今回取り上げる卓球本は、『夫のスマッシュが入らない』(おでんの友社)。
卓球本としては珍しく女性の著者である。
ただ卓球本といってもかなり変則的な内容なんだけれどもね。
本書は、まこちんのハンドルネームで、卓球に関する夫への不満をツイッターに投稿していたらいつの間にかバズって話題となり、編集者の目にとまって出版に至ったという、珍しい経緯で誕生した卓球本である。
内容は、ツイッターで投稿したツイートのまとめと、書き下ろしエッセイによって構成されているが、エッセイ部分では、自身の生い立ちや卓球部時代のこと、夫との出会いなど、まこちんさんの人生について詳しく語られている。
それによると、大学の卓球部の先輩だった旦那さんにまこちんさんが一目ぼれして、猛アタックのすえに付き合うこととなり、卒業後に結婚したのだという。
そして旦那さんと組んでミックスダブルスの大会に出場し始めて15年になるが、3年ほど前から突然旦那さんのスマッシュが入らなくなり、それをきっかけに、ダブルスペアとして様々なことがかみ合わなくなっていったという。
そうして蓄積された不満がピークに達したある日、ツイッター上にその思いをぶちまけ始め、それが快感となってやめられなくなり、今日まで続いているそうである。
今もこの毒舌ツイートの存在を旦那さんは知らないし、こうして本書が出版されたことも教えていないとのことだが、それがいいだろうと私も思う。
本書には数百というツイートから厳選されたつぶやきが掲載されているが、旦那さんがこれを読んだら精神を病んでしまう可能性がある。
少しだけそのつぶやきを抜粋してみよう。
“明らかなチャンスボールを己では打たずに軽打で繋いで、私が次の球を打って失点したら「ドンマイ」なんて言う。お前がチャンスボールを打てばよかったんだよ!何がドンマイだばかやろう!”
“サーブやレシーブのサインはすべて私が出しているが、私生活でも夫は指示待ち人間で困る。ちっとは自分で考えて動けよ。嗚呼、どこかにイケパー(いけてるパートナー)いないかなあ”
“私が人生を終えた時、こんな人と一緒のお墓に入るのはイヤだなと思う。
夫のスマッシュが入らないのだから、私も一緒のお墓には入らない。
目には目を、入らないには入らないをだ”
とまあ、こんな感じで実に辛辣なつぶやきが満載なのであるが、この不満を直接本人にぶつけていればまだ救いがあるんだけど、旦那さんとは卓球のことで喧嘩することなど一切なく、夫婦仲も良好なのだというから逆に恐ろしい。
表面上は仲良くしつつ、裏でツイッターで不満をつぶやき続けているだなんて・・。
そんでね、驚くことに、本書はすでに実写化の話も持ち上がっているそうである。
自分がモデルになっているとは夢にも思わない旦那さんと、夫婦で仲良く(表面上は)映画館へ観に行くのだろうか。
せめて旦那さんの役をイケメン俳優がやってあげてほしいなあと思う。
本書は技術書のたぐいではないので読んでも強くなるヒントはどこにもないが、ちょっと過激なエッセイ・ネタ本としては十分に楽しめる。
ただし、既婚者の男性が読むとグサッとくるかもしれないので、メンタルが弱い人は読まないほうがよいでしょう。
点数82点
ナルコさんこんにちは いつも更新楽しみにしています
今回の記事、題名だけ見たとき艶っぽい話かと勘違いしてしまいました
勝手に妄想してしまったことをお詫びいたします
キロさん
期待と反して申し訳ないですw(著者に代わってお詫びします)。
しかし鋭い指摘です。
実はこのタイトル、最近話題になったある本(艶っぽいタイトル)のパロディなのです。
その本のことを知っていればクスッと笑ってもらえるかと思いますが、そこを気づいている人はほぼいないんじゃないかと思いますねえ・・。
タイトルを見てすぐに『夫の○ん〇が入らない』のパロディであることがわかりました。著者名の選定も素晴らしく、一気によんでしまいました。素晴らしいパロディ作品にしあがっています。『夫のサーブが入らない』『夫のツッツキが入らない』『夫のバックハンドが入らない』などの続編を期待してしまいます。
ペンドラ直ちゃんさん
コメントありがとうございます!
お、気づかれましたか。
パロディとわかってもらってなんぼのネタなので、すぐに気づいて頂いてありがたい限りです。
お褒めいただきめちゃ嬉しいです。
続編あるかなあ 笑
あるとしたら「すべての技術が入らない」かもしれませんねw