名選手は名監督?! 中国代表監督になるための条件がスゴ過ぎて……

 

卓球好きの人達で集まってお花見なんてしたら楽しいだろうなと夢想しておる今日この頃であるが、しかしどこのコミュニティにも属さない私には叶えられないという現実に軽く落胆。
そんなところに、吉田海偉選手が東京アートに加入するなんていうニュースが飛び込んできて、実におったまげたのである。

日本リーグや全日本団体など国内の大会に出場するっちゅうことであるが、これはぜひ観に行きたいものである。

吉田選手が1人加わるだけでも、日本リーグの雰囲気もガラリと変わるのではないだろうか。楽しみである。

 

で、いま私がとても気になっていることがあって、それは中国男子代表の監督交代劇についてである。

3月30〜31日開催の国家1軍・2軍チームの監督・コーチの選考会議で、総監督と男子チーム監督を兼任する劉国梁が男子チーム監督を辞めて総監督に専念するという噂が流れていたのである(卓球王国WEBの情報)。

劉国梁は「より多角的に中国卓球を発展させる事業へ、力を注いでいく意思を表明している」そうで、それはそれで何か面白いことをやってくれそうなので期待したいところではあるが、生粋の劉国梁ファンの私としては少し寂しい。

私は劉国梁が選手に情熱的にアドバイスを送ったり、渾身のガッツポーズで応援したり、試合後に説教? している姿を見るのが好きで、何を喋っているのかはさっぱりわからないが、そうした姿を見ているだけでも楽しくなってしまうのである(そんな視点で楽しんでいる卓球ファンは私だけではないはず)。

総監督に専念ということは、おそらくベンチには入らないってことなんだろうから、そうした姿が見られなくなるかと思うと寂しくてしかたがないが、国家チームを離れるわけではないので、まあその姿だけでもちょいちょい拝めるんだろうとは思う。

 

で、もう新しい人事は決まったはずであるが、まだ確かな情報は流れていない。
もともとは馬琳が新監督となり、王皓がコーチとして新加入するという噂があって、一方で、馬龍の担当コーチである秦志戬コーチが新監督の最有力候補であるという話も卓球王国WEBでは伝えていた。

本日アップされた続報によると、まだ人事については正式に発表されていないとのことで、しかし秦志戬が新監督でほぼ間違いないだろうとのこと。

馬琳・王皓はどうやら1軍コーチ就任で決まりっぽいが、2人は師匠が同じであり、北京オリンピックの決勝で対決しているというドラマティックな繋がりを持っておるので、今後2人が国家チームでどのような指導者人生を歩んで行くのかなかなか興味深いところである。

オリンピック名勝負 王皓vs馬琳 ~同じ師匠に育てられた2人の対決

まあ誰がどのポジションに就いたのかは近々はっきりするからいいとして、私がちょっと驚いたのが、国家チームの総監督・男女チーム監督になるための条件の厳しさである。

■男女チーム監督になるための条件
1:世界チャンピオンもしくはオリンピックチャンピオンであること
2:これまでに世界チャンピオンかオリンピックチャンピオンを育てていること
3:コーチとして世界選手権あるいはオリンピックに参加していること
4:4年制の大学卒業以上の学歴を有していること
5:高級以上のコーチの資格を有していること
6:世界における男子/女子卓球の発展の動向、最新の練習方法を正確に把握していること

国家チーム指導陣の選考会議、開催迫るより)

エゲツナイよね。
日本で同じ条件を設定したら誰も就任できなくなっちゃうレベルである。

これらの条件をクリアする人となれば、必然的にスーパースターやレジェンドプレーヤーであった人が代表監督の職に就くことになる。

「名選手は名監督にあらず」とはスポーツ界でよく聞く言葉であるが、中国卓球界においては「名選手は名監督に決まってんじゃん」ってな思想を感じる。

確かにクリント・イーストウッドやウッディ・アレンは、名俳優であると同時に名監督としても評価されておるよね。
日本人でも、『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』を監督した名俳優・津川雅彦さんの例もある。
そういう意味では、「名選手は名監督」というのも説得力はある。

 

それともあれかな、中国代表選手は小さい頃からのエリート選手で我も強いから、世界の頂点に立ったという実績や圧倒的な卓球頭脳を持つ人じゃないと選手が言うことを聞かないとうこともあるかもしれないね。

劉国梁の圧倒的な存在感と迫力はそういうところから来ているのだろうと思うし、だからこそあのスター軍団が真剣に話に耳を傾けるのだろうと思う。

そう考えると、中国代表をまとめる監督になるにはこれだけの厳しい条件を設定しないといけないというのもなんとなくわかる気がするよね。

 

ちなみに、この選考会議に参加するメンバーというのがまた凄いのよ。

監督・コーチの選考は、国家卓球・バドミントン管理センターの劉暁農主任をはじめとする「2017年国家卓球チームコーチ選考委員会」、現在の国家チームのコーチ全員、国家チームの選手代表、国家チーム顧問グループ、各省・区・市の優秀男女チームの監督および卓球運動管理センターの主任、さらにスーパーリーグのクラブ代表……等々が出席する。国家チームの顧問グループは、北京市女子チームの張雷監督をリーダーに、王涛(人民解放軍)、馬文革(天津市)、于沈潼(遼寧省)、曹燕華(上海市)、王励勤(上海市)、馬琳(広東省)、喬雲萍(山東省)といった往年の名選手たちが名を連ねている。現役の選手を除けば、まさに「中国卓球界、全員集合」という感じだ。

国家チーム指導陣の選考会議、開催迫るより)

現役の選手(代表者)の参加も驚きだが、立候補する当事者も参加してるってんだから驚くよね。
この会議での自分の発言次第で流れが大きく変わるかもしれないということもあるだろうし、立候補者の緊張感は相当なものなのではなかろうか。

例えば条件の1つに「世界における男子/女子卓球の発展の動向、最新の練習方法を正確に把握していること」というのがあるが、自分をアピールしようとして、「世界の卓球界の動向を隅々まで探るため、ナルコって日本人の卓球ブログまで読んでます」なんて発言しようものなら、その場で「お前なし!」となるだろうし、「自分は高卒ですが、4年制の大学卒業以上の学力を有していること証明するため、中国歴代皇帝をそらんじてみせましょう」などと言おうものなら、「とっととウチに帰ってママのラケットでもしゃぶってろ!」と罵倒されるに違いない。

こうした厳しいプロセスを経て就任する監督・コーチだからこそ、あれほどの最強軍団を維持し続けることができるのであろう。
改めて中国卓球の凄さを思い知らされますねえ……。

 

そんなわけで、個人的には馬琳が新監督に就任したら面白かったのにという思いはあるが、この次の監督はおそらく馬琳だろうと思うので、楽しみに待ちたい。

しかしあれだね、馬琳・王皓はバリバリに活躍している吉田海偉選手とほぼ同年代であることを考えると、まだまだ強いはずであるから、コーチに就任する前に1年でもいいからTリーグに参戦してくれたらよかったのに、と思うよね……。

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6 件のコメント

    • シェーク裏裏野郎さん
      想像を絶しますよねw
      張継科は…いろんな意味で指導者向きではないかもしれませんね 笑

  • 中国の圧倒的な強さを見れば「名選手は名監督」の
    説得力が湧きますよねw
    なんだかんだで世界チャンピオンになった人しか
    世界一の道はわからないのでしょうか
    我々は想像することすら出来ない世界です(汗

    • しんこうしんこうさん
      反論できない説得力ですよねw
      水谷選手も「世界で戦う選手のコーチは世界で戦った経験がある人がいい」ということを言ってますが、ここまで厳しい条件ではありません。
      選手としてはそれほどではなくても世界一に導ける指導者は中国ならいそうですけどね。
      チャンスを与えてあげてほしい気もしますww

  • すごいですね。
    それでもある意味人材豊富なのが中国のすごいところなのでしょうか。
    水谷はどうかな。
    個人的に日本の監督よりは卓球外交の方が向いている気がします。

    私ごとですが、ぐっちぃさんのブログにラケットをご紹介いただきました。
    感激です。

    • つぐさん
      この条件でも候補者が何人もいるというところに卓球帝国の恐ろしさを感じますw
      水谷選手が日本代表の監督になるのは面白いですね。確かに監督業以外で活躍しそうな人ではありますが。

      ぐっちぃさんのブログにてラケットを紹介してもらったとのこと、おめでとうございます。
      ぐっちぃさんも思わず注目するほどのこだわりラケットということなんでしょうね (^^;

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