【卓球雑学】 無名の英雄が練習パートナー!? 中国代表チームの、秘密の特訓法

 

本日は、先日書評を書いた、「世界最強 中国卓球の秘密」(監修:偉関晴光)から拾った、中国に関する卓球雑学をご紹介しようと思う。
まずは中国選手の精神面の強化について。

いくら高度な技術や戦術を持っていようと、強靭な精神力なくしては十分にその力を発揮できない。
中国選手の試合を観ていると、めちゃくちゃタフな精神力を持っているように見えるが、その裏には日頃の厳しい訓練があるようだ。

そしてその鍛え方が、何とも面白いのである。

最近、中国の国家チームは解放軍の軍事訓練に参加し、精神面を鍛えることを定期的に行っている。これは、80年代の一人っ子政策以降に生まれた選手の精神面での弱さを克服するための訓練である。
代表チームでは昔から、精神面の訓練としてわざと冬の北京の寒い時にランニングをするとか、雨の日に走ったりする。また、体育館の中でスピーカーなどで騒音を出して騒音訓練を行い、世界選手権などの大会と同じ状況を作って練習を行う。
さらに、車で1時間くらい走った後に、体育館に駆けつけて10分後に試合をさせるという訓練も行っている。これは海外に遠征した時にホテルから会場まで遠いことを想定した訓練だ。
また、いつもは昼寝をしている時間帯に急に練習を入れて、選手にとって嫌な状況の中で訓練を行うことで、実際の試合でのタイムスケジュールの変更に対応するシミュレーションを行う。大きな大会前には、わざと練習場所を変えて、普段とは違う慣れていない場所で合宿生活をさせることもある。(後略)
(270頁 第12章 戦術と練習 より抜粋)

合理的な練習を常としている中国が、こんな漫画に出てきそうな精神鍛錬法を行っているとは・・。
ボクシングの亀田家のように、独自のトレーニング方法で強くなるスポーツ選手はたまにいるが、国の代表チームでそれを行っているということに驚かされる。

また中国では、代表チームとなると、選手だけでなくコーチにも競争意識を持たせるようなシステムが確立されている。

 中国では国家チームにも省のチームにも複数のコーチがいて、選手の指導は担当制になっている。国家チームの場合は、男子1軍は選手20~25人に対して、担当コーチは4~5人。女子1軍、男子2軍(主にジュニア)、女子2軍にも担当コーチがいて、その上に男女の監督がいる。
コーチはそれぞれ数人の選手を担当して、指導するという強化システムだ。(中略)
つまり、選手同士の競争だけでなく、担当コーチ同士にも競争意識を持たせることになる。選手の成績は担当コーチの評価につながり、給与や任期の更新などにも関係してくる。
(272頁 第12章 戦術と練習 より抜粋)

チーム内でコーチ同士の競争をあおったりなんかして、ギクシャクしないのでしょうかねえ。
例え中国が団体戦で世界チャンピオンになったとしても、自分の担当選手が試合に出ていなかったら、素直に優勝を喜べないんだろうね。

 

それは個人戦でもきっと同じはず。
個人戦では同士討ちになった場合はベンチコーチには誰も入らない。
中国卓球界にとってはどっちが勝ってもいいよね、という建前があるからなのだが、それぞれのコーチとしては、「どっちが勝っても中国から世界チャンプが誕生だ、よかったよかった、アハハ」などと平静を装いながらも、心の中では全身全霊で担当選手を応援しているということなんだろう、きっと。
そう考えると何だか面白いね。

そして中国には、「無名の英雄」という陰の実力者がいるという(何だか不気味!)

 昔から中国では代表チームの中で、仮想選手(コピー選手)を作り、訓練を行う。日本が強い時期には「仮想日本選手」、ヨーロッパが強い時には「仮想スウェーデン選手」「仮想ハンガリー選手」が主力選手の練習相手になった。彼らは「無名の英雄」と呼ばれている。
2軍や地方の省チームから戦型が似た選手を見つけて、国家チームに呼び、その選手に本物の選手の技術や戦術を覚えさせて、主力選手の練習相手をさせるやり方だ。時に、仮想選手が強くなって代表選手になることもある。
(272頁 第12章 戦術と練習 より抜粋)

これまた格闘漫画的な特訓ですねえ。
コピー選手をやらされる選手は複雑な気持ちなんだろうね。
それなりのギャラをもらわないとやってられない仕事なのではないだろうか。

 

サッカーの日本代表でいうと、小柄な選手を見つけて「ちょっと君、メッシのコピー選手になってくれないか。代表選手相手に高速ドリブルをやってほしいんだよ」と依頼するようなものだ。
でもこの場合は、スパースターのコピー選手だからそれほど悪い気はしないかもしれないが、卓球界においては、中国の選手が他の国の選手のコピーをやらされるのはきっと嫌だろう。
コピー選手の皆さん、お察しします…(勝手に察するな)。
中国卓球は実に奥が深い。

 

まだまだ知らないことがたくさんあるはずである。

 

『世界最強 中国卓球の秘密』のような、内容のとっても濃~い、第2、第3の中国卓球本を偉関さんに期待したいところである。

 

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