卓球レポートを読む 2017年1月号

 

今月号も、忘我の境地で読み倒しました。

卓球レポート 2017年1月号

 

1月号の目玉企画はコチラ

【カラーインタビュー】
天才対談『卓球界の至宝とホープ』

【カラー技術特集】
絶対エースと次世代エース
「2人のエースをつくりあげた練習」

今月号は、日本の絶対王者・水谷隼選手と、世界ジュニア王者・張本智和選手の天才対談から始まる。

憧れの水谷選手とのガチトークに、張本選手の緊張気味の初々しい様子が伝わってくる対談である。

そしてカラー技術特集では、2人がこれまで行ってきた練習を、幼少期から順を追って紹介するという内容。

例えば、水谷選手が幼少期に行っていたという練習メニューは、たった1つだけだったという。

「8歳でヤマハクラブに入ったのですが、そこで行っていた練習は1つ。右利きの相手のバック対、僕の全面、いわゆるバック対オールでした。バック対オール以外の練習をした記憶がないので、おそらく、これしかやっていなかったのだと思います。僕は14歳でドイツに行きましたが、それまでは、クラブ内での練習試合を除いて永遠にバック対オールでした(笑)」

 

「ヤマハクラブでは1球の大切さが子どもの僕たちにも分かるよう、ボールは1個しか使いませんでした。そのため、ミスすると、ボールを拾いに行く分、練習時間が減るので、ミスしないよう必死でボールにくらいついていました」

こうした高い意識を持ってたった1つの練習に徹底して取り組んだことが、今の自分の土台になっているそうだ。

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そして張本選手が11歳の頃から取り組んでいる練習のひとつが、全面に送られるストップまたはツッツキに対応する多球練習だ。

「この多球練習では、まず送られるボールがストップなのかツッツキなのかを素早く見極めます。ツッツキが来た場合には、できるだけ早い打球点を狙って両ハンドでドライブします。ストップに対しては、ダブルストップやチキータ、フリックで対応します。
この多球練習は50球を1セットで行います。僕は、ミスを5球以内に抑えることを目標に取り組んでいます。この多球練習に取り組んだことで特に台上に来たボールに対する技術がよくなったので、ラリーの早い段階から主導権を握れるようになりました」

張本選手の小学生時代の練習量は決して多いものではないが、質の高い内容であったからこそ、劇的な成長を遂げたのであろうと思う。

「強くなる練習」の濃いエッセンスの詰まったこの企画は、特に子供たちを教える指導者にとって必読の内容となっている。

 

怒涛の新連載ラッシュ!

そして今月号は、なんと新連載が8つもスタートした。

吉村選手の新連載、
卓球は攻撃だ!!
吉村真晴の攻撃卓球

邱建新さんが、さまざまな視点から上達のヒントになる話をする、
世界屈指の名コーチ
邱建新の卓球論

そして、張本智和選手の父親の張本宇さんの新連載、
小学生のための
基本を育む必修ドリル

など、興味深い企画が目白押しであった。
取り上げたい企画がたくさんあるが、ここではコチラの企画を紹介する。

技は握りで決まる!
The GRIP

トップ選手は打球するとき、ラケットをどう握り、指にどう力を入れているのか?
これは多くの人が参考にしたいところであるが、なかなか知ることのできない部分である。

そんなトップ選手の「握り」を紹介するという企画であるが、第1回は吉村真晴選手のグリップを紹介している。
吉村選手は、フォアハンドドライブを打つときの指の力の入れ方について、次のように語る

「親指と中指、薬指でラケットを支えるようにしてバックスイングします。そして打球の準備をしたら、インパクト(打球の瞬間)で中指と薬指にぐっと力を入れてボールをこするように打ちます。打球後は中指と薬指の力を抜いてフォロースルー(打球後のラケットの動き)をします。人さし指はラケットに乗せているだけで、小指にもほとんど力は入れていません」

また、吉村選手は、ラケットを「浅く」握っているのだという。

「僕は試合でカーブドライブやシュートドライブも多く使うので、いろんな打球面が素早く出せるようにラケットを浅めに握っています。また、浅めにラケットを握ると、スイングしたときにラケットが手の中で動く範囲が大きくなります。そのため、スイングが加速できるので打球に威力を出しやすいと感じています」

浅めのグリップで、打つ瞬間に中指と薬指に力を入れてラケットを加速させるというのが、吉村選手の強烈なフォアハンドを生み出す秘密だったんですねぇ。

と、このように、トップ選手のグリップを覗き見できるナイスな企画である。

今後もきっと、さまざまな戦型のグリップを紹介するのであろうが、どの選手のどんなこだわりグリップが見られるのだろうかと、今からワクワクが止まらない。
今月号は、個人的には今年の卓球レポートの中で最も面白かった。
それはつまり、新連載の内容が充実しているということ。

様々な角度から卓球を掘り下げ、卓球の奥深さと魅力をこれでもかと伝えてくれている。
さらに読みごたえのある卓球雑誌へと進化した卓球レポート。

来月号も楽しみで仕方がない。

 

 

2 件のコメント

  • 私も張本選手と同じ練習を最近やってますが、この練習は本当に辛いですよ。私のレベルだと60球で10〜15球ほどミスしてしまいますし、ストップはダブルストップかバックにツッツキかわざとナックルに近いツッツキ(それってツッツキって言うのか?)で返してますが。張本選手が言っていること以外にもこの練習を取り入れてから前回ナルコさんが書かれた記事とは反対のことになってしまいますが、まだミスがありますがカットマンに対して返球のバリエーションが増えて戦いやすくなっている気がします。(自分の場合ですが)バックに来たのは長いツッツキで基本的に回転量を変えてるぐらいですが、結構カットが打てるぐらいの高さに浮いてくれたりするので一般のレベルではもしかしたら許昕選手のようなやり方では無い方がやりやすいような気がします。(ナルコさんが仰ったように繋ぎのボールでも回転量が違いすぎますので)この練習は台上処理だけでなく一般レベルのカットマン対策にもなるのではと思います。長文失礼いたしました

    • ターゲットブルーさん
      大人になってからの多球練習ってほんとにしんどいですよね。
      私ももっと多球を増やさなければと思ってます(特に下回転に対応する多球練習を)。

      全面へのストップ&ツッツキに対応する多球練習によって、カットマに対する返球のバリエーションが増えたというのは素晴らしいことですね。
      仰るように、一般レベルであれば、巧みなストップやツッツキで翻弄する戦略はかなり効果的なのかもしれませんね。
      ナックルツッツキはカットマンには効きそうですねぇ。
      いかに「ツッツキやストップでカットマンをてんてこ舞いさせるか」この課題も今後、試してみなければいけないと思いました。
      まずは今回の張本流の多球練習を参考にして、対下回転への対応力を磨きたいと思います。

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