安定感抜群の前陣速攻型 玄静和の卓球

 

歴代の卓球選手で一番好きな選手は? と訊かれたら即答できるだろうか。

女子選手ということであれば、私は「玄静和」と答える。

玄静和は、ソウルオリンピックのダブルス金メダリストであり、93年の世界選手権シングルスチャンピオンであり、91年千葉大会で中国を破って優勝した奇跡の南北統一チームの中心的選手。

韓国卓球史上ただ1人のシングルス世界チャンピオンの玄静和は、つまり韓国卓球界のスーパーレジェンドってことである。

私が玄静和を好きな理由は戦型がペン表ってことが大きいんだけれど、もちろんそれだけではない。
数多いるペン表女子選手の中でも玄静和の卓球は惚れ惚れするくらい凄いのである。

今回、久しぶりに玄静和の動画を観たいと思い検索すると、観たことがない動画がいくつも出てきて、興奮しながら観まくった。

その中で特に玄静和の持ち味が出ている試合がコチラである ↓
93年世界選手権決勝・玄静和VS陳静

コチラの試合も凄い↓
玄静和VSバデスク

 

玄静和のここが凄い

【繋ぎの技術】
まず、ツッツキ打ちのうまさが光るよね。
コンパクトなスイングでドライブとミート打ちの中間的な打法で確実に入れる技術のうまさ。

スピード系表ソフトのスペクトルを使っているらしいのだが、弾き擦るというこの打ち方がスペクトルの性能をうまく引き出していると思う。

たまに左足を上げながら打ったりもしているが、この独特のバランスの取り方が安定した打球を生み出すポイントであると言える。

【カウンタースマッシュ】
相手のドライブをカウンターする技術もピカイチである。
これも非常にコンパクトなスイングなんだけれど、前陣であれば全力でなくてもタイミングさえ合えば一発で決められることを証明している。

前陣速攻選手はガンガン攻めていこうという意識が強いためついつい力み過ぎて自滅しちゃうこともあるんだけれど、強く打とうとするのではなく、確実にタイミングを合わせることの方が重要なのだと改めて気付かされた気がする。

【ミドル処理のうまさ】
ペンなのでショートでのミドル処理がやりやすいはずだが、玄静和は必ずフォアで打つ。
このボディワークのうまさはぜひ参考にしたいポイントである。

玄静和はかなりスタンスが広いのが特徴的なのだが、普通はショートで対応するようなボールも強引に回り込んでミドルで打つという驚異的なフットワークを見せる。

まさに前陣速攻型の許昕といったところであるが、この広いスタンスでの足さばきも注目ポイントだ。

【魔術的ショート】
玄静和最大の武器と言えばやはりショートであると私は思う。

サイドスピン、ナックル、プッシュ、下回転系ショート、などを駆使して相手を幻惑する。
まさに変幻自在の魔術的ショートである。

しかもサイドスピンショートは、一般的な左方向へ擦るショート(右回転)はもちろんだが、右方向へ擦る(左回転)のサイドスピンショートも使うところが凄い。
この逆サイドスピンショートは、軽めのフリックやブロックなど、相手のボールがユルい時に使っており、相手を戸惑わせる小技として抜群の効果を発揮している。

 

玄静和の卓球を一言で言い表すなら「安定感抜群の前陣速攻型」ではないだろうか。

前陣速攻型はある程度リスクを犯して攻めていかなければ勝てないものだけれど、前陣速攻スタイルで抜群の安定力を発揮しながら世界チャンピオンにまでなってしまう玄静和の卓球。

攻めと守りのバランスの良さを究極にまで高めればこうなるというお手本のような卓球なのではないだろうか。

例えば伊藤美誠選手に玄静和卓球がプラスされたら最強の選手になるんじゃないか? なんてことを思っちゃう。

ついついそんな妄想まてしてしまう、速くて堅実な玄静和卓球の輝きは、いつまでも色あせることはないだろうな、なんて思う。

 

16 件のコメント

  • 個人的に韓国の選手はプレースタイルが魅力的なことが多いと感じます
    それでいて普通に強いから応援したくなります

    • しんこうしんこうさん
      特に男子選手が個性的で強い選手が多いですよね。
      日本みたいな育成システムが確立されたらとんでもない怪物が出てきそうです。
      ペンドラモンスターの登場を期待したいですねー。

  • 韓国のペン選手はめちゃくちゃカッコいいですよね!
    最近は韓国もシェーク選手ばかりなのでちょっとさみしいですね。

    • ラケットマンさん
      鍛え上げられた肉体を活かした日ペンの韓国スタイルは最高にカッコいいですよねー。
      日ペンの裏面打法の選手が出て来ても面白いかもしれませんね。
      韓国が強くないとなんだか寂しいですからw

  • 典型的右打ち左押しの前陣速攻スタイルですね。
    同じペン表でもアメリカの高軍選手やドイツのシャンシャオナ選手と違ってショートで揺さぶるよりもフォアで打ちに行くという卓球のように見えます。
    (もちろんショートもめちゃくちゃ上手いですが)
    韓国選手だとソウルオリンピック銀メダリストの金琦澤選手も同じようなスタイルですよね。

    • ベーゴマさん
      他のペン表女子選手と違ってフォアの決定力がありますよね。
      ショートやツッツキ打ちでチャンスを作ってフォアに繋げるという連携が抜群です。
      それはやはり韓国選手特有の「動きまくれる脚力」があるということだと思います。
      そう言えば金琦澤選手は現役時代から気になっていた選手ですが、試合動画はまだ観たことがありません 汗
      さっそく検索して観てみます!

  • 僕もファンでした。家にショップでもらったポスターもあったかも…。プレースタイル的には同型の中国選手と比べ相当攻撃的だったという印象がありますが、フットワーク良く、姿勢もブレないので安定感を感じるのも分かります。

    • ともピコさん
      おお、ポスターを貼るくらいファンでしたかっ。
      あれだけ攻撃的なのに安定感があるというのが凄いですよね。
      表選手にありがちな、調子を崩すとまったく入らなくなってグダグダになるということがないように思います。
      この境地にたどり着ければ私もちょっとした大会じゃ負けなくなるんでしょうけど 笑

  • 韓国のペン表というと、金琦澤ともう一人、同時期に活躍した金浣という選手もいます。金琦澤は左押し右打ちだったのに対し、金浣はバックハンドのアップダウンサーブからの両ハンド攻撃型でした。二人とも同じくらい強かったです。

    • 不滅の表ソフトさん
      そんな選手がいるんですか!?
      バックハンドのアップダウンサービスからの両ハンドとは興味深いスタイルですね。
      しかも金琦澤と同じくらい強いとは驚きですっ。
      これもさっそく調べてみます。
      それにしても、ひと昔前の韓国には強いペン表選手がけっこういたんですねぇ。

  • 前陣速攻とカットマンほど苦手な戦型はありません。
    それに加えてアップダウンサーブ・・・
    前門の虎後門の狼です泣

    • シェーク裏裏野郎さん
      ペン表はカモにされてるんじゃないかと常に不安がありますが、そういう言葉を聞くと「やりにくと思ってくれてるんだ」と安心します!
      シェーク選手からすると、練習する機会が少ないので球質になかなか慣れないということですね。
      これぞ絶滅危惧種だからこその特権です 笑

  • お久しぶりです。キムワン選手、オカッパ頭に、前陣での両ハンドで韓国版の河野選手みたいでした。私も参考にしました。
    昨年、北海道で会いました。日韓実業団定期戦の監督で、来日されてメチャ飲まされました。
    今では気の良いオジさんになってました。笑笑

    日本体育大学の、チョン監督と同期との事です

    • カントクさん
      お久しぶりです!
      おお、キム選手ともお知り合いでしたか!
      調べても動画がありませんでしたが、韓国版の河野選手と聞くとますます興味がわきます。
      オカッパ頭というのもナイスキャラの予感がします(笑)
      ぜひ韓国代表のコーチになってペン表を育ててもらいたいものです。

    • 不滅の表ソフトさん
      わわっ、こんな動画があったんですね!
      ありがとうございます!
      まさに夢のようなコンビですね。
      いやぁ、シビレます。

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