偉関晴光さんの書籍紹介の続きです。
(前回の記事はコチラから)
元中国代表であった偉関さんは、中国卓球に精通している。
と同時に、日本で選手として指導者としての長い経験もあり、日本の卓球にも詳しい人である。
2つの国の卓球を知り尽くした偉関さんの書いた本書には、中国卓球と日本卓球の違いについての指摘が多くある。
例えばフットワークについて、本書では次のように指摘している。
昔からフットワークが良いと言われてきた日本卓球だが、現在の多くの日本選手には2つの弱点がある。それは「前後」と「ランダム」である。
日本の選手は横方向へのフットワークに関しては、非常に良い動きをするが、それに比べると前後の動きは対応力が低い。その理由は、単純に前後のフットワークの練習量が足りないからだと思われる。
日本の選手のフットワーク練習は横方向のものが多い。しかし、中国では前後フットワークに非常に多くの時間を費やす。特に台上技術からのフットワーク練習は、実戦でも多く見られる展開なので、その重要度は高い。
台上からの展開や、前陣・中陣の切り替えなど、日本の選手はもっと前後のフットワーク練習をして、全面的な強さを身につけることが大切だろう。また、前後のフットワーク練習といっても、単純な規則的な動きではなく、台上技術から下がって強打したり、中陣から前へ飛び込んで強打する訓練を多球練習で行うのが良い。(後略)
(第5章 フットワーク 108~109頁から抜粋)
確かに、私も現役時代にいろいろなチームの練習に参加したが、前後のフットワーク練習というのは、あまりやっているところを見たことがない。
中国選手の驚異的なフットワークは、前後左右に動く全面的な強さを徹底的に鍛えているからできるものなのですね。
そう言えば、金択洙や柳承敏といった、中国選手と対等に渡り合える韓国の超人選手も、前後左右に動きまくるえげつないフットワークの持ち主だ。
日本人選手なら水谷が前後の動きを得意としている印象があるが、やはり前後のフットワークの強化は超一流への必須条件なのだろう。
そして中国卓球は、練習のやり方も違えば、卓球に対する考え方にも独自のものがある。
そのひとつに、「百花斉放」という思想がある。
中国卓球的視点⑦
一人ひとりの個性とスタイルを重視する
百花斉放という思想選手のクセを直すのは時間がかかるし、大変なことだ。中国でも、選手の打ち方のクセを直すために、手を縛ったりすることもあるが、そういうケースはほとんどがうまくいかない。
最初の段階でひとつの技術だけを練習するのではなく、なるべく全面的な練習をすることでクセはなくなる。そうすれば、グリップ(握り)や打ち方というのはクセではなくその選手の個性になる。フォームだけ見たら、日本選手の方がきれいかもしれない。中国選手は一人ひとりがバラバラのフォームだが、実践的なフォームになっている。選手は一人ひとりが筋力や骨格も違うのだから、フォームが一人ひとりが違うのは当たり前で、それが個性だ。中国で強制的にフォームを直すのは本当に珍しいことだ。(中略)
今でこそ、中国はシェークハンド攻撃型が主流となっているが、もともと中国には「百花斉放」という思想があり、いろいろな個性的なスタイルを尊重する考え方がある。
これはもともと1956年に中国共産党の毛沢東主席が提唱した思想で、様々な思想や理念を尊重し、開花させるという意味で、そのまま卓球に置き換えられた。その基本的な思想は今でも変わっていない。昔はチームに必ず表ソフトのペンホルダー選手を入れるという規則があったが、今でも一部の大会で、チームにペンホルダーをエントリーするという規則は生きている。
ひとつの型ではなく、様々なプレースタイルがあっていいという考え方は中国卓球の特徴でもある。一見、同じようなスタイルに見えても、実は一人ひとりが個性的なのが中国選手だ。(中略)
以前よりも、カットマンやペンホルダーの選手が減り、シェーク攻撃型が多くなっているとは言え、プレースタイルの根本には百花斉放という思想が息づいている。
(第6章 フォアとバックの切り替え 130頁から抜粋)
かつては、日本が卓球をお家芸としていた時代があり、中国はそんな卓球王国日本を徹底的に研究し、様々なことを学びながら追い駆けていた。
けれど今は、中国が圧倒的な卓球大国であり、日本は「打倒中国」のスローガンを掲げ、その背中を追っている。
今の日本代表の選手は世界でもトップレベルではあるが、やはり中国にはまだまだ及ばないのが現実である。
ジュニア世代では日本と中国のレベルの差はあまりない。
ジュニアの世界チャンピオンも日本から誕生することもある(団体も個人も)。
しかし数年経ってみると、あらやっぱり世界チャンピオンは中国人、となっている。
なぜそうなってしまうのか。
それは卓球に対する考え方や取り組み方が根本的に違うからではないだろうか。
卓球哲学・思想、練習のやり方など、中国との違いは多くあり、それがレベルの差となって表れている。
そうであるならば、それはトップ選手や代表監督だけの問題ではないだろう。
小学生選手・中学生選手や、その世代を指導する人たちも考えなければいけないことだ。
中国をただひたすら真似すればいいというわけではもちろんない。
かつての中国が日本卓球を研究して大国へとのし上がったように、中国卓球を学び、そこからまた新たな日本の卓球を生み出せばいいと思う。
そのためにはまず、中国卓球を知ることが必要だ。
そこで読んでもらいたいのが本書なのである。
本書は中国卓球を理解するために最適な一冊で、本当にお勧めです!
以前、中国の張継科に憧れて背中に大きなタトゥーを入れたという卓球選手に会ったことがあるが、中国卓球を学ぶということは決してそういうことではないので、学生選手の皆さんはくれぐれも影響の受け方を間違えないように!
※張継科は腕と背中にタトゥーが入っている
[…] 『世界最強 中国卓球の秘密』 監修:偉関晴光 その2 […]
中国は本当に個性的ですね
日本みたいに教科書通りの綺麗な打ち方でもなくプレースタイルも十人十色です
日本だとペン表だと速攻型が連想されるんですが中国では普通にペン粒で表張っている人もいます
それらもサーブで崩し粒高でチャンスを作り仕留めたり逆にナックルや変化球で惑わすスタイルや両ハンド攻撃も普通に見かけます
日本だとペン粒高はブロック重視の守備重視のスタイルで中国のスタイルは考えられない事なんですが
後はドライブマンでは日本では考えられないフルスイングの打法も大変見かけます
日本でそんな事したら説教物ですが
日本と中国の考え方の違いを感じます
つばきさん
ほんと個性的ですよね。
個性を大事にするという考え方がベースにあるから、あれほど次々に個性的な選手が誕生するんでしょうね。
日本ではペンの裏裏選手でさえトップレベルの選手は出てこないからさみしいですね。
中国はペン粒も個性的なんですね。
そういえば帰化したペン粒おばちゃんも個性的な卓球でいまだに強いですもんね。
日本も教科書通りの卓球からかなり脱却してきているので、これからはペンやカットマン、ペン粒といったトッププレーヤーの誕生も期待できるかもしれませんね!
あのペン粒おばちゃんフェイントロング2,カールpー1使ってドライブや角度打ち使いまくって攻めまくると言う日本では考えられないをやっているんですよね
むしろ粒高ブロックはそんなに試合では使っていなく鉄壁のペン粒ブロックマンと言うより変化攻撃卓球なんですよね
日本ではそんなの張っていたらブロック重視の守備卓球になってしまうから
顧問からとにかくブロックを最優先で仕込まれますし、粒高張ったら角度打ちやドライブは仕込まれずどうしても打てない選手なってしまいますし
この辺りも中国での考え方の違いを感じます
ドライブマンも大概がシェイクドライブマンでわざわざペンでドライブマンと言うのは凄く少ないですし
片面ペンドラはいても裏面使いの両ハンドライブ型日本では希少種レベルですし
同じペンはペンでも国毎に考え方の違いがこうも違うのか改めて考えさせられますね
つばきさん
やはりすごいおばちゃんなのですね。
粒でドライブや角度打ちを連発するとは、よく考えたらとんでもなく恐ろしいスタイルですね。
確かに日本ならまずブロックをしっかりやれとなりますね。
攻撃は反転してチャンスボールを狙いにいくだけ、みたいな。
反転ではなく粒のほうで自在に打てることが大事ってことですね。
国別のペンに対する考え方、これはほんとに興味深いです。
ヨーロッパでペン選手が出てくれないかと切望してますが、勇気を出してわざわざやる選手はいないでしょうね。
体格を活かしたペンの裏裏なんてピッタリだと思うんですけどw
ラリー中に反転出来たら凄いとは思いますが現実としては玉が早すぎて回す時間が有りませんね
其れに粒高で打てないと相手からして見れば怖く有りませんし理に適った卓球です
日本でペン粒と言えば理想型は山下選手の卓球なんですがもはや時代遅れです
話しは変わりますがヨーロッパはどうでしょうね
ヨーロッパの選手は体格が良い選手が多いのでバワーを活かし易い卓球になりやすいとは思いますが
ペンはむしろ中国が出るかも知れませんね
つばきさん
ラリーが速くなりすぎてトップレベルでは反転も難しいということなんですね。
裏目をブンブン振るペン粒のトップ選手を観てみたいものですね(特に日本の選手で)。
ヨーロッパのペンはなかなか難しいでしょうね。
フォア表のM.カールソンのように、チャレンジ精神旺盛な選手が出てくるのを期待ですね。
日本では多分無理です
中国は周シントン選手や陳選手など粒高を上手く使って勝とうとしていますが日本では今だに山下選手の卓球にしがみついています
で結局ブロックばっかり仕込まれてブロック覚えたらカット仕込まれてそれで相手をミスさせる卓球が主流になっています
周りこんで打ちませんし裏面も使いません
裏ソフト張っていてもドライブもほぼ使いません
多分日本選手は期待出来ないです
むしろ粒高使いは中国の方が期待出来ます
日本は今だにペン粒ブロックマンかカットマンしか考えられていないです
要はペンで粒高張ったら打たせないです
裏ソフトも片面に貼らさせてはいますがあくまでサーブ用に留めています
と言うか粒高を最初に使ったのは中国です
卓球王国日本の頃にドライブ対策として中国が最初に使いました
こっそり張って当時は解らなかった粒高の特性を使って日本選手を翻弄して中国が勝ちました
それで中国が勝てて日本が後からパクっただけの話しです
もうその時点で粒高の研究が一歩上ですね
つばきさん
なかなか日本では厳しいようですね。
粒イコール守備(ブロック)という思想がしみついていては斬新なスタイルも生まれないですもんね。
ペン粒のスター誕生は中国にお任せするしかなさそうですね。
粒高のスターが日本に来て卓球教室を開いて子どもたちを教えるようになれば、もしかすると優秀な粒高選手が誕生するかも、なんていう淡い期待は捨てきれませんが・・。
根底に有るのは山下選手ですね
其れが基本型になっているから用具や技術が発達していても思想が変わっていなくていつまでもたっても変わらすブロックやカットだけで防ぎきってミスをさせる卓球が大多数です
キムユンミ選手みたいに裏面粒高と言う考えすら持たないです
中国から帰化選手になってその後指導者の道に進んでその指導者に教えをこうとも考えられますがペン粒自体ドマイナーな戦型なのでかなり難しいです
正直日本ではペン粒高自体の研究が未発達なので手っ取り早く強くなりたかったらペン粒自体のスタイルを否定して変化表ソフトや表ソフト張って攻撃重視のスタイルの方が強くなれます
つばきさん
なるほどそうなのですね。
まあ確かに、憧れる対象が近くにいないという状況じゃ、やりたいと思うきっかけがないですよね。
ではペン粒は中国に期待しましょう。
ペン表もほぼ同じような状況なので、私としてはこちらのほうも寂しく感じます。
今年のカデットはペン選手の前出選手が優勝したので、彼が日本代表になることが希望です(表ではないけれど)。