ほとんど卓球とは関係ない話だけれど、たまにはこういうのもいいかな、と。
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私は小説が好きでよく読むんだけれど、漫画は大人になってからはほとんど読んでこなかった。
せっかく漫画大国ニッポンに暮らしているのにこれはもったいないってことで、去年から漫画を積極的に読んでいこうと決めた。
まずはジャンプ黄金期(80年代前半~90年代中期)の作品を中心に読んでいこうってことで、最初に手に取ったのは『ワンピース』(ギリギリ黄金期には入らないが)。
説明不要のモンスター漫画だけれど、私は1巻からせっせと読み始め、10ヶ月ほどかけて84巻まで読み終え、ようやくテレビ放送に追い付いた。
今はテレビで毎週観ている。
次が『幽遊白書』。
作者は冨樫義博先生で、若い人には『ハンター×ハンター』の作者と言った方がピンとくるかもしれないが、こちらは完全版(全15巻)を読了。
そんで、お次が、和月伸宏先生の『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』である。
こちらも完全版(全22巻)をコツコツ読み進め、先日読み終えた。
『るろ剣』は、1994年~1999年に週刊少年ジャンプで連載された、時代劇漫画である。
96年にテレビアニメ化されて、私はこれをちょこっとだけ観ただけだったので、内容についてはまったく知らない状態で読んだわけであるが、これがもう、激烈にオモロかった。
るろうに剣心―明治剣客浪漫譚 完全版 (01) (ジャンプ・コミックス)
【おおまかストーリー】
幕末の動乱期に、新政府樹立のため、人を斬りに斬りまくった緋村剣心(ひむらけんしん)は、「人斬り抜刀斎」としてその名をとどろかす伝説の剣客。
明治維新後は「不殺(ころさず)」の誓いを立て、流浪人(るろうに)となって全国を放浪。
旅先で出会った仲間とともに、多くの宿敵と戦いを繰り広げながら、自身の犯した罪に対する贖罪の答えを探していく。
ざっくりと言えばこんな感じ。
当時のジャンプ作品としては異色の明治時代初期が舞台というのが秀逸だが、少年漫画の主人公が「人を殺めまくっている」という設定も斬新。
そしてバトル漫画の主人公と言えば、最初はたいして強くはなく、修行しながら徐々に最強に近づいていくというのがセオリーなんだけれど、剣心は最初から「伝説の人斬り」と恐れられるほどの圧倒的な強さを持っている超人なわけである。この設定も面白い。
そんな最強剣客の剣心だけれど、「もう人を斬るのはいやん!」ってことで、「不殺(ころさず)」の誓いを立てるわけだが、そんな剣心の武器は「逆刃刀(さかばとう)」である。
日本刀なんだけれど、峰と刃が逆になっており、クルンと反転しなければ人を斬ることはできない刀で、どんな強敵相手にもこの刀で戦うのが剣心の戦闘スタイルってわけ。
これを卓球に例えると、あらゆる卓球選手をその圧倒的な実力で何百人もなぎ倒し、自信を喪失させて選手生命を奪いまくった最強の剣卓が、「もう二度と回転はかけない」と誓い、ラバーを貼らない木ベラのラケットを携えて生き抜いていく、という話になる。
木ベラなのにめっぽう強い卓球選手、それが緋村剣心なのである。
個性的な敵キャラがいっぱい
剣心の仲間たちも個性的な面々だけれど、『るろ剣』は敵キャラが強烈な個性を持った、実に魅力的な奴ばかりなのである。
とくに剣心の最大の難敵・志々雄真実(ししおまこと)の魅力は頭抜けている。
幕末期には、剣心の後釜の人斬りとして、新政府側の人間として暗躍したが、最終的には新政府に裏切られ、とんでもない仕打ちを受ける。
そのせいで全身包帯グルグル巻きという姿になってしまうんだけれど、その憎悪は凄まじく、10人の配下・十本刀(じゅっぽんがたな)を従え、明治政府打倒を企むのである。
こいつが志々雄真実↓
こわい! こわすぎる!
もし相席居酒屋で同じテーブルになったら、すぐさま店を出ていきたくなるような人物である。
剣心と違って、身も心もバリバリの人斬りである志々雄に、人斬りとしての自分を封印している剣心は太刀打ちできるのか?
京都を舞台に繰り広げられる志々雄一派との「京都編」は激烈に面白い。
志々雄一派も含め、登場キャラは総じて個性的であるが、それは様々な武器を駆使して戦うからというのが大きな理由としてある。
卓球もいろんな戦型が入り乱れていたほうが面白いが、まさにいろんなタイプの戦型のキャラクターが登場し、超人的な必殺技の応酬が展開するバトルシーンは見応え十分である。
※ちなみに、『るろ剣』には、大久保利通や新選組など、実在の人物も登場する。
私が最も好きな斎藤一(さいとうはじめ)も、元新選組の三番隊組長として有名な、あの斎藤さんである。
人間を深く掘り下げて描く
キャラの個性が強烈なのは、戦い方が面白いという理由だけではない。
内面的な部分によるところが大きいのである。
私が思う『るろ剣』最大の魅力は、キャラクターの描き方が深いところ。
王道のバトル漫画の中でも、「人間を描く」ということにおいては、抜きん出た作品であると思う。
剣心も含め、主要な登場人物たちは皆、何かしらの心の傷を抱えて生きている。
明治維新という大変革の後で、これまで信じてきた価値観が変わり、武力の時代は終わりを告げた。
刀を持ち歩いているだけで警官にしょっ引かれてしまう時代に変わり、それでも武器を捨てずに戦い続ける男たち。
復讐のため、名誉を守るため、贖罪のため、ただ強くなりたいため。
それぞれが自分の信念を貫いて刀を振るっているわけであって、そこに絶対的な正義というものはない。
そうして、内面を深く掘り下げて描くからこそ、敵キャラであっても、ただの悪者では終わらない魅力が滲み出ているのである。
卓球新時代のお供に
先の全日本選手権では、17歳の伊藤選手と14歳の張本選手がチャンピオンとなり、まったく新しい革新的なプレーを披露して、卓球界に大きな衝撃を与えた。
日本卓球界は新時代に突入したとも言われており、まさに「卓球維新」が起こっている状況と言えるかもしれない。
多くのトップ選手たちは、大きく時代が動いていく中で、新しい卓球を目指すのか、今のままのスタイルを貫き通すのか、日々悩みながら卓球人生における生き方を模索しているのかもしれない。
もちろんトップ選手に限らず、どのレベルの卓球人であっても、卓球選手はそれぞれに戦っているフィールドがあって、生き残りをかけた苛烈なサバイバルに身を投じているものである。
これまでのやり方を変えるというのは大きな負担がともない、身も心も疲れ切ってしまうものだけれど、明治維新前後という激動の時代において、必死で生き方を模索する『るろ剣』のキャラクターたちから学ぶべきことは少なくはないだろう、なんて思うのです。
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さて、漫画爆読み生活を実践している中で、思いのほか『るろ剣』がオモロかったので、こうしてブログに書いたわけなんだけれど、
執筆にあたり『るろ剣』のことをちょこっと調べてみたら、2016年に宝塚歌劇団の雪組によって舞台化(歌劇化)されていたとの情報があって驚いた。
2012年に佐藤健くん主演で実写映画化されたのは知っていたけど、宝塚で上演していたやなんて。
アニメに映画に宝塚。
世代を超えて愛されているようで、さすが『るろ剣』である。
そんで、もっとあれこれ調べていたら、予想外のびっくり情報が飛び込んできた。
なんと、2017年に『ジャンプSQ』にて、続編である「北海道編」の連載が始まったというではありませんか!
マジか・・・知らんかった。
また『るろ剣』の続きが読めるのか、やったぜい。
なんてワクワクしていた私であったが、直後にある情報に触れて、大ショックを受けたのであります。
なんと、作者の和月伸宏先生が、ちょっといけないことをしでかしちゃって、書類送検されて、「北海道編」はあえなく休載となってしまったとのこと。
・・・ちょっと、なにをやってんのよ、和月先生・・・。
ま、まあ、『るろうに剣心』という漫画が傑作であるということに変わりはないからね。
なんて、卓球界の流浪人の私は思うのであります。
漫画はあまり読まないですね… 読了したのは黒子のバスケ、第三野球部、あとはまだ未完ですがガラスの仮面ぐらいです。劣等感を感じながらも自分の大好きなものに打ち込む系が好きっぽいですね。
Kさん
意外に読む機会がないですよねぇ。
読み始めるとハマるんですが、とりかかるきっかけがないっていう・・。
ガラスの仮面もそうですが、長期連載している漫画は面白いですね。
私のオススメは『静かなるドン』です!
漫画で読むかアニメで観るか、意外に迷いどころですが、どちらかというと私は漫画派ですw
僕はるろ剣世代ではありませんが、読んでみたくなりました 笑
今のバトル系漫画の基礎を作ったのは、ジャンプ黄金世代の作品なんでしょうね、きっと。
ラケットマンさん
ぜひぜひ読んでみてください。
あらゆるバトル系漫画に触れている今の若い人でも心に刺さると思いますよ。
ジャンプ黄金世代の作品を読まないのは、「卓球の全日本選手権を観ない」のと同じくらい、人生損してますから(笑)
るろうに剣心は、もちろん好きで読みましたが、様々な武器や技を使った団体戦バトル漫画という側面だけ見れば伊賀の影丸が思い出されます。登場人物の心の闇などはほとんど描かれないのであっけらかんとしたものですが。古すぎますね?
きろさん
巨匠・横山光輝の伊賀の影丸!
知ってはいますが、残念ながら未体験ですw
いま調べたら1960年代の作品とのことで、このあたりのバトル漫画も面白そうですね。
いずれ手を出してみたい年代です。
私は忍者が大好物なんで、伊賀の影丸は要チェック案件にします(笑)