技術の断捨離――自分の卓球を見つめ直す絞り込み作業

 

卓球には様々な技術・多様な戦術があって、その全てをマスターすることは到底ムリなんだけれども、できるだけいろんな技術や戦術を身に付けたいと思うのが卓球人としての性であると思う。

けれども、いろんなことに手を出して、あれもこれも練習することは、「強くなる」「試合で勝つ」ことを目指す場合においては、逆効果・非効率となる可能性があるのではないかとふと思った。

思えば私も現役時代は、いろんな技術に手を出しすぎて、今思えば、ずいぶんと遠回りをしたなあとしみじみ感じるのである。
結局、練習をさんざんやり込んでも試合ではまったくと言っていいほど使わないということがよくあって、それでも「これは使えたら強力な武器になる」「役に立つ時がきっと来る」と信じて練習していたのである。

ブログを書く身になった今では、いろいろ経験したことを良かったと思えるが、試合で勝つために卓球をやっていた当時の自分にとっては、かなり無駄な練習も多かったように思うのである。

その無駄な練習の時間を、得意な技術の練習に割いていたならば、もっと効率良く腕を上げていたのではないかということ。
そこで、当時の自分がもしその問題を解決する術を知っていたならば、なんて考えて、ふと思い付いたのが「断捨離」である。

以前から断捨離という言葉は知っていたけれど、そのイメージは「いらないモノを捨てる」といった漠然としたものであった。
とりあえず本で勉強してみようってことで調べてみると、断捨離関係の書籍のほとんどがやましたひでこさんという方の著作であった。

 

断捨離とは

さっそくやましたさんの本を6冊取り寄せて読んでみたんだけれど、断捨離本のほとんどがやましたさんのものであるのは当然で、実はこのやましたさんが断捨離という言葉を作った方であった(この言葉は商標登録もされているとのこと)。

やましたさんが学生時代に出会った、心の執着を手放すためのヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得て、この行法を日常に落とし込み、誰でも実践できる自己探訪メソッドとして構築したものが断捨離なのだという。

【断】家になだれ込んでくるモノの流れを、自分の意志でせき止めること(いらないモノはもらわない。買い物を吟味する。必要なモノだけ取り込む)。
【捨】家の中にあふれ返るモノをひとつずつ吟味し、手放し、捨てること(ガラクタを片づける。自分にいらないモノを売る、あげる。お気に入りのモノだけに絞る)。
【離】【断】と【捨】を繰り返すことでモノとしっかり向き合い、絞り込むことで家だけでなく自分の心もすっきり、軽やかに調っていく状態(モノへの執着から逃れる。自分がわかり、好きになる。軽やかで自在な状態になる)。

多くの人が取り組んでは挫折する「収納術」とは異なり、家の中にあふれるモノを見直すことで心に問いかけ、自分を縛りつけていることの正体に気づき、モノと自分の関係を問い直すこと。その過程で気づかないままがんじがらめにされていた執着を知って、それを手放すことが「断捨離」です。
(『断捨離流 素敵な出逢いがやってくる モノの捨て方』より)

 

この断捨離の結果、人生がごきげんになり、運気まで上げてしまおうってんだから、ただの収納術とはワケが違うってもんである。

 

そしてやましたさんの本を読んでみて、やっぱりこれは卓球に応用できると思ったのである。

クオリティが高く情報量の多い専門雑誌や書籍、ブログ、卓球教室、学校の指導者など、今は卓球情報をあらゆるところから得ることができる。
それだけに情報過多となり、いろいろなテクニックや練習法をマスターしようとして、結果的に非効率な練習をしてしまっているという人もいるのではなかろうか。

例えば、極端かもしれないが、フットワーク練習を必要としない選手というのもいるかもしれない。
素早いフットワークを必要としないプレースタイルの選手が、卓球選手の基本だからといって毎日ハードなフットワーク練習を続けることは時間の損失となってしまう。
あるいは、しゃがみ込みサービスを武器に活躍していた過去の栄光が忘れられず、効かなくなっているにもかかわらず執着している、など。

そこで、今の自分にそれが必要かどうかをじっくり考えてみると、自分にとってフットワーク練習やしゃがみ込みサービスは「捨」である、ということに気づくことができるかもしれないということ。

いま持っている技術や普段行っている練習を「今の自分に本当に必要か?」「なぜそれに固執しているのか?」と問い直すことによって自分を知り、心を整理してプレースタイルを快適にする。
これが断捨離の応用というわけである。

さて、どうなることやら。

もちろん書籍には具体的な断捨離方法が載っており、それを応用して「技術の断捨離」をこれからやってみたいと思っている。
その実践編は次の機会に書くとして、本日はこれにて終わります。

断捨離をした結果、最終的に残ったのがフォアハンドとツッツキだけだったら……という不安はあるんだけれど……。

 

【おまけ】
今回6冊の断捨離本を一気読みしたのであるが、普通に断捨離にハマってしまいそうである。
読んでいるうちに「何かを捨てたい」という欲求に駆られ、さっそく部屋にあったいろんなものを捨てた。
これによって気の流れを妨害していた「詰まり」が取れ、気分的にもかなりスッキリ。
卓球にも良い影響を与えそうである。

 

 

18 件のコメント

  • 技術の断捨離はたしかに大事ですよね。
    手数が少ないと、粗削りでも迷いのないプレーができますし、逆に多いと戦況に応じて使い分けることがけど、どれを選ぶかで迷いが生じる……
    結局一長一短ってことなんですかね。

    • 卓球主義さん
      まさにそうですね。
      手数が多い人も、技術を断捨離することによって、新陳代謝を促し、新たな技を手に入れるといったメリットもありそうです。
      自分と自分の持ち技を見つめ直すことで、一人の卓球人としての心の成長にも繋がるのではないか、そんな期待を持っております。
      うーん、断捨離は奥が深いです(>_<)

  • わたしは片面ペン表ですが、いろんな人から裏面を貼るように勧められます。
    過去、裏面打法に挑戦したこともあります。
    しかし、結局、裏面打法は諦めました。
    今はフットワークを駆使したオールフォア+表面バックハンドの卓球を目指しています。
    裏面打法を捨てたことにより、技の引き出しは少なくなりましたが、迷いが少なくなったり、ラケットが軽くなったりとメリットもあります。
    現代卓球の技術面の進歩はすごいと思いますが、全ての技術を取り入れるのではなく、自分に必要な技術かどうか精査し、的を絞って練習するという考え方もありなんじゃないかと思います。
    ちなみにバックはクレアンガ選手のような豪快なバックハンドをペンの表面バックハンドで真似できないかいろいろ模索中です。
    腕をねじり無理矢理ラケット角度をあわせることでそれっぽいことはできるようになってきましたが、まだまだ精度が悪いです。

    • ベーゴマさん
      技術を捨てることのメリットはまさにその点ですね。
      ラケットが軽くなるという物理的なメリットも大きいですよね(この視点をすっかり忘れてました…)。
      技術的進歩の目覚ましい現代卓球だからこそ、技術を絞り込むという思考が大事になるのではないかと思います。

      クレアンガ選手のような豪快なバックハンドを模索中とのことですが、非常に興味深いですねえ。
      私も裏面はほとんど使わずバックハンドを極めたいとあがいていますので、じっくりお話を聞きたいくらいです。
      シェークの選手を参考にするのはいい視点ですね。
      私も研究する際にその視点を取り入れてみたいと思います(^^)

  • 断捨離は賛成ですが、動かない人でもフットワークを鍛えるのは
    必要だと感じます。
    いくら、動かないといえど絶対に試合を通して動きますし。
    動かない選手にありがちなのはベストなポジションに移動できない状態
    で打球しているのでミスが出るという人です。
    「動けてこその動かない」ですから

    • しんこうしんこうさん
      フットワークのくだりは極端な例ですからね。もちろんほとんどの選手にフットワーク練習は必要だと思います。
      以前、マスターズのチャンピオンがフットワーク練習はしないと言っていましたが、動ける能力は必要、けれど人によっては別の練習(オールなど)で同時にフットワークを鍛えるので、フットワークだけの練習は必要なし、という場合もあるかもしれないと思います。

  • このまえ試合で両面テナジーの若い選手にボコボコにされました。
    チキータ、しゃがみこみサーブ、超回転ドライブ・・・。
    いろんな技で翻弄されてしまいました。舞の海か!
    あまりにも実力差がありすぎて相手は遊んでいたのかもしれませんが。
    技の引き出しが多いことも悪いことではないと思います。
    技術の断捨離も大事だとは思いますが、せっかくやるんだからやれることはやってみようと言う考え方もまたありだと思います。

    ペンの表面バックハンドですが、腕全体で豪快に振り回すと「それじゃダメ。ペンのバックは肘を折りたたむようにコンパクトに」という指摘を受けることがよくあります。
    確かにそのほうが精度も上がるし一般的なのは分かるんですが。
    自分なりの考えがあることを理解してもらうのは難しいようです。

    • ベーゴマさん
      技のデパート・テナジー支店ですね笑
      いろんな技を使いこなせるというのもまた魅力。
      技術や戦術はやってみないと自分に合っているかどうかわからないので、どんどんチャレンジすることも重要です。
      特に大人のボビープレーヤーはいろんなことをやって楽しくやるのが一番ですよね。

      私のバックハンドもコンパクト打法ですが、豪快なバックハンドは魅力的だと思います。
      誰になんと言われようと貫くこだわりがある選手というのは個性的で面白いプレースタイルになりますし。
      ペン表の異端児・田崎俊雄さんみたいなw

  • 裏面打法なんかは肘が自由でどんな技でもできる分、何を使ったらいいか分からなくなることがありますね。
    表面のバックハンドは肘が固定される代わりにスマッシュしか打てないので迷いはないです。
    練習の度に裏面打法の習得を諦めようかと思ってしまいますw
    表面のバックハンドが入るとは言ってませんが(汗)

    • つぐさん
      ペンで表面技術と裏面技術の両方を使うと引き出しが多くて大変ですよね(使いこなせたらカッコいいですが)。
      表面のバックハンドの安定感がバツグンであれば裏面がなくてもイケると思います(かなり高い理想ですけど)。
      どの技術を選ぶのか……なかなか迷うところです(>_<)

  • 確かに断捨離大事ですよね。でも、2ゲーム取られたあたりからドライブマンから急にカットマンになったらとても面白いと思います笑相手も混乱するでしょうし笑

    • シェーク裏裏野郎さん
      技のデパートどころか、技のボリショイサーカスですね 笑
      卓球界のイリュージョニストに断捨離は必要なしです #^^#

  • いきなり一昨年のブログにコメントいたしますが。
    ここの皆様のコメント全部に共感することがあります。自分がせめて中学生で、体格に優れ、今の資金で練習できるなら、と思うところがあります。昨日の練習でも隣の中学生の軽いフットワークに憧憬を抱いておりました。
    中年の楽しい卓球なら断捨離しなくともいいのかな、と思いました。私、今年一年ペンドラですが、来年、ペンカットやるつもりですしお寿司。

    フットワークしなくなる原因として、上級者コーチの多球練習がない環境、変わらない練習相手、一球のみの練習があると考えます。でもフットワークの意義とは、スイングの打球点にあると思います。フットワークなしには強くなれないと思いますが、異質攻守型であれば「フットワークより、前腕の先」に重点を置く練習をしても良いのかと思います。
    俄然ラリーが続くようになりフォア裏ラバーでいいじゃんと思い始めたゼロノスでございました。

    • ゼロノスさん
      「自分が中学生で、体格に優れて資金力があるなら」この妄想はしてしまいますよねぇ。
      私は自分が180cm くらいあるパワーファイターだったら、という妄想をよくします 笑
      私は現役時代は鬼のようにフットワーク練習をやっていましたが、再開してからは一度もやっておりません・・。
      フットワークは捨てる対象として考えたこともないくらい「やらないもの」という認識になってましたね。

      ら、来年ペンカットをやられるんですか!?
      めちゃくちゃ興味深いじゃないですか。「ペンカット日記」みたいなブログをぜひ。

      「フットワークより、前腕の先」に重点を置く、というのはなるほどと思いました。
      打球点が早くなってピッチで相手を翻弄できるという利点もありそうですし。
      「大人卓球とフットワーク」というのは新たなテーマとして実に興味深いです。
      フットワーク練習以前に体力がないから2~3分しか持たないという情けない事情がありますが・・。
      体力は断捨離していないのにいつの間にかなくなっていましたね(悲)

  • 体力は断捨離ですか(笑)いや、がんばりましょうよ皆さんで。励ましておめでとうございます。

    実は私のフットワークは動きすぎて全く役にたっていません。前陣で動きすぎるとバックかフォアかに悩む事になりました。バックを断捨離?いやいや、フットワークを断捨離?うーん…(゜-゜)

    問題は球の見極めです。多球練習ばかりの私は、動きは褒められても球の僅かな変化(速さ、回転、角度)についていけないのです。だからこその中陣です。ドライブの練習から少しずつためてから打てるようになってきたと思います。もう一つ、打点を下げて打ってみた事で、逆に早い打点の優位性も見えてきました。下がるなと最近は良く言われます。コンパクトに腰の回転で打つ、ペンドラであってもペン表と考え方の根本は変わらなかったのです。

    最近の発見を一つご報告いたします。最近の卓球にはニュートラルポジションというのは余り意識されないようにみえますが、あえて、ニュートラルポジションについてです。それはペンならではかもしれませんが、肘の位置です、シェークは(右打ちならば)右脇に自然に下ろして添えますが、ペンの場合、やや前に出す方がやりやすいのではないかと言う事です。前傾姿勢ともつながるかもしれませんが。

    ペンカットやります。マイノリティだからこその拘りですよ。シェークうらうら達にびっくりしてもらいたいです。
    ブログは、だ、断捨離かな…(^.^;

    • ゼロノスさん
      まだまだ体力も諦めちゃダメですね。まず「諦めの心」を断捨離します 笑

      動きすぎて役に立たないフットワークというのは面白いですね。
      動きすぎると切り替えなど、他のところに意識がいかなくなるのでしょうかね。 
      そこらへんは断捨離せずに、フットワークとの両立が理想ですが、なかなか大変ですね・・。

      球の見極め、これも難しい問題ですね。
      私も練習のときは打点を下げてドライブを打ったりしてますが、つくづく自分には向いていないということを実感します。
      前陣の打点の早さがいかに大事かってことがわかりますね。
      表でも裏でもコンパクトに打つというのも実になっとくです。
      私は用具を弾むやつにして、できるだけコンパクトに打つというのを理想としてます。

      「ニュートラルポジション」、懐かしい言葉 笑。
      肘の位置を前に出すというのは、確かにやりやすそうですね。
      江加良がそんなイメージが強いです。
      私もあの構えを真似していましたが、そのとき意識したのは「肘を前に出す
      」でした。
      これだと早い打点を捉えやすくなるような気がしますね。

      ブログの断捨離は残念ですが、ペンカット期待してます。
      シェークマンたちをビビらせてやりましょう。
      試合会場でペンカットがいたら、それがゼロノスさんの可能性が高いってことですね(笑)

  • 私は地方におりますので、もし東京のマスターズの試合会場でペンカットの私を見たその時、とは、卓球王国の取材が来る程の…モゴモゴ。

    それはともかく(笑)コンパクトに連打する為には、ピン球までの適当な距離をフットワークでコントロールする必要があると思います。多球練習では、ほぼ打球点は変わらないので私は1歩動or2歩動or3歩動、そして打つ、という形でやってきたんです。機械的に。これがオールになると動けなかったり動きすぎたりして(特にミドルが)シッチャカメッチャカだったのです。その上、台にピッタリくっついていましたし。距離を腕でコントロールすれば段々手打ちの様になり、大振りになり、戻れません。そこで少し時間を作ろうと下がれるペンドラへと、転向してみた次第です。目下様々練習中です。試合経験もありませんし。妄想では許昕ばりにバチバチ打てるンですがねぇ(笑)

    ブログは一度やってみたんです。でも、時間はかかるし通信量はかかるし、そもそも何をどう書いたものかと思いまして、辞めてしまいました。ただペンカットについてのブログならば面白そうですね。今からネタだけでも書き溜めて見ようかなと思います。

    • ペンカットさん
      じゃなかった、ゼロノスさん (笑)
      東京の会場で見かけるそのときは、マスターズの全国大会に出場…モゴモゴ。

      なるほどなるほど、ペンドラへの転向はそうした理由からなのですね。
      私の場合、小柄なので後ろに下がるとちょっとでも左右に振られると厳しくなるという弱点もあり、前陣以外では戦えないミートマンなのです。
      後ろに下がって許昕ばりに動けたらどれほど気持ちよいことでしょう(笑)

      ブログやられてたんですね!?
      ネタが続かなくなってやめる人は多いですが、単なる卓球備忘録的な日記系ブログが私は好きです。
      ましてやペンカットというテーマのブログなら絶対に読みたいです(笑)

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