世界卓球の開幕が目前に迫ってきたということで、いま最も注目を集めている浜本由惟選手についてちょっこし書いてみたいと思います。
世間的にも、元ファッションモデル(女優の吹石一恵さんと同じ事務所)という経歴と端正なルックスで注目されているが、実力は本物である。
浜本選手(J0Cエリートアカデミー/大原学園)は、昨年12月に行われた世界選手権の代表選考会で優勝し、初の世界選手権代表の切符を手に入れた。
今年の全日本選手権ジュニアの部・女子シングルスで優勝。一般の部でもベスト8に入った。
プレーの魅力は、174センチという長身から繰り出されるパワフルな両ハンド攻撃。
そんないま勢いのある浜本選手であるが、これまで最大の弱点と言われていたのが「精神面」であった。
私生活でも言いたいことが言えなかったり、ズルズル引きずってしまう性格なのだという。
悲劇は3年前の全日本ジュニアの決勝戦。
あと1ポイント取れば優勝という場面で、サイドに当たったと思われるボールをエッジと判定され相手のポイントに。
気の弱い浜本選手は審判に抗議することもできず、涙・・・。
結局逆転されて負けてしまった・・・。
そして、そこから浜本選手は精神的に強くなった。
今年の全日本ジュニアの決勝の最終セットの終盤という大事な場面で、またしてもサイドと思われるボールがエッジの判定で相手のポイントに!
しかし、浜本選手は審判に対してきちんと抗議した。
判定は覆らなかったが、気持ちをしっかり持って、その後も積極的に攻撃を仕掛け、見事に勝利した。
私はこの試合を観戦していたが、正直、「精神的に崩れて負ける」と思った。
あの状況からよく立て直したものだと本当に感心したことを覚えている。
浜本選手を変えた2つのこと
浜本選手を変えたポイントは2つ。
ひとつ目は、ドイツへの卓球留学。
単身ドイツへ渡り、これまでとはまったく違う環境での練習、そしてブンデスリーガへの参戦。
この経験が浜本選手を精神的にタフにしたようだ。
そしてもうひとつは、新たなコーチの存在である。
昨年の10月から、劉潔さんという女性コーチから指導を受けているそうだが、劉さんはとにかく「褒める」ことに重点を置いたという。
才能開花の裏には新コーチの存在があった。昨年10月から指導する女性コーチの劉潔さんは「もともと力はあるのに性格が引っ込み思案で、最初はとにかく自信がなかった」と技術指導よりも性格にメスを入れることに腐心したと明かす。「とにかく毎日合う度に褒めました。プレーだけでなく、女の子なので『そのヘアゴムかわいいね』とか。そうするとプレーにも自信が出てきた」と、女性ならではの気遣いで信頼関係を築いた。
(デイリースポーツより)
指導者によってもアドバイスの仕方はそれぞれ違うが、その選手が本来持っている力を「褒める」ことによって引き出せる指導者はとても優秀な指導者なのではないかと思う。
特に女子選手には効果的なのかもしれない。
上記の記事で劉コーチは『そのヘアゴムかわいいね』などと言って褒めたと書いてあるが、私が以前このブログで紹介した、高島規郎さんが試合中に女子選手にかけた言葉は「ユニフォームめちゃくちゃ似合うね」であった。
選手の力を引き出す『言葉力』
日頃の練習の時であれ試合中であれ、技術以外のところを褒めるというのは、女子選手へアドバイスする際の大事なポイントなのかもしれませんね。
浜本選手も「コーチは心の支えになっている。『競ったときは一から』とアドバイスをくれる。今でも自分に自信はないですけど、いいコーチがついていることが自信かな(笑)」と、その存在の大きさを語っている。
浜本選手は、今後さらに精神的にも技術的にも強くなれば、世界のトップクラスの選手になるだろうと思う。
世界の女子のトップ選手は「男子化」していると言われているが、
なんと浜本選手の身長はまだ伸びているのだという。
日本人選手は体格的に小さいということもあり、中国選手のブロックを「一発でぶち抜けるパワーボール」を打てる選手がなかなかいない。
その点、これまでの日本人選手にはないパワーを持った浜本選手が、強烈な両ハンドドライブで中国選手を破る、ということも夢ではない。
うーん、東京五輪でメダルを取る可能性が一番高いのは浜本選手なのではないかという気がしてきたなぁ。
ということで、本日は以上です。
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