昨夜、久しぶりに「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)を観た。
作家の村上龍氏とタレントの小池栄子さんが、様々な経済人を迎えて伝える大人のためのトーク番組であるが、昨夜のゲストは「リーフラス」という会社の社長である伊藤清隆さんであった。
パパ・ママ必見…
現代っ子に“スポーツ”の楽しさを!
~ニッポンを健康にするベンチャー企業~
リーフラスは小学生を対象としたスポーツ教室を全国で展開している企業で、子供向けスポーツ教室としては日本一とのこと。
その人気の秘密は「試合に勝つこと」よりも「楽しくやること」を優先しているからだという。
番組の冒頭は「ポルテ」という野球教室の練習風景から始まるが、とにかく子供たちが楽しそうなのである。
ボールをキャッチするとコーチが「いいよ! 上手上手!」と全力で褒め、バッティングでは、内野ゴロでアウトになった子供に対し「ナイスバッティング! いいね!」とバットに当たったことを褒める。
褒めまくっているコーチは大学までずっと野球部だったという人で、指導はかなり本格的である。
そして次は「リベルタ」というサッカー教室の練習風景。
この教室も一風変わっていて、コーチが「今日、キャプテンはどうする?」と問いかけ、子供たちがハイハイ! と元気よく手を上げる。手を上げた5人の子供たちで、この日のキャプテンをジャンケン決める。
さらに「ディフェンスやりたい人?」「ボランチは?」と聞いて、子供たちがまた手を上げるという、ポジションの立候補制を採用していた。
チーム内で1番技術力が高く、絶対的エースである少年がいたが、次の試合ではなんとスタメン落ち。このチームは全員が順番に出場する決まりなのだという。
こうした楽しいスポーツ教室を運営するのがリーフラスで、競技は全部で8種目。週に1回の活動で月謝は5000~6000円程度。地元のNPOと提携しながら、公園や学校の施設などを借りて活動しているという。現在、北から南まで、全国30都道府県で2500の教室を展開しており、もちろん楽しい雰囲気は全国共通とのこと。
そんなスポーツ教室を作り上げたのが伊藤清隆社長である。
伊藤社長は断言する。
「楽しく好きになってもらうことが一番大切なんですよ。まずはそのスポーツを大好きになってもらう。先生を大好きになってもらう。そして継続して続けていくと、必ずうまくなります」
リーフラスを立ち上げた裏には、伊藤社長の苦い思い出があった。伊藤社長は小さい頃から野球が大好きで、中学に上がると野球部に入ったが、そこで待っていたのは厳しい体罰だった。ミスをすればバットでお尻を叩かれたり、「グラウンドを何週走れ」と命じられたり、それはもう過酷な環境であったという。そして大好きだった野球のことも大嫌いになった…。
さらに、大学卒業後、学習塾の講師となった伊藤社長がある日、親戚の小学生が出場するバレーボールの試合を観に行った時のこと、監督がミスをした児童に体罰を加えていたところを目撃。ショックを受けた伊藤社長は「子供たちにとって楽しいスポーツ教室を作ろう」と決意し、リーフラスを立ち上げた。
伊藤社長の理想を形にしたリーフラスのスポーツ教室であるが、ただ楽しいだけではない。
たとえば、サッカー教室のリベルタでは、子供の技術レベルによってソックスの色が違う。この色は数ヵ月に1度のテストで決まるという。上の色を目指して明確な目標設定ができるというわけだ。
目に見えて自分のレベルが上がっていくのはモチベーションも保てるし、非常に良いシステムだと思う。ドラクエやってるみたいな感覚で楽しくレベルアップができるような気がする。
強くなることを目的としている子供はリーフラスのスポーツ教室は向いていないと感じるかもしれないが、まったくそんなことはないようだ。それに伊藤社長は「強くなったら他の団体に行くのも大いに歓迎」とも言っている。
スタジオでのトークで、リーフラスの運営するスポーツ教室が、野球、サッカー、女子サッカー、バスケットボール、テニス、空手、剣道、陸上の8種目で、8月にはバレーボールを新たに開設すると聞かされた村上龍さんはこう質問する。
村上龍 「卓球とかないんですか?」
伊藤社長「卓球は、いずれ作ろうと思ってます」
リーフラスの卓球教室ができたら面白そうである。
そうなるとどんな人が教えるのかというのが気になるところだ。
まだ先のことになる卓球のことは置いといて、現在リーフラスで指導する人たちがどういう人たちかというと、これがまた非常に優秀な人材が揃っているのである。
全員正社員で終身雇用
リーフラスでは全国で500人いるというコーチ全員を正社員として終身雇用しているという。
ただスポーツを教えるだけでなく、会員募集から予算管理まで、スクール経営全般を任せているのだという。
本社のオフィス(東京)で働いている社員も、野球で甲子園に出場した人や、ソフトボールでインターハイに出場した経理部門の人など、そのほとんどがスポーツを極めた優秀な人材とのこと。
役員(常務)を務める藤川孝幸さんは、90年代に、キングカズやラモスなどを擁したスター軍団・ヴェルディ川崎のゴールキーパーだったという凄い経歴の人。
元プロスポーツ選手だった人を積極的に雇用しているというリーフラスでは、現在6名の元プロサッカー選手がいるそうだが、そのスカウトを担当しているのが藤川さんなのである。
学生選手がスカウトされることによってプロスポーツ選手の道が開けるように、選手をやめた人をコーチとしてスカウトすることによって、またスポーツを仕事にできるという道が開けるということだ。
スポーツ選手のセカンドキャリアの問題は、どのスポーツでもなかなか深刻であるというが、そこに光を当てる取り組みをしているというのもリーフラスの大きな特徴である。
もし卓球教室が開設されたら、元日本代表の卓球選手なんかがスカウトされてコーチとなり、「今のスマッシュいいよ!」とか「返されたけど今のサービス切れてたよ!」なんて褒めながら、楽しく子供たちが卓球に興じることになるのだろう。
私が子供を持つ親で、子供が卓球をやるとしたら、こういう教室に入れたいと思う。
私は小学生の頃に地元のサッカークラブチームに入っていたのだけれど、とにかく監督が怖くてしょっちゅうサボっていた。
サボって何をしていたかというと、サッカーをしていたのである。
サッカーは好きでたまらないからサッカーはやりたい、だけどクラブの練習に行くのは憂鬱、というわけのわからない状態になっていた。
母親から「月謝がもったいない」と言われてやめたのであるが、やはり小学生にとって監督が怖すぎるというのは辛いものである。
とにかく楽しくスポーツをやって、うまくなってトップ選手になりたいと思えば、別の指導者や団体の門を叩くという道も大いに結構なことだと思う。
卓球界のスーパーレジェンドであるワルドナーも、小さい頃から楽しく卓球をやっていた人である。
のびのびと自由に練習することによって、あの創造性豊かなプレースタイルが生まれ、磨かれていったのではないだろうか。
リーフラスの卓球教室から、和製ワルドナーが誕生することもあり得るのではないかと、私は大いに期待する次第です。
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