさんのラバーをメーカーから送ってもらう。その中からベストのものを選んでいく。メーカーはスポンジの硬度を測る機械を持っていて、ぼくはバック面に貼るラバーについてはスポンジ硬度が46度か47度のものを使っている。フォア面に貼るのはそれよりも少し軟らかいスポンジを選ぶ。そのほうが回転がかけやすいからね。スポンジは作りたてのものは使わない。なぜなら作りたてのフレッシュなスポンジはスピードはさほど出ないから。製造してから10~12週間くらいのものが一番いい」
 
こんな感じで、ワルドナーの色々な面を知ることができるインタビューなのであるが、私が個人的に一番驚いたのが、こちらの回答。
 
Q4――君が今まで旅行した中での一番の思い出は?
「97年1月のロサンゼルス(アメリカ)だね。招待試合があって、プレーしたんだけど、それはバスケットボールのNBLの、ロサンゼルス・レイカースの試合の休憩の時に、金択洙と1万5千人の観客の前で卓球ショーをしたことだね」
 
そんな面白そうなことしてたんだねえ。
パフォーマンス好きなワルドナーにはぴったりの仕事だよね。
 
ワルドナーと劉南圭が卓球ディナーショーをやったことはわりと有名だけど、両方ともワルドナーと韓国選手という組み合わせなのは何か意味があるのだろうか?(たぶんない)。


ワルドナーから10のメッセージ 

 

そして本書の最後は、
「将来のチャンピオンたちに贈るワルドナーからのメッセージ」である。
 
これからの時代を担う若い選手へ、どのようにすれば強くなれるのか、そのポイントをワルドナーがアドバイスする。
 

ひとつだけ抜粋します。

③リラックスしたテクニックを身につける
卓球は、強くなるためには途方もないくらいの練習量が必要なスポーツだ。
常に可能な限りリラックスした状態でプレーすることを心がけよう。締めつけるような緊迫した場面でも、リラックスした状態でプレーできるようになれば、得点するチャンスは増える。また、リラックスした打法、余分な力の入っていないテクニックというのは、故障の発生を減らすこともできる。
私自身のことを言えば、リラックスした状態でのプレーを心がけたことで、今までも大きな故障を避けることができたし、それが長い間、世界のトップクラスを維持できた大きな理由のひとつだと思う。

 

野球のイチロー選手もそうだけど、長く活躍し続けられる選手というのは、大きなケガをしないように思う。

ワルドナーの場合、その秘密は「常にリラックスしてプレーする」ということだ。

リラックスプレーの良い影響は、その試合だけのことではなく、長期的に見て、故障しにくい体でいられるというメリットがあるというのは、ワルドナーならではの視点であり、それを体現している選手だけに非常に説得力がある。

 

というわけで、2回にわたってお届けした「ワルドナー伝説」であるが、この本が出版されてから後も、ワルドナーは伝説を作り続けた。

先日ついに50歳で引退してしまったけれど、ワルドナーが卓球界に及ぼした影響や築き上げた栄光の数々は、たった一冊の本では足りないだろう。

今後、ワルドナー自身が書いた自叙伝が出版されることを期待したい。

間違っても卓球本より先に、「ワルドナーが伝授する! ゴルフ上達法のすべて」なんて本を出版しないでね! ワルドナーさん!

 

 

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