選手選考と代表監督の苦悩


卓球界がざわついている。

ロンドン五輪の卓球女子団体で銀メダルに輝いた平野早矢香の所属するミキハウスが、卓球の世界選手権個人戦(4月26日開幕・蘇州=中国)の日本代表選考を不服として、近く日本卓球協会に抗議文を提出することが27日に分かった。

同社によると文書は木村皓一社長名で、選考の見直しや透明化を求める内容という。

 

日本協会は19日に発表した女子ダブルスの代表に国際舞台での実績を評価して、ともに14歳の伊藤美誠(スターツ)平野美宇(エリートアカデミー)組と、福原愛(ANA)若宮三紗子(日本生命)組を選んだ。全日本選手権を2連覇した平野早、石川佳純(全農)組は選出されなかった。

 

日本代表女子の村上恭和監督はメンバー発表時に「全ては国際競争力。平野早、石川ペアはラリー派で(世界の)相手もラリーが強いから敵が多過ぎる。日本では勝てるが、世界では勝てない」と選考理由を説明した。

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木村社長はかなりご立腹のようだが、その気持ちわかります。

全日本選手権を2連覇したペアが選ばれないというのは、普通に考えれば納得がいかない。

平野早・石川ペアは全日本で伊藤・平野美ペアにも勝っているし、福原・若宮ペアは出場すらしていない。

 

日本人としてこれ以上ない成績を国内でおさめたにも関わらず選出されないのならば、選手としては、じゃああらかじめどの大会で好成績をおさめれば選びますよというのを教えておいてくれ、という気持ちになるだろう。

 

とは言え、「世界で勝つ」ということを意識した人選をしなければいけないというのもわかる。

村上監督の言うように「日本では勝てるが、世界では勝てない」選手より「日本では勝てないが世界では勝てる」選手を選ぶ方が、中国を倒すという奇跡を期待できるかもしれない。

 

先日引退した、王子サーブでおなじみの福岡春菜選手も、国内ではチャンピオン級ではなかったが、そのサービス力を買われ、日本代表として活躍した。

 

少し前の世代でいうと、田崎俊雄(現明治大学監督)さんもそうだ。

全日本選手権でのシングルスの成績はそれほどでもないが、ペン表ソフト速攻型で両ハンドで打ちまくる田崎さんは当たり出すと手がつけられず、オリンピックなどの大きな大会では、世界のトップ選手を次々と撃破し、大活躍した。

 

成績だけでは計れない強さを見極める能力というのも、監督の重要な資質であり、力量が試されるところでもある。

他のスポーツでも、落選をめぐる騒動はたまにある。

その中でも日本中が驚いたのが、1998年のサッカーフランスワールドカップ直前の、キングカズこと三浦知良と北澤豪の落選。

 

当時の日本代表監督の岡田武史氏が、「FOOT×BRAIN」に出演し、2人を落選させた内幕を語ったのだが、それによると、

 

「あのとき僕も若かったし、必死になって考えて…。正直、カズはあのときあまり調子は良くなかったですよ。(調子が)戻ってきてくれと思ったんだけど、『こういう時はこうする』とかいろいろな状況を想定した時に一番出てくる回数、場面が少なかったんですよね。僕の中で。僕はチームが勝つためにはこうするべきだと思ってやった」

(中略)

そして三浦知良がつけていた背番号11を引き継ぐ形でフランスW杯メンバーに選ばれた小野伸二について岡田氏は「あの時のチームはヒデ(中田英寿氏)がいなければ攻撃にならなかったですよ。ヒデが万が一、怪我をしたらどうするんだと。(小野)伸二の“天才”に賭けるしかないかなと」「ヒデがいない時はどうするんだと(いう策が)、僕の中では浮かばなかった」と、当時のチーム内情を交えて選考理由を述べた。

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う~ん、「伸二の“天才”に賭けるしかない」というのは考えさせられる言葉ですね。

村上監督も「みうみまの“天才”に賭けるしかない」といった心境なのかもしれない。


岡田監督は「理屈で考えて答えが出ない時にどうするか、直感なんですよ」とも語っている。

その直感は「こうしたら恨まれる、叩かれる」といった「私心」があると当たらなくなるので、私心なくチームが勝つための策を考えられる状況になるために自分を追い込む、とのこと。

 

自分を追い込み、心を鬼に、或いは無にして最後は直感で決める。

どの選手を選べばどの程度の確率で勝てるなどということは誰にもわからないわけで、結局成功すればその手腕を褒められ、失敗すれば人選ミスだと叩かれる。

 

嗚呼、監督業の辛さ、ここに極まれり。

 

ただやはり、今回の件に関して言うと、全日本選手権2連覇というのは実績として大きい。

これで落選してしまっては、何のための全日本選手権なのかわからない。

 

落選がニュースになると言えば、NHKの紅白歌合戦もそうであるが、紅白出場の選考基準は、「世論」「今年の活躍」「企画・演出」が“3本柱”なのだという。

選考基準が曖昧でも許されるのは紅白ぐらいにして、卓球協会にはもう少しわかりやすい選考基準を作ってもらいたいものである。

期待してます!
 

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