卓球王国を読む 2018年5月号

 

今月号は、もぐもぐタイムを返上して読み倒しました。

ナルコ「今月号も面白かったね」
カー娘「そだねー」

 

 

卓球王国 2018年 05 月号 [雑誌]

 

 

今月号の目玉企画は、もちろん伊藤選手特集である。

The path Mima has taken
伊藤美誠、17歳のルーツ
【技術特集】
平野早矢香が語る 伊藤美誠、必勝の法則

前半は母親・美乃りさんのコメントとともに、写真で伊藤選手の卓球人生の振り返り。
後半は平野早矢香さんが伊藤選手の強さを徹底解説している。

そして、「徹底解剖! 強者のスーパーテクVOL.10」では、
『森薗政崇の進化する連続攻撃』と題して、森薗選手の技術を本人が解説しており、森薗選手推しの私としては個人的に大いに楽しんだ。

で、今回取り上げるのはこの2つのビッグ企画ではなく、今月号から始まった素敵な新連載のほうである。

 

トップ選手同士の本音の語らい

1つ目の注目新連載はコチラ。

PtoP
Vol.1 松平賢二×水谷隼
~本音で語り合える友の存在~

選手(Player)と選手(Player)が語り合う対談企画、という、あるようでなかったこの企画。

第1弾は、松平賢二選手と水谷隼選手の同級生対談。

2人の出会いはバンビの頃。お互いの印象は、「キノコみたいな髪型に紫色のハチマキ(松平談)」「ちっちゃいデブ(水谷談)」

のちに青森山田中でチームメイトになり、日本代表では日の丸を背負ってともに世界と戦った2人は、同級生であり、ライバルであり、そしてプライベートでも親交のある親友でもある。

さすがお互いをよく知っているだけあって、ズバズバと遠慮なく本音発言連発の水谷選手に対して、松平選手がツッコミを入れたり自虐で返したりと、息の合った夫婦漫才のような軽妙な掛け合いが実に面白い。

リオ五輪に関する2人の友情秘話も興味深かったが、個人的に面白かったのは、今の若手選手に対する2人の考え方の違いである。

松平選手は「隼に対する振る舞いを見ているとリスペクトが感じられないことが多くてさ」と嘆く。

水谷 でも、若いやつらも俺だからそういう態度を取っているというのもあると思うよ。たとえば、岸川君にはオーラがあるからしないでしょ。俺の性格というか、キャラ的にいじりやすいからってのはあると思うよ。だから、若いやつらも賢二が思っているほど悪気があるわけじゃないはず。
松平 おまえ、大人になったな。俺だけ子どものままみたいじゃん(笑)。
(中略)
いじられても何も感じてないって顔しているから、本当に感じてないのかと思ってた。
水谷 顔に出さないだけだよ。賢二がカチンときている時は俺もそう思ってるよ。ただ、いじられるのは別にいいんだけど、練習していても魂を込めてやらないというか、そういう若手はいるね。そういうやつは自分からは練習相手として指名しないようにしている。

水谷選手は若手から「近寄りがたい人」と思われているイメージを持っていたので、いじられているとは意外だったが、松平選手が立腹するほどの若手のいじりがどんなものなのか非常に気になりますな。

この対談を読み終えた私は、2人のダブルスが見たいと思った。全日本に出たら優勝するんじゃなかろうか。
いや、仲が良すぎるとかえってダメなものなのか?
そのへんの興味も含めて、ぜひ見てみたい。

 

ラージの極意

もう1つの新連載はコチラ。

俺のラージ
猛者が語るラージボールの極意

一度聞いたら忘れられないパンチの効いたタイトルがお見事なコチラの企画。

ラージ界の実力者たちに打法・理論を語ってもらおうという主旨であるが、第1弾はラージ歴18年にして4度の全国優勝を誇る、高野洋一さん(「卓球道場高野」のオーナー兼コーチ)が、ラージの基本打法を語る。

私はラージをやったことがないので詳しくないのだけれど、基本打法からして硬式卓球との微妙な違いがあって非常に興味深かった。

高野さんはいくつかのポイントを挙げているが、ちょっと驚いたのは「シュート回転をかけるイメージで打球する」というコツ。

ラージボールの基本打法で大事なポイントは、フォアでもバックでも、バウンドの頂点でボールの後ろをとらえて打つこと。そして、シュート回転をかけるイメージで打球することがポイントになる。
回転をかけて打球することで、硬式に比べて飛ばないラージボールでも飛距離が出せるし、ボールを長く持つことができるため、コントロールも安定する。カーブ系の打法の場合、ボールにラケットの面をかぶせて打つので、回転がかけにくいラージボールではコントロールするのは難しい。その点、高い打球点でボールの後ろをとらえて打つシュート系の打法は回転がかけやすく、ラケット面を開いて打つので、ボールの後ろをしっかりとらえることができる。
(後略)

バックハンドなら左から右、フォアハンドなら右から左へラケットを時計回りに振ってシュート回転をかけるイメージで打球するということだが、ラージをよく知らない人間からすると、これだけでもなるほどなぁと感心してしまう。

ラージは表ソフトのみ使用できるというルールなので、私も意外にいけるのではないの? なんていう安易な考えから、いずれはラージも挑戦してみたいと以前から思っていた。

その時に向けて、この連載で今のうちから少しでも勉強しておこうと思います。

 

今月号からスタートの新コーナーはまだあって、
トップ選手のスポンサー事情にスポットを当てる「卓球選手のふか(付加)価値」(第1弾は石川佳純選手)。

そして、レミー・グロスという国際卓球連盟公式カメラマンのコーナー、
卓球が見える景色[レミーの眼]

コチラは文字は一切なく、1枚の写真を見開きでバンッと掲載しているコーナーで、Vol.1は「地面がひっくり返るほどの許昕のボール」というタイトルの、独自のアングルから捉えた迫力満点の写真である。

ぼうっとしていたら見逃してしまいそうなページであるが、卓球の新たな魅力を提供してくれるグッドなコーナーである。

 

こんな感じの5月号であるが、Tリーグ関連の記事や、今野編集長と伊藤条太さんが卓球レポートへの思いを語る「さようなら、卓球レポート。」などなど、バラエティに富んだ企画がてんこ盛りで、ラーメン二郎もびっくりの「卓球情報マシマシ」な内容であった。

満腹です。

以上、5月号でした。

 

4 件のコメント

  • 今野さんの卓レポへの想いに共感しました。いち卓レポ読者としてですが、わかる気がします。
    王国さんには、卓レポの分まで長く続いてほしいですね。

    • すんさん
      長年の友人に宛てた手紙のような内容でしたね。
      読んでいるこちらまで切なくなりました。
      唯一無二の卓球雑誌として、紙媒体の存在意義を示し続けてもらいたいですね。

  • 今回は「神のシステム」が自分の求めるど真ん中の記事でした。技術単体の記事も良いですが、そのカスタマイズの仕方や練習法を特集してくれるのがありがたいです。

    • Kさん
      仲村さんの神シリーズの濃厚さには毎度感心しますね。
      仲村さんは天才タイプですが、感覚的にならず、練習法やアレンジの仕方の解説が丁寧でわかりやすいというのがさすがです。
      選手としても卓球伝道師としても優秀というのが神たるゆえんなのかもしれません。

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