卓球王国を読む 2016年3月号


今月号の目玉はコチラ

水谷隼の『勝者のメンタリティー』負ける人は無駄な練習をする

水谷隼の卓球本第2弾の『負ける人は無駄な練習をする』が、2月下旬に発売されるわけだが、その中から抜粋して水谷哲学のエッセンスを掲載するというものだ。
 
これを読んだだけでも深く感心させられる濃~い内容であるが、私は書籍が発売されたらすぐに読んで感想をアップしようと思っているので、ここでは触れないでおきます。
 
 
今月号のもうひとつの目玉はこれだ。
 
怪物・樊振東の強さ
世界最速の男の秘密を探れ
 
リオ五輪出場が現実のものになりつつある樊振東の「驚異の成長スピード」の秘密を解き明かす企画である。
 
まずはコーチや指導陣、そして自らの言葉などを引用しながら、樊振東のこれまでを振り返る。
 
その次は倉嶋洋介監督と吉田海偉選手が樊振東について語り、男子NTトレーナーの田中礼人さんが樊振東の「ぽっちゃりボディ」について語る。
 
倉嶋監督は樊振東の攻略法をこう語る(ちょこっと抜粋)。
 樊振東の攻略法としては最大の武器である台上バックドライブを封じながら、時にわざと打たせて狙う。このふたつを組み合わせながら台上バックドライブを封じるフォア前とバック深くへのサービスをタイミングよく使いたい。サービスは散らして、台上バックドライブのヤマを張らせず、少しでも威力を落とさせることです。
バックにボールを集めすぎるとカウンターされるので、リスクを負ってでも一度フォアに飛ばしてからバックに動かし、台から離す。台から下げられればチャンスは出てくるでしょう。先に打たれたら強烈な連続攻撃を浴びるので、打たれる前に仕掛けたい。(後略) 
 
 
最後は偉関晴光さんが樊振東の「超速テク」を解説する。
 
例えば樊振東が得意とするバックハンドについてはこのように語っている。
 
 体の正面で早い打球点をとらえる樊振東のバックハンドは、実はペンホルダーの打法に近いものです。彼の担当コーチである呉敬平は、馬琳や王皓などを育てたペンホルダー育成の名人。樊振東を指導するうえで、ペンホルダーの長所をうまく取り入れている印象があります。
 この打法が最も生きるのはストレートへの攻撃。ペンホルダーのプッシュのように、体の正面で前腕を伸ばしながら打球しています。ペンホルダーよりもラケットのヘッドがよく回るので、回転量と安定性はペンホルダーより向上しており、ストレートへのバックハンド攻撃としては理想的と言えるでしょう。
(後略)


樊振東はまだ未完だけど、このスピードで成長すれば間違いなく世界チャンピオンになるだろうね。
ひょっとしたらリオ五輪で金メダルなんてことも十分にあり得る。
恐ろしい19歳である。

 

 
そしてもう1つ私が面白く読んだ企画がコチラ。
 
[考察]Why40
今なぜ「日本」なのか。
 
才能ある若手が次々生まれ、卓球市場は活況を呈し、五輪でもメダルを有力視される日本。
そんな日本の卓球の歴史や日本が強い理由など、「40のなぜ」を追う企画である。
 
「なぜピンポンはスポーツになったのか」から「なぜ日本には卓球王国があるのか」まで、「40のなぜ」について書かれてあるのだが、これを読むと日本の卓球界や卓球を取り巻く状況についてかなり詳しく知ることができる。
 
なぜ日本の
卓球スタイルは
先進的になってきたのか
 男子と女子では現在の環境や方向性は違う。卓球は明らかに、2002年にドイツに行った坂本竜介、岸川聖也、その後の水谷隼などのドイツ組の影響が大きい。それまでの「日本はフットワークとフォア強打」という既成概念を彼らドイツ組が変え、「世界で勝てるスタイル」への変革を促進させた。「日本選手はヨーロッパや中国のような両ハンドスタイルは難しい」という心理的な壁を彼らが打ち破った。
 女子はマンツーマンコーチのもと、それぞれの選手が個性的なスタイルを確立させているのが特徴的だ。もともと男子のようにフォアで回り込むことが多くなく、帰化選手の影響で両ハンド攻守のプレーが定着していた。
 
なぜ日本は
世界選手権を何度も
開催できるのか
 戦後(1947年以降)、世界選手権をもっとも多く開催したのは日本卓球協会である。1956年東京、71年名古屋、83年東京、91年千葉、2001年大阪、09年横浜、14年東京の7回だ。
 すべての大会運営で日本は絶賛されてきた。それは主催する日本卓球協会と主管する地方の協会の組織力のレベルが高いからであり、細やかなところに手が届き、完璧主義的な日本人の気質によるものだろう。さて、日本での次の開催はいつになるのだろうか。
 
 
てな感じの今月号です。
 
それにしても先月号から始まった作馬六郎さんの連載「作馬六郎の独創スタイルを作るコーチング」は面白いですな。
 
来月も今から楽しみだ。

 

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