先日行われたアジアカップ2016の試合動画を、今日やっといくつか観た。
ガオ・ニン選手(シンガポール)の試合はあまり熱心に観たことがなかったんだけど、じっくり観ると凄いね、この人。
観ていて凄く面白い卓球だと思う。
(アジアカップ2016 準決勝 ガオ・ニンVS黄鎮廷)
シェーク裏裏なのにペン表のような卓球に見えるのは私だけだろうか。
フォアはドライブももちろんするが、けっこうコンパクトなスイングで弾く「ミート打ち」も使っているし、バックハンドもペンのショートのような独特な打ち方をしている気がする。
そしてそれがナックルだったり曲がったり、ボールに絶妙な変化を加えている。
ここでちょっと、一昔前のガオ・ニン選手の試合と見比べてもらいたい。
(プロツアーグランドファイナル2011男子シングルス準決勝 張継科VSガオ・ニン)
豪快なドライブでガンガンに引き合ってますね。
体格もがっちりしてるけど、体幹というか、ボディバランスが非常に優れているからしっかりとした体勢で一球一球ドライブしているのがわかる。
つまり最近のガオ・ニン選手の卓球は以前とは違ってきているということなんでしょうね。
最初の動画のようなプレースタイルは、初中級者にも参考になるのではないかと思う。
後陣にあまり下がらず、できるだけ前の方で「ブロック」「カウンター」「ドライブ」「ミート打ち」で堅実に戦う。
その言うなれば「手堅くて確実でクール」な戦い方は決して派手ではない。
しかし一つ一つの技術力は非常に高く、実力も申し分ない。
「一見凄そうに見えないが実は凄い」という卓球選手は意外に少ないと思うが、それだけに渋さを感じる。
『北斗の拳』で言うとラオウではなく山のフドウ的なね(フドウはラオウに匹敵するぐらい強いがぜんぜんそうは見えない)。
そんなガオ・ニン選手であるが、私的に特に注目なのは「回り込み」である。
ベテランでもあるし、一見それほど俊敏さがないように見えるが、ここって時の回り込みのスピードとタイミングが素晴らしい。
瞬間的にパッと回り込み、コンパクトなスイングでミート打ちやドライブをガツンと決める。
私もそうだが、一般的なレベルの選手にとって「回り込み」というのはなかなか難しい技だけれど、ガオ・ニン選手の「回り込みからのコンパクトな打法」のやり方をじっくり観察すれば、何かしらのヒントが掴めそうな気がする。
ガオ・ニン選手は「トッププレーヤーだけれど初中級者にも参考になる」という稀有な存在なのではないかと思う。
これを教科書にしないなんてもったいない。
これからさらに円熟味を増し、いぶし銀のスタイルに磨きがかかった時のガオ・ニン選手の卓球が今から楽しみである。
「ドライブの引き合いをしなくなったんで、フォアを表ソフトに変えました」なんてことも無きにしもあらずだし。
まあとにかく、私の中ではもう目が離せない選手の筆頭となってしまったので「今後注目の選手は誰だと思う?」と訊かれたら、私は伸び盛りの若手選手ではなく「ガオ・ニン選手です」と答えてしまうと思います。
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