卓球王国を読む 2018年9月号

 

今月号は、エアコンが効きまくったドムドムバーガーでゆったり読み倒しました。

 

 

しまった! 間違えて韓国ドラマ&スターの情報誌『韓流ぴあ』を買ってしまった! と思って一瞬焦ったんだけれど、よく見たらちゃんと卓球王国であった。

そんな9月号の目玉企画は、韓流アイドル顔負けの端正なルックスを持つ韓国選手・鄭栄植特集で、先の世界選手権で日本をどん底へ突き落とした男・鄭栄植へのインタビューと、最大の武器である「鉄腕バック」の技術解説、という内容。

こちらの企画が必読なのはもちろんだけど、ここで取り上げるのはもうひとつの注目企画のコチラ、

水谷は無駄な練習をやらない
VOL.1 フットワーク練習

こちらは、8月中旬に発売予定のDVD水谷は無駄な練習をやらない 水谷隼56の最強練習』で紹介されている56種類の練習の中から、いくつかのメニューを抜粋し、練習の目的とその時に水谷選手が何を考えて行っているのかを紹介する、という企画。

 

「無駄な練習をやっていては強くなることができない」と断言する水谷選手。
第1弾はフットワーク練習を紹介しているんだけれど、その前に「無駄のない練習をするための心得」が紹介されており、この基本的な考え方を理解することが、無駄なし練習法にとって最も重要なことだと感じたので、そこをちょこっと紹介したい。

練習の紹介に入る前に伝えておきたいことがある。大前提として、ぼくは毎日練習ができることに感謝している。ケガをしてしまえば練習はできないし、練習場所や相手がいなければボールを打つことができない。それらがクリアされて、卓球ができている喜びを噛み締めながら練習すると、1球も無駄にできなくなる。このような考えを持つことができれば、必然的に無駄な練習は減っていく。

どんな効率的な練習法なんだ!?教えてくれ!早く早く! と前のめりになっていた私には、まず「感謝の心を持て」というのは目から鱗であった(がっついた己を恥じたい)。

そして無駄な練習の具体的な内容についてはこう話す。

ぼくの中で無駄な練習とは、「試合で絶対やらないことを練習する」ことだ。
たとえば、前陣で両ハンドのカウンター攻撃を軸にプレーする選手は、後陣でのロビングの練習は必要ない。下げられた場合にロビングができたほうがいいと考える選手や指導者もいるが、それならばロビングの練習よりも、下げられないためのシステム練習を考え、増やしたほうがいい。無駄のない練習とは、自分が試合でやること、もしくはこれからやろうとしていることを磨くことを意味する。

これの逆がまさに現役時代の私で、さんざん練習したのに結局試合では使わない、てなことのオンパレードであった。太宰治先生の人間失格風に言うと「無駄の多い卓球人生を送ってきました」ということになる。

今の私のようなホビー卓球であれば無駄なことをやっていても何の問題もないんだろうけど、全国のトップレベルを目指そうって人はそんな暇はない。
いかに無駄のない練習をするか、その教えを乞う相手として、誰よりもストイックな水谷隼ほど適している人はいない。

 

ミート打法の新時代到来?!

今月号で私が個人的に最も楽しんだのは、目次でタイトルを見ただけで思わず興奮しちゃったコチラの企画

注目の高校生・手塚崚馬に学ぶ
異才の卓球「手塚式パンチ打法」

私がいま最も注目している、手塚崚馬選手(てづか・りょうま/明徳義塾高1年)の特集である。昨年の全中王者で、今年のインターハイでも要注目の選手である手塚選手。
いったい何が異才かというと、ドライブ全盛の時代に弾き打つ打法で戦う、生粋のミート系男子という点である。

その打ち方を王国ではパンチ打法と命名しており、手塚選手のプロフィールの戦型も「右シェーク両面裏ソフト前陣“パンチ”型」となっている。文中でもミート打ちという言葉は使わず、「フォアパンチ」「バックパンチ」「ストレートパンチ」など、パンチという表現を徹底しているところがおもしろい。

私も3月に行われた東京選手権でたまたま手塚選手の試合を生観戦したんだけれど、その想像を超える両ハンドの叩きっぷりに身震いするほど感動したのを昨日のことのように思い出す。

「ドライブ全盛の時代にパンチ打法を選択する」というのは、水泳に例えると、自由形はクロールで泳ぐのが常識とされている中で、1人だけバタフライで泳いでいるようなものである
あるいはゴルフに例えると、ゴルフクラブを使わずに足で蹴っているようなものだ(ルール違反じゃね?)。

とにかくそれくらい常識破りということである。

元々はドライブマンだったがある時期から伸び悩み、明徳の佐藤建剛監督のアドバイスによってパンチングスタイルに舵を切ったという手塚選手。
本企画は、新スタイル構築に至るまでのいきさつ、用具のこだわり、練習や戦術のことなど、手塚選手のあれこれを、佐藤監督と手塚選手本人が解説するという内容である。

 

様々なボールに対してスマッシュできるという手塚選手の強さの秘密はいくつかあるが、ひとつだけチョイスするならば、それは「巧みなチャンスメーク」である。

見た目以上に切れている! ぶつ切りツッツキ
チャンスメークの技術としてもうひとつ優れているのがツッツキだ。相手が下回転系のサービスを出すときは、ツッツキレシーブでコースを突き、相手のループドライブに対して両ハンドパンチで狙うのも手塚の得意とする戦術だ。
「手塚はツッツキが非常に巧くて、そこからスマッシュにつなげるパターンも武器のひとつ。見た目以上に切れているので、対戦相手がネットミスすることも多い。ただし、上のレベルだと狙われてしまうので、今度は台上で攻撃をしかける技術も必要。ツッツキと台上攻撃、両方あることで、ツッツキがさらに効くようになるはずです」と佐藤監督も語る。

手塚選手のおもしろいところは、パンチングスタイルを表ソフトではなく裏ソフトでやっているということ。
サービス、ツッツキ、ドライブなどが表ソフトより回転がかかる、という利点を活かしたチャンスメーク術を自在に使いこなすということは、裏の回転力と表のようなミート打法のいいとこ取りのスタイルということになる。

完成すればまさに最強の戦型なのではなかろうか。おそるべしパンチ型。

まだ進化の途中である手塚選手の今後に期待せずにはいられない。
とりあえずインターハイでこのパンチ王子がどんなあばれ方をしてくれるのか、楽しみで仕方がない。

 

さて9月号は、いつも以上に内容が濃厚だったので、他にも語りたいことがいくつかあるんだけれど、ここまででだいぶ長くなってしまったので、泣く泣くこのへんで終わりとしたい。

来月も、手塚選手ばりのパンチの効いた企画に期待。

 

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