卓球合コンへ行ってきた話 その②~卓球経験者の無念~


前回の続きです。前回⇒卓球合コンへ行ってきた話を書くよ

お待ちかねの卓球タイム!

 
約1時間の自己紹介タイムが終われば、いよいよお待ちかねの卓球タイムである。
 
イベントMCから「男性は男性と女性は女性と、4、5人のグループを作ってください」てな指示が出て、知らない人同士でぎこちなくグループを作る参加者たち。
 
そしてグループ分けが終われば男性チームと女性チームで卓球タイム!
ここからは特別な指示はなく、練習をしようが試合をしようがかまわないという状況の中で、男性グループと女性グループが話し合って何をするのかを決める。
 
15分間くらいで区切って、男性チームがひとつ隣の台にずれてまた何をするのか話し合って決める、という繰り返しだ。
 
結局はどの台も試合をしていたわけだが、男性対女性のシングルス、あるいは男女ペア同士のダブルス対決がメインであった。
 
たまに男同士でシングルス対決をしている台もあり、周りの人の応援もイマイチ盛り上がらず、やっている本人たちの表情にも、「何でせっかくの機会に男と打ち合っているんだろう」という悩ましい心情が現れていた。
 
ただ、基本的にはどのグループもとても和気あいあいとしており、時にハイタッチなどをしながら大いに盛り上がっていた。
 
私は参加者のはしゃぐ様子を眺めながら、卓球は非常に合コン向きのスポーツであると感じた。
 
卓球はとても難しいスポーツであるが、レベルを問わなければ子供からお年寄りまで気軽にできるスポーツなので、運動が苦手な女子でも参加できる。
サッカー合コンや野球合コンだと女性はプレーに参加するのが難しいし、「カバディ合コン」や「クリケット合コン」だとルールを覚えているうちに日が暮れそうだ。
 
 

卓球合コンで一番必要なもの

 
卓球合コンで一番必要なスキルは何だと思います?
 
違います! 卓球の技術ではありません。
 
答えは「コミュニケーション能力」である。
 
きっとどの合コンでもこれは同じことでしょう。
 
私が取材した卓球合コンで言えば、男女のグループでの話し合いの時に、どのように試合を組んでどのようなローテーションで回すのかといったことをパパッとまとめて的確な指示を出せる人、人が試合をしている時に応援で盛り上げる人、わざと変な打ち方をして笑いをさそう人、などなど、「楽しい人・コミュニケーション能力の高い人」がやはりモテるのだ。
 

卓球経験者の無念

 
では、卓球がうまい人はどうなのか・・・。
 
今回私は参加しなかったが、もし参加するなら卓球の腕前を披露してちょっとしたヒーローになれるのではないかと考えていた。
 
しかし、実際はまったく違った。
 
合コン参加者たちは男性も女性もほとんどの人が素人で、経験者は数えるほどしかいなかった。
その中でも相当な卓球の実力者が1人だけいて、私はその人を特に気にしながら見ていた。
 
その人は1人で参加しており、かないシャイな方のようで、最初の自己紹介タイムの時にもあまり会話が弾んでいなかった。
 
卓球タイムになった時も、女性とほとんど会話することもなかったが、ひたすらプレーに集中し、ここぞとばかりにスマッシュを決めたり、回転のかかったサーブを披露したりと、密かなアピールをしていた。
卓球経験者の本領発揮である。
ちょっとしたヒーローになれる前ぶれである。

 

がしかし、初めのうちは「すご~い」などと言って女子たちも盛り上がっていたが、それが続くと空気が徐々に変わってくる。
 
「うまいのはわかったけど、ラリーがちっとも続かないじゃない」
 
そんな女性たちの心の声が聞こえてきそうな雰囲気が漂い始めたのである。
 
彼もどうやらそれを感じ取ったようで、サーブで回転をかけることもやめ、強い球も遠慮してほとんど打たなくなった。
 
しかし、やはり腕がどうしてもうずくのか、彼は何度かラリーが続いたあと、またかなり強めのドライブを打った。
相手の女性のラケットにかすりもせず、ボールは遥か後ろへ飛んで行った。
 
彼はダッシュして相手を追い抜いて自分でボールを拾いに行き、しきりにすみませんすみませんと頭を下げていた。
 
その後彼は自分の技術を披露することを完全に封印し、とにかく相手が打ちやすいように返球することに徹していた。
 
卓球タイムが始まる直前の彼は、「早く卓球をさせろ」と目をギラつかせていた卓球の狼であったが、今ではラケットという名の牙をぼっきりと折られ、ピコピコとラリーを続けるだけの大人しい猫と化してしまっていた。
 
他の参加者は卓球に夢中で気付かないようだが、私には彼の心情が痛いほどよくわかった。
背中が泣いていた。
こんなはずじゃなかった……そう背中が呟いていた。
 
唯一の見せ場がここだったのに……お喋りは苦手なのに……。
 
そして卓球タイムの終了を告げる笛が鳴った。
 
その瞬間、彼は思いっきり顔をしかめた。
 
「なんもできなかったよ、ちくしょう」
 
そんな表情だった。
 

フリータイム。そして……

 
卓球タイムの後、フリータイムへ突入する。
 
気になっている人のところへ行って(基本は男性が女性のところへ行く)、楽しくトークをするわけだが、くだんの彼はその間、誰とも喋っていなかった。
 
彼はマイラケットを持参していたが、じっとラケットを見つめながら、一人背中を丸めていた。
あまりにも切ない光景に、私は彼を見ていられなかった。

 

そして合コンは終了した……。
 
告白タイム的なものはなく、連絡先などを書いたメッセージカードを直接相手に渡すか、スタッフに渡して相手の女性にこっそり渡してもらうかすれば、誰にも知られずにコンタクトが取れるというシステム。
大勢の前でフラれて恥ずかしい思いをすることがないので、これも私のようなシャイボーイには嬉しいシステムである。
 
私も機会があれば参加してみたいと思っていたが、卓球がうまくてもプラスにならいどころかマイナスになる可能性すらあることがわかったので、なかなか悩みどころではある。

 

最後に一言でまとめると、
 
卓球の全日本チャンピオンが参加しても、卓球合コンではモテない
 
ということです。
 
たぶん。

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