本日ご紹介する雑学は「サービスの語源」について。
なぜ「サービス」と呼ばれるようになったのか?
そんなこと今まで一度も考えたことはなかったが、真実を知るとこれがなかなか面白い。
『笑いを忘れた日―伝説の卓球人・荻村伊智朗自伝』こちらの本から引用する。
卓球は歴史のあるスポーツだ。起源は百年以上も前にさかのぼる。起源の古いスポーツの多くがそうだったように、卓球も宮廷や紳士貴婦人のサロンでたしなまれた優雅なゲームであった。その名ごりがいまだにのこっているのが〝サービス〟という言葉だ。相手をあざむくのは紳士淑女のすることではない。だから、ラリーを始めるための打球は、むずかしいボールを出してはならない。ラリーが続かないので失礼だ。となると、レシーブをするほうがだんだん有利になる。だから、レシーブでも点を取りにゆくような球を出してはいけない。サービスやレシーブで点を取ればノーカウントになる。本当にこういうルールだった。かくして、ラリーが始まった。だから、最初の球は、ラリーを始めるために〝サービス(奉仕)〟で出すのである。これが、サービスの語源だ。
サービスで「相手をあざむく」のがダメだなんて・・・今ではそれが卓球の一番の魅力であるとさえ言えるのにね。
その後、ルールが変わった。スポーツとしての発展をとげればとげるほど、「ノーカウントだ」「いや、あのくらいは当然取れるのに、わざとレシーブをしなかった」「レシーブのしかたがきたない」「いや、そんなによいレシーブを返したら、すぐ三球目でやられてしまうじゃないか」といったトラブルが増えたのだ。そして、ルールが変わり、サービスは得点をしてもよい打球の最初のボールとなった。
なのに、名前だけはのこった。この場合は、名は体を表さないのに。欧州や日本のように〝サービス〟という言葉を使う地域ほど、古い〝奉仕〟の観念にとらわれている部分が多い。
新しく国を作り、サービスを〝奉仕球〟などと訳さずに、〝発球〟とした中国人の感覚は、新しく、鋭い。(後略)
現代の卓球であれば、「サーブミス」のことをサービスと呼ぶのが正しいのかもしれないね。
ちなみに、テニスのサービスの語源をネットで検索したら、卓球のサービスと同じような話が出てきた。
中世の時代、テニス(当時はテニスの源流となる「ジュ・ド・ポーム」という競技)をたしなむのは貴族などの金持ち連中だけで、プレーをする時は当然のように召使いを使っていた。その召使いが第一球目を「どうぞ打ってくださいませ」という感じでコートに投げ入れていたという(ボールを手渡ししていたという説もある)。
つまり卓球と同じく「奉仕の精神」という意味のサービスだ。
まあそれにしても、現代の卓球は「奉仕の精神」とはとても言えないトリッキーで複雑なサービスになったものだね。
昔の貴族のご婦人が現代のサービスを受けたとしたら、
「なんて失礼なボールを出すざますの!」と激怒するに違いない。
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