卓球王国を読む 2017年9月号

 

今月号は、冷房がガンガンにきいた喫茶店でじっくり読み倒しました。

 

卓球王国 2017年 09 月号 [雑誌]

 

卓球を仕事にする人たち

今月号の目玉企画はコチラ。

卓球でメシを食う2017〈前編〉

出ました、次号予告を読んだ時から楽しみにしていたこの企画。

この数年間で卓球界は変わり、卓球を生業にする人たちが増え、卓球市場は活況を呈している。今や卓球でメシを食うプロフェッショナルが激増。
3回にわけてその実態に迫ってみる、という内容である。

1回きりの企画かと思っていたら、まさかの3回連載というボリューム。

まずは、プロ卓球選手をはじめ、プロ卓球コーチ、卓球メーカーなど、「卓球に関する仕事」についての解説があり、続いてプロ卓球選手の稼ぎについて、企業スポーツ選手の実態など、卓球に関わる仕事に就いている人たちの今がよくわかる内容となっている。

そして後半は「卓球の伝道師 プロコーチになる!」と題し、指導のプロとしてメシを食っていくためにはどうすれば良いのか? についての解説。
そして卓球場(卓球教室)を運営しながらコーチ業をしている人(4人)へのインタビュー記事が掲載されている。

今の仕事に就いた経緯が皆さんそれぞれ興味深く、例えば京都府綾部市で卓球場を運営する岩田巧(35)さんは、散髪屋の社長であり理容師でもあるという異色の人。

Q今の仕事に就いた経緯
大学卒業後、京都市内の散髪屋で6年間修行し、実家の散髪屋『イワタ理容』を継ぐ形で綾部市に帰ってきました。その頃から高校の先輩のお母さんに頼まれて、綾部市の隣にある福知山市の『福卓クラブ』で指導の手伝いをするようになり、指導が楽しくなっていった。そこから卓球場を持ちたい、卓球で綾部を盛り上げたいと思うようになりました。
散髪屋のお客さんで、子どもの頃から知っている地元企業の社長さんに「卓球場をやりたい」と相談したところ、ぼくの想いを理解してくれて、社員寮を建てる際に、寮の1階を卓球場にして貸してくれることになりました。「言ってみるもんだな」と思います、ホントに。
オープン当初は生徒は20人ほどでしたが、今では小学1年生から88歳まで、100人ほどの生徒がいます。生徒が増えたこと、経営にも少し余裕が出てきたこともあって、自分で土地を買い、7月に2号店をオープンさせました。

なんたる奇跡。
ほんと言ってみるもんだねぇ。

Q仕事で大変なことは?
今は卓球場も実家の散髪屋も、どちらも社長という立場なので、その両立ですね。どちらかを疎かにするワケにはいかないので、労働時間はMAXに近いです。休みもほぼなく、オープンしてからずっと大変なことばっかりかな(笑)。でも、それ以上にコーチの仕事はやりがいのほうが大きいですね。

ひとごとながら体が持つのかと心配になるが、これほど忙しくても充実感いっぱいなんだろうね。インタビュー記事を読んでいるだけでもそれがよく伝わってくる。

卓球があればご飯何杯でもいける! という無類の卓球好きが、文字通り卓球でメシを食っていくという幸せ。

卓球を仕事にしたいと思っている卓球人は多くいると思うが、そういった人たちに非常に参考になる企画であると思う。

10年後に同じ企画をやった時に、卓球ブロガーなんていうおっちょこちょいな仕事で食っている人がいて、取り上げられるような状況になっていれば嬉しいね。

 

馬龍&張本に学べ!

そしてもう1つ、注目したい企画がコチラ。

世界に学べ! 最強の得点術
馬龍・張本智和

5月の世界選手権で2連覇を飾った馬龍と、史上最年少で8強入りした張本智和選手のプレーから得点力アップの秘密を学ぶ、という企画。

監修・解説は男子NT監督の倉嶋洋介さん。

・確実に得点を重ねる攻守のバランスを馬龍に学べ!
・「新プラボール時代」を勝ち抜く術を張本智和に学べ!

と題し、それぞれ3つずつ「ココに学べ!」というポイントを解説している。

例えば張本選手の得点術の1つとして挙げているのが「バックハンドのミート打ち」
プラボールでは有効なテクニックであるというバックハンドのミート打ちは、張本選手が小学生時代から得意にしていた技術だという。

フォアフリックと同様、相手にとっては回転を利用できず、しっかり回転をかけて打たないとミスが出やすいので、硬いプラボールで試合をする場合には得点力の高い技術と言える。相手の突然の強打や、ボールを浅く入れてくる緩急に対して、張本はコンパクトなスイングのミート打ちで得点できる。
現代卓球ではレシーブも含めてバックサイドへの返球が多く、ラリーの7~8割はバックサイドが起点になる。張本はバックハンドでチキータ、ブロック、カウンタードライブ、ミート打ちと多彩な打法を使い分け、対応力が高い。だからラリーで先手を取ることができるし、フォアハンドの威力やフットワークが発展途上でも、これだけ試合で勝つことができるのだ。

 

この張本選手が得意とするバックハンドであるが、倉嶋監督はそのポイントを次のように解説する。

バックハンドは「焦って手を出すな」。
体のそばまで引きつける我慢が大切。
張本ほどバックハンドの感覚が優れた選手は世界的に見ても少ないが、現在の課題は、打つ時に少し焦ってしまうケースがあることだ。バック対バックのラリーで、相手のボールが浅く入ってきた時にあわてて前で打ってしまうため、ラリーは押しているのにミスが出る。
張本へのアドバイスとして、「バックハンドは前で打つな、しっかり体のそばまで引きつけて打て。そうすれば絶対にミスはしない」といつも言っている。バック強打を振り抜く時は体の前で、早い打球点で打球する必要があるが、バック対バックのピッチの早いラリーではあわてて手を出して「早打ち」するとミスが増える。ストレートに打つのも難しくなってしまうので、浅いボールに対しても必ず足を動かして自分でボールを迎えにいき、体のそばで打つのがポイントだ。

 

 

とこのように、得点力アップのために学ぶべきテクニックを詳しく解説している。

現代卓球の最先端技術のポイントをこの企画で学び、日々の練習の中で繰り返し特訓すれば、チームメイトにドドーンと差をつけられるかもしれませんよ。

それにしても、馬龍と並んで「最強の得点術」を学ぶお手本として選ばれる張本選手というのも、実に凄いものである。

 

T2が卓球を変える

いま卓球界を賑わせているT2(T2 アジア・太平洋リーグ)を独占取材したコチラの企画も注目である。

卓球を革命する!T2 Begin!!

T2独自のルール解説と全チームの紹介、マッチ・ラウンド1の結果を掲載。

もちろんそれだけでは終わらない。
注目は、T2の創設者であるフランク・ジー氏と、ジー氏の片腕としてイベントを仕切るT2のCEOのジェフ・チュー氏という2人のキーパーソンのインタビュー記事である。

ジェフ・チュー氏の存在は初めて知ったが、チュー氏がいなければT2は実現しなかったかもしれないというほどの重要人物のようだ。

T2は単なるプラットフォームなんです。選手がいなければ、T2は存在しない。時間制限やキルゾーンだけでなく、選手のストーリーを見せたい。ファンは選手のストーリーを知りたいと思っているはずです。ファンはT2を買うんじゃない。選手が素晴らしい製品となり、消費者に訴える。だから彼らのストーリーを見せるために、選手たちの映像を数え切れないほど撮影しました。
私は選手や監督に言っています。君たち自身がT2なんだ。君たちがストーリーなんだと。ただ面白いルールを作って、きれいなアリーナを作っても選手が魅力的じゃなかったらファンはフォローしない。「彼は誰だろう」「彼はどんなプレーするんだろう」とファンが興味を持ち続けることが大切なんです。

これはジェフ・チュー氏が語った言葉であるが、「君たち自身がストーリーなんだよ」なんて言われたら、なんだかグッときちゃってモチベーションも上がるよね。

2人が語るT2哲学は実に魅力的で、読んでいるだけでワクワクさせられる。

いろいろと新しいプロジェクトも考えているようで、今後の展望がますます楽しみになった。

 

ということで、今月号はこんな感じである。

次号もやはり「卓球でメシを食う」が楽しみで仕方がない。

もし「卓球動画があればゴハン何杯でもいける」という企画をやるときは、ぜひ私を取材してもらいたいものである。

 

4 件のコメント

  • コーチって大変そうですけどやりがいがあるんですね!
    バックハンドの教え方って人によって違いますよね。
    日本ペンの人はバウンド直後って言いますし他の人は引き付けろって言うんでどっちだよ!と思ってしまいます笑

    • シェーク裏裏野郎さん
      卓球好きな人にはまさに天職ですよね!
      バックハンドはペンとシェークによっても違うというのもあったり、一概に言えないのが難しいところですよね。
      これはフォアについても言えますしね。
      いろんな意見を参考にしながら自分に合ったやり方を探っていくしかないですねww

  • 卓球を職業にしたいけど、実力が少し…
    って言う人は世の中にたくさんいると思うので
    この企画は非常に興味深いですね〜
    また、引退した選手がコーチとしてやっていくことにも後押し
    していると思いますし、そうなれば卓球界全体に大きなプラスですよね

    卓球界に王国さんが必要だと言うことを痛感します

    • しんこうしんこうさん
      東京でコーチ業やっている人は凄い実績の人が多いですよね。
      実力がなくても教えるのがうまかったり人一倍勉強している人なら思いきって飛び込んでいいんだという勇気を与える企画だと思います。
      卓球選手の引退後の進路に夢がある卓球界になるといいなと強く思います。
      来年Tリーグが始まればさらにコーチ業が活気づきますね。

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