卓球レポートを読む 2017年8月号

 

今月号も、親のカタキかというくらい読み倒してやりました。

8月号の注目企画はコチラ。

試合分析のスペシャリスト・坂本竜介が解説
馬龍VS樊振東 至高の決勝の真実

歴史的な激戦の余韻がいまだに残っている先の世界卓球の決勝戦であるが、この企画は、「史上最高の試合だった」とこの決勝を評する元日本代表の坂本竜介さん(upty 卓球ステーション)が、その優れた観察眼で、馬龍と樊振東が繰り出し合った技術や戦術を読み解く、という内容である。

坂本さんはまず、馬龍と樊振東がどういう強みを持った選手なのかを解説。
そしてその後にゲームオールジュースとなった激闘の決勝戦を、第1ゲームから徹底的に分析する。

例えば馬龍の戦術の中で、台上からのパターンとして際立っていたのが「フォア前に来た逆横回転サービスに対するフォア前へのストップレシーブ」だと指摘する。

一般に、フォア前に来た逆横回転サービスに対してストップするときは、回転の影響を受けにくいように打球面を開いて(右利きの相手の)バック前を狙います。ところが、馬龍は打球面をあまり開かずにボールの外側を打ち、樊振東のフォア前にストップするレシーブを多様しました。このストップは回転の影響をもろに受けるので、ボールを正確に短く止めることが難しく、2バウンド目がほんの少し台からでてしまうことが多いのですが、これこそが馬龍の狙いでした。
樊振東からすると、2バウンド目が台からギリギリ出てくるような長さのボールに対しては体勢が詰まってチキータしにくいので、ループドライブせざるを得ません。加えて、馬龍のこのストップはフォア側のサイドラインを切るような厳しいコースに来る上に、逆横回転サービスの影響を受けてバウンドした後、左(樊振東にとってバック側)に少し曲がるように弾む特徴があります。そのため、ループドライブのコースは安全にクロス(馬龍のフォア側)を狙わざるを得ません。
馬龍としては、フォア前に来た逆横回転サービスを樊振東のバック前にストップしてしまうと、チキータで攻められてしまいます。そこで、フォア前へのストップで樊振東にループドライブを使わせ、それを得意のカウンタードライブで狙い打つ戦術で得点を稼ぎました。戦術には「自分の強みを生かしつつ、相手の強みを封じる」というセオリーがありますが、そのセオリー通りの馬龍の見事な戦術と、その戦術を行うための技術だったと思います。

 

こんな感じで、決勝戦の馬龍と樊振東の技術・戦術を丸裸にしている。
これはほんのごく一部だけであるが、全体を通してとにかく坂本さんの分析能力には脱帽した。
こういう着眼点で試合を観ればいいのかと本当に勉強になった。

そしてこの分析の後は、決勝戦で撮影した連続写真の中から、馬龍と樊振東の戦術や技術が表れているシーンをピックアップしてポイントを解説しているので、そちらと合わせて読むとより深く理解できると思う。

 

元チャンプが教えるレシーブのコツ

そして個人的に取り上げたいもう1つの企画はコチラ。

こんなときどうする?
第7回 うまくレシーブできないとき

このコーナーは、元全日本王者の岩崎清信さんが、試合でよくあるシチュエーションで、どのように対応すればよいのかを解説するというコーナーであるが、今回は、試合において特に重要となる「レシーブ」について。

岩崎さんはレシーブについてのポイントをいくつか挙げているが、その1つをちょっこし抜粋する。

レシーブミスを連発してしまうときに「相手のサービスの変化が分かっていないのに、ツッツキやフリック、チキータなど、回数をかけ返すようなレシーブをしてはいないでしょうか」と岩崎さんは指摘する。

このようなレシーブには2つの大きなデメリットがあり、1つは「ミスのリスクが高い」もう1つは「ミスの原因が分かりにくく、修正が難しい」ということ。

これに対して岩崎さんはこのようにアドバイスする。

そこで、筆者がお勧めするのが、「相手のサービスをラケットにただ当てる」というレシーブ方法です。このようなレシーブをすることで、ミスの確率は減りますし、ミスしたときにボールの飛んでいった方向を見ることで、修正が容易になります。
例えば、レシーブがネットにかかってミスした場合は、予想よりもサービスに下回転が多くかかっていたということなので、次に同様のサービスが来た場合は、ラケット面を先ほどより上に向けることで修正できます。レシーブが右方向に飛んでいった場合は、予想よりもサービスに右横回転がかかっていたということなので、ラケット面を左に向けることで修正できます。このように、相手のサービスをラケットにただ当てるだけのレシーブをすると、同じサービスに対しては、ラケット面の修正だけで対応できるという大きなメリットがあります。
また、当てるだけのレシーブは、相手のサービスの回転がそのままレシーブに反映されるので、レシーブの変化が大きくなり、相手のミスを誘うことができるというメリットがあることも、付け加えておきましょう。

 

ただ当てるというレシーブは、それこそレシーブミスしやすく、回転を見極められるかわりに失点してしまう、というイメージがあり、とてもそんなことをやる勇気はなかったが、そうじゃないんだね。
「ただ当ててラケット面を修正する」これが大事なんだね。
思いきってこのレシーブをやってみますよ、私は。

そして先述したように、他にもいくつかレシーブのポイントを挙げているので、そちらも合わせてガン見すべしですよ。

この連載は元王者のひと味違う視点でのアドバイスが読める質の高い企画なので、私は密かに毎回楽しみにしているのであるが、さて、次回はどんな解説となるのか、なかなか待ち遠しいね、うん。

以上、8月号でした。

 

8 件のコメント

  • 僕はサーブが分からなかったとき当てるだけにしようと思っているのですが、少し力んでしまいます笑
    今年の世界選手権決勝は例年よりも勉強になりました!
    馬龍の大ファンなので優勝したときはとても嬉しかったです!

    • シェーク裏裏野郎さん
      なるほど~、意外にただ当てるだけというのも難しいのかもしれませんね 笑
      今回の決勝戦はまさに歴史的な一戦でしたね。
      馬龍のパーフェクト卓球は芸術的です。
      あの決勝戦を繰り返し繰り返し観て研究するだけでちょっとレベルアップするような気がします 笑

    • ラケットマンさん
      現役時代はパワーファイターとしてならした岩崎さんですが、卓球脳が人一倍優れているからトップを取れたんでしょうね~。

  • 自分の場合は、サーブの回転をある程度見切ってからツッツキしたりします。(角度を合わせる)そして、下に落ちたら切れていた、浮いたらナックルなどそういう風に捉えています。

    • いちまさん
      コメントありがとうございます!
      ある程度見切ってからのツッツキ、なかなか高度な技ですね~。
      下だと思ってツッツキいたら横とか上で、ポーンと大きく跳ね上がった時の絶望感は半端ないですよね 笑

    • しんこうしんこうさん
      おお、実践しましたか。
      やっぱり有効な戦術なんですね。
      私も早く試したいですw

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