【60年の歴史に幕】卓球レポートを読む 2018年4月号

 

ついに今月号をもって60年の歴史に幕を下ろす卓球レポート。
寂しさもあるが、どんな内容なのかとワクワクしながらページを開いた。

 

球史に輝く選手たち

最後の卓球レポート、目玉企画はコチラ!

【カラー特集】
卓球レポート60年の軌跡
時代を制した技よ、もう一度

最後のカラー特集は「これまで卓球レポートの紙面を飾ってきたトップ選手たちの連続写真をよりすぐって紹介」という、まさに最終号ならではの企画。

この特集は2部構成となっている。

chapter1
「時代を制したサービス&レシーブ」

卓球史に輝くサービスとレシーブの名手たちの連続写真を掲載しながら、サービスとレシーブの進化の過程をたどる、という内容だが、登場選手がすごいのである。

・荻村伊智朗のサービス、大関行江のレシーブ
・荘則棟、郗恩庭のサービス
・ワルドナーのサービス
・シュラガーのサービス
・松崎キミ代、河野満のレシーブ
・ワルドナー、ボルのレシーブ
・コルベル、張継科のレシーブ

どうですか、このラインナップ。目次を見ただけでも震えるではないですか。

例えば、1960年代に3度の世界王者に輝いた荘則棟の下回転サービスについて。

当時の卓球レポートでは「世界ナンバーワン荘則棟のサービス」という見出しを付け、「彼のサービスはほとんど手首だけで出され(腕の振りが日本選手に比べて非常に少ない)、しかも変化に富んでいる」と解説しているが、その記述通りの非常にコンパクトなスイングでボールに下回転をかけている。

 

それがコチラ↓

なんとシンプルなサービスでしょう!

当時はペンホルダーが「手首を利かせやすい」という利点を生かしたサービスでブイブイ言わせていた時代であるが、次のページでは、ワルドナーがどのようにシェークのサービスを進化させたかを紹介している。

こうして各時代のレジェンドたちを比較しながら技術を学べるのは非常に楽しくてワクワクする。

chapter2の「時代を制したラリーテクニック」も、
「世界卓球史上に残る最も偉大なプレーヤー」と言われた松崎キミ代から、現代卓球の申し子・張本智和まで、総勢23人のレジェンドが揃い踏みである。

中でも目を奪われたのが、パワフルなフォアハンドを武器にオリンピックを制した2人のコリアンペンホルダーである。

(前略)
男子シングルスの初代金メダリストに輝いたのは、当時の優勝候補だったワルドナー(スウェーデン)や中国勢ではなく、地元開催に燃えた劉南奎(韓国)だった。劉南奎の快挙の様子を、当時の弊紙では「すべるように逃げるボールを、大腿筋を震わせて劉が飛びつく」などと興奮気味にレポートしている。
劉南奎に続く韓国選手として、16年後の2004年アテネオリンピックで、柳承敏が金メダルを獲得する。柳承敏の金メダルも、決勝で圧倒的に分が悪かった王皓(中国)を倒しての劇的な勝利だった。
二人の韓国選手に共通していたのは、爆発力だ。足を使って迷いなくフォアハンドで攻め込むスタイルは大舞台に強い。そんなペンホルダーのメリットを感じさせる二人の快挙だった。
(後略)

 

最近の韓国は2人のような伝統的なペンドラがいないが、このレベルのペンドラが現れたら、現代でも最強中国を大舞台で吹っ飛ばせる可能性を大いに秘めているはずである。
2人の迫力あるフォアドライブの写真は、そんな期待を抱かせてくれる。

こうして技術の変遷をたどりながら改めて学び直すことができるのも、歴代の編集者が集めた膨大な資料があるからこそであり、それを享受できる我々卓球ファンは、なんという幸せ者であろうかと、しみじみと感じる。

 

卓球事件簿と読者からのメッセージ

そしてもう1つの目玉企画はコチラである。

「カラー特集」
Our Memories
〜卓球史を彩る名シーンの記憶〜

コチラは、1990年以降を振り返って、読者にも取材者にも大きな衝撃を与えたいくつかのシーンを写真とともにお届けする、という内容。

ここ最近の卓球界の事件簿をおさらいしながら、未来に起こりうる新たな衝撃的事件を夢想する楽しさが味わえる企画となっている。

また、今月号では、休刊にあたり、読者から届いたメッセージを掲載しているが、中学生の頃から卓レポにお世話になっている私としても、読んでいてグッとくるものがあった。

 

こんな感じで今月号は、卓球の歴史を全部ぶっ込んだ、CoCo壱もびっくりの「卓球全部乗せ」的な、マニア垂涎の内容となっている。

これまで卓レポをほとんど読んだことがないという人も、この最終号だけは手元に置いておいてもいいのでは、なんて思います。

卓レポは、今後はウェブサイト「卓レポ.com 」で情報を発信していくとのことなので、我々卓球ファンはこれからも卓レポとたわむれることができる。

そして私はバックナンバーを取り寄せて読み漁る、という新たな卓レポライフをスタートさせたいと思っております。

そんなわけで、
ありがとう卓レポ!
さよなら紙媒体の卓レポ!

 

とは言え、卓レポは廃刊ではなく休刊である。

またいつの日か・・・なんて、かすかな希望を抱いている私もいるーー。

 

4 件のコメント

  • 時代の流れを感じますね。
    ネット時代の今でも卓レポの果たす役割は大きいと思いますが、いろいろ事情もあるんでしょうね。
    卓レポには感謝の思いしかありません。

    • ラケットマンさん
      指導者も選手も、あらゆる卓球人に影響を与えたその功績の大きさははかり知れませんよね。
      卓レポがなかったら今の卓球界もなかったでしょう。
      「感謝」
      まさにこの二文字しか思い浮かびません。

    • 犬山次郎さん
      その可能性はあるかもしれませんね。
      メーカー発行の専門誌は何かと大変なんでしょうねぇ・・。

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