水谷隼の「ナックル性ブロック」の多彩な得点パターン


水谷隼選手が見事オーストリアオープンで優勝しました。 

準々決勝で荘智淵(チャイニーズタイペイ)に4-2で、準決勝ではガチーナ(クロアチア)を4-0で、決勝では第1シードのオフチャロフ(ドイツ)を4-1で下しての優勝です。

意外にもこれが今シーズン初勝利なんだねぇ。

試合動画を観る限り、今大会はものすごく調子が良さそうで、変幻自在のプレーの数々でライバル達を圧倒していた。

 

そんな水谷選手の持っている技術の中でも、私が最近注目しているのは、「ナックル性ブロック」だ。

人によってやり方に多少の違いはあるだろうけど、基本的には「ラケットを斜め下に振り下ろしながら押し込むようにして打つ」という技術。

ラリーの中でふいにこのボールが来ると、リズムも狂うしタイミングも合わせにくく非常に返しにくい。

この技術を取り入れている選手は多いと思うが、水谷選手はこの技術を得意としており、ナックル性ブロックを使った戦術のバリエーションも豊富なのだ。

例えば「バックに側に打たれたドライブをストレート(右利きの相手の)にナックル性ブロックで返球」してからのパターン。

水谷選手曰く、相手のドライブをストレートにナックル性ブロックすると、相手は「フォア側につなぐと強く攻撃される」と警戒するため、もう一度自分のバック側にドライブでつないでくる可能性が高いそうである。


「ドライブ対ナックル性ブロックでは、ナックル性ブロックの方に分があると思っている」という水谷選手は、相手がバック側につないできたドライブに対して、もう一度ストレートにナックル性ブロックを返して得点を狙いにいくのだという。

 バック側に来たドライブに対してストレートにナックル性ブロックするときは、クロス(右利きの相手のフォア側)を狙うときよりも「フォロースルー(打球後のラケットの動き)をコンパクトに抑える」ことがポイントになります。ストレートはクロスに比べて距離が短いので、フォロースルーが大きいとオーバーミスしやすいからです。
 これを踏まえて、ストレートにナックル性ブロックするときのスイングを解説しましょう。
 バックスイングでは、ラケットをあごの下あたりに高く引きます。その準備から、ラケットを斜め下に振り下ろして、ボールの正面をはじくように打ちます。フォロースルーでラケットを止めるつもりで鋭くコンパクトにスイングしましょう。

(卓球レポート8月号「水谷隼の卓球 ラリーのテクニック」より)


連続してストレートにナックル性ブロックを返すわけだが、1回目と2回目のときでは、やり方が微妙に違うのだという。

バック側に来たドライブに対してもう1度ストレートにナックル性ブロックするときは、「1回目よりもラケットを高く引き上げて準備する」ことがポイントです。このときのドライブは、相手がナックル性ブロックに負けまいと下から上にスイングしてくるので回転量が多いからです。この理由から、ナックル性ブロックを続けて使うときは、1回目よりも高いバックスイングを心がけてください。
そうして準備したら、1回目よりも鋭く大きめのスイングでボールをはじくように打ちます。
このケースでは、ボールの正面よりほんの少し左を捉えます。そうすると、打球が右利きの相手のバック側に曲がるように飛ぶのでより効果的です。

普通に試合を観ているとバックハンドの細かい技術はわかりにくいが、集中して観ていると、水谷選手がいかに多彩なバックハンド技術を使っているかがわかる。

上の動画は、オーストリアオープンの準々決勝の荘智淵戦のダイジェストであるが、ナックル性ブロックを使っているシーンがいくつか見られる。

開始25秒あたりで、強烈なナックル性ブロック(ブロックというよりややプッシュ気味ではあるが)で返球しているシーンがあるが、これなんかはナックル性で返しているのがとてもわかりやすい場面と言える。

水谷選手は、色々とナックル性ブロックを使った得点パターンを持っているので、そこらへんも注目して試合を観てみるのも面白いかと思います。

シェーク・ペン・裏ソフト・表ソフトを問わず、ナックル性ブロックはとても有効な技術だと思いますので、ひとつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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