スター選手不在時代に突入か? ~ヨーロッパ卓球界の今後~


先日行われたヨーロッパ選手権、男子シングルスの決勝戦は、フランス同士の対決となった。

ルベッソンvsゴーズィの対決は、4-1でルベッソンに軍配が上がった。

おや? ルベッソンって、そんなに強かったっけ?

調べてみてもそれほど目立った活躍はないし、世界ランキングも38位である。

準々決勝でフレイタス(ポルトガル)を下し、準決勝ではオフチャロフ(ドイツ)を下して上がってきたディアス(ポーランド)を4-1で下しての決勝進出であったという。

そして決勝も4-1で勝ってるんだから、かなり絶好調ってことだったんだろうね。


ヨーロッパ選手権2016 男子シングルス決勝戦


さて、今回のヨーロッパ選手権の男子シングルスの結果は以下の通りである。

優勝:ルベッソン(フランス)
2位:ゴーズィ(フランス)
3位:ディアス(ポーランド)、ボル(ドイツ)

 

そして昨年の結果がこちら

優勝:オフチャロフ(ドイツ)
2位:フレイタス(ポルトガル)
3位:アポローニャ(ポルトガル)、イエレル(スウェーデン)

 

なんと誰一人かぶってないではないですか……。

今年を境に、ヨーロッパ卓球界はまた新たな戦いの歴史が始まったのではないかという気がする。

というのも、まず、90年代卓球界は、ワルドナー、パーソン、ガシアン、セイブ、プリモラッツ、ロスコフなど、ヨーロッパにスター選手がたくさんいた。

2000年代に入ってからはシュラガーが世界チャンピオンに輝いた。

近年では、ボル、オフチャロフ、サムソノフといったスター選手がヨーロッパ卓球界を牽引してきた。

 

で、ここからである。

我らがボル様もサムソノフ兄さんも、もう大ベテランの域に入っているので、世界トップ選手として活躍するのはややしんどくなってきている。

オフチャロフはまだまだ強いが、最近はちょっと調子が悪いし、年齢的にもそこそこベテランの域になってきた。
オフチャロフとて、圧倒的な強さを示す(一時期のボルのような)ことは難しいかもしれない。

 

つまり、これからのヨーロッパ卓球界は、中国選手とも対等にわたりあえるようなスター選手不在の時代を迎えようとしているということ。

中国で言うところの樊振東のような「次の時代はこの選手だ!」と言い切れるような選手はいない。

しかし、ヨーロッパにスター選手がいないと面白くない。
なんとしてでも現れてほしいものである。

では、その可能性があるのはどの選手であろうか?

私的には、今回のヨーロッパ選手権準優勝のゴーズィ、あるいは3位に入ったポーランドのディアスに期待したい。

ゴーズィは22歳、ディアスは21歳と、ともにまだ若く伸びしろがある。

ディアスといえば、リオ五輪の団体戦の初戦で日本と対戦した時、水谷選手を苦しめ、丹羽選手に勝利した選手である。

その時は「めっちゃ強ぇなぁ」と大いに驚いたのであるが、今回のヨーロッパ選手権でもオフチャロフを下して3位に入ったというのは、その実力が確かなものであるということを証明している。

世界ランキングはまだ45位であるが、あっという間に駆け上がることは間違いないだろう。

 

とまあ、やや無理くり2選手挙げてみたのだけれど、うーん、どうかなぁ……。

しかしやっぱりあれだね、ヨーロッパはスター選手ができてもその後がなかなか育たないよね。
いかに日本の育成システムが優秀であるかがわかるってもんですよ。


サッカー界のように、ヨーロッパ卓球界も、下部組織から育成してスター選手を育てる、なんていう環境ができないもんかね。

まあ中国や日本は競技人口も多いから、強い選手が出てきやすいってこともあるだろうと思う。

だからヨーロッパ卓球界も、それぞれの国で強化するのもいいけど、ヨーロッパジュニア育成機関みたいなものを作り、各国のジュニア選手を集めて一緒に育てていく、みたいなシステムが構築されるともっと強い選手がたくさんでてくるのではなかろうか。

 

ここはひとつ、ワルドナーやガシアンあたりに音頭を取ってもらって、ヨーロッパジュニア育成機関「ヨーロッパ・レジェンドアカデミー」を誕生させてもらいたい。

 

 

6 件のコメント

  • 日本も暗黒期から脱したとはいえまだ余裕なんてないです
    水谷選手がいなかったら世界卓球もオリンピックも確実にメダルは無理だったでしょう
    日本はジュニアまではいいんですがその後が…
    松ケンの伸び悩み、丹羽の停滞、大島の凋落
    やはりまだまだ環境がベストではありません
    全ての選手に水谷のようなモチベーションを求めるのも酷ですからね
    男子は層が薄いのでこれからが勝負です

  • ガロンさん
    コメントありがとうございます。
    おっしゃる通り、日本もジュニア世代以降が伸び悩むという悪い流れがありますよね。
    水谷選手というスーパースターが出ても後が続かなければ、ヨーロッパと同じようなものかもしれません。
    エリートアカデミーや、水谷選手が切り開いたプライベートコーチ制などのシステムが花開くのはここからです。
    日本にプロリーグができて、ヨーロッパから若い選手がたくさんやってきて、切磋琢磨しながらお互いが強くなる、そんな環境ができればいいのではないか、なんてことも思います。

  • 日本男子は今の高校生世代が高校生になってから伸び悩んでいるように見えるのも若干不安ですよね。
    粗削りではホカバも勝てないのが現実みたいなので、以前より伸びしろが少なくなってるのかもしれませんね。

  • 立野Bさん
    小学生時代・中学生時代に天才と呼ばれる選手はけっこういるんですけどね……。
    高校生からの勝負ですよね。
    私的には、木造選手に期待してます。
    その下の世代なら宇田選手あたりが順調に伸びてくれることを期待したいです。

  • いつも楽しく見させて頂いてます
    だいぶ前の記事にコメントしてすいません

    ナルコさんがおっしゃっている育成機関のようなもので以前スイス?にシュラガーアカデミーというヨーロッパのジュニア選手を育てるための素晴らしい施設があったと思うのですが
    しばらく卓球雑誌を読んでない間にこの施設の名前をすっかり聞かなくなりネットで調べても現在の状況がさっぱりわからない感じです
    ナルコさんはシュラガーアカデミーがどうなっているかご存知ないですか?

    • ティモファンさま
      コメントありがとうございます!
      当ブログを見て頂いているとのことで、嬉しい限りです。
      さて、シュラガーアカデミーの件ですが、噂によると財政的に立ちいかなくなりダメになったようですね。
      規模を大きくし過ぎて行き詰まったようです。つまり身の丈に合わないことをしてしまったとのことで……卓球界にとってはとても残念なことですね。
      現在はドイツのオクセンハウゼンにあるLMC(マスターガレッジ)というのがその役割を果たしてうまくいっているようですね。
      先日のワールドカップもそうですが、ヨーロッパ卓球が強いと俄然卓球界は面白くなりますね。

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