『 愛は負けない―福原愛選手ストーリー』


本日ご紹介する本は、卓球界の生けるレジェンド福原愛選手について書かれた一冊。

『 愛は負けない―福原愛選手ストーリー』/生島淳(著)

 

 

2007年に出版された本(早稲田大学に入学した年)であるが、卓球選手としての福原愛がいかにして誕生し、どのような日々を重ねてオリンピック出場という夢を叶えるに至ったのか、様々なエピソードとともに振り返っている一冊。

愛ちゃん(ちゃん付けで呼ぶことをお許しください)の情報はこれまでテレビの特集や雑誌等のインタビューなどである程度は知っていたが、本書には愛ちゃんファンである私もまったく知らなかったエピソードがたくさん書かれてあり、非常に興味深く読めた。

3歳9カ月で卓球を始め、4歳で全国デビュー、10歳でプロデビューを果たし、同年代では無敵となった愛ちゃんであるが、そこまでの圧倒的な強さを身に着けられたのは、信じられないほどの猛練習があったからだ。
ミウミマの親子もそうであるが、愛ちゃんもお母さんと二人三脚で毎日毎日ひたすら練習に明け暮れたわけだ。

 

お母さんと小さい頃にやってい1000本ラリーは、とんでもなくプレッシャーのかかる練習で、「お母さん、どうしても1000本やらなくちゃダメなの?」と聞くことも珍しくなかったという。
それほどラリーを1000本続けるということは苦しかったそうだが、3歳の頃から常にプレッシャーを感じながら練習することで、試合ではあまり緊張することがなくなっていたのだという。

「試合のほうが精神的には楽だと思ったこともあった気がします」

ただ、1日中お母さんと2人っきりで毎日練習をしていると、時にはケンカをしてしまうこともあったという。
そんな時は、お母さんは怒りたいのをグッとこらえて、優しく励ます。愛ちゃんはお母さんが自分のために言ってくれているということに気づき、渋々ではあるが、練習に戻るのだった。

それでもお母さんが愛ちゃんに厳しく接したことがあった。

愛ちゃんが小学校1年生の時、練習中にいつまでも泣きやまないので、お母さんはついにこう言った。

「いつまでも泣いてるってことは、もう卓球をやりたくないってことだよね、愛? じゃあ、卓球はもうやめようよ。明日から卓球はしなくったっていい。お母さんも疲れたし、ほかのことをやりたいから」

お母さんからの厳しい言葉にますます泣きじゃくる愛ちゃん。
お母さんもこれで愛ちゃんが卓球をやめるとは思っていなかったが、少し心配になったという。

しかし愛ちゃんは、なんと反省文を書いてきたのだ。

文章の始まりは、こんな言葉だった。

「おかあさん、やめないでください」

反省文には、自分の態度を反省し、またお母さんと卓球がやりたいということが書かれてあったという。

そしてまた次の日から、親子二人三脚の練習の日々が始まった。

このくだりで私はちょっと泣きそうになってしまった。
小学校1年生がなかなかこんなことできるものではないよね、普通。
将来もし「福原愛記念館」なるものができたら、この反省文を展示してほしいものですな。

 

お母さんの心配事

日々過酷な練習をこなしていく親子であったが、お母さんには心配事もあった。
それは、娘の身長がなかなか伸びなかったこと

お母さんは大きく育つことを願って、ビタミン剤を飲むように渡していたという。
しかしこのビタミン剤を飲むのことが愛ちゃんは苦手で・・・

「これは今でもお母さんは知らないかもしれないんですが……私はビタミン剤を飲んだふりをしてトイレに流したり、庭の土を掘り起こしてそこに埋めたりしていたんです。それがお母さんにバレないかと、心配しながら学校に行ったこともありました」

福原親子のストーリーにこんな陰の苦労があったとは……。
それにしても、よほどマズかったんでしょうな、ビタミン剤……。

 

福原家は、愛ちゃんが強くなるためにはどうすれば良いのかを最優先に考え、仙台から大阪、大阪から青森へと、より良い練習環境を求めて引っ越しをした。
愛ちゃんが卓球を始めるきっかけとなったお兄さんも妹のサポート役に回るなど、まさに家族が一丸となって愛ちゃんを支えた。

こうして卓球漬けの日々を送る愛ちゃんだったが、勉強面でも非常に頑張っており、中学生になってからは、週に2回は家庭教師について勉強をしていたという。

驚くのは、高校生になってもこのペースで勉強を続け、オリンピックが目の前に迫り、合宿に次ぐ合宿の日々だった時も、家庭教師との勉強を続けていたということ。

愛ちゃん自身はオリンピックの前くらい卓球に集中してもいいと思っていたのだが、お母さんがそれを許さなかった。
それはちょっと厳しすぎるんでないの? と私は思ったが、お母さんがなぜ「文武両道」にこだわるのか、その理由を知るとなるほどと納得した。

 

本書には、お母さんの文武両道へのこだわりの他、愛ちゃん独自の勉強法など、「福原愛と勉強」という興味深い一面も知ることができる。

私は福原愛ファンであるが、本書によってバックボーンを細かく知ったことで、より応援したい気持ちが強まった。

福原愛ファンならずとも、得ることの多い本なので、手に取ってみてはいかがでしょうか?

字も大きくてサクッと読めますので、ぜひぜひ。

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