卓球王国を読む 2017年4月号

 

今月号も、一文字残らず読み尽くしました。

 

卓球王国 2017年 04 月号 [雑誌]

平野選手のガッツポーズが初々しい4月号の目玉企画はコチラ

【全日本選手権】THE FINAL 2017.1
水谷隼、前人未到9度目優勝!
平野美宇、史上最年少優勝!

男女混合ダブルス/男女ジュニア/ラン決のドラマ/ランキングプレーヤー・データ/全日本フラッシュ/
【チャンピオンインタビュー】
水谷隼・平野美宇
【技術特集】
王者の技【前編】平野美宇

 

まずは全日本選手権のフルコース。
大迫力の83ページである。

さらにこの後にはレギュラーコーナーであるTHE FRONT RUNNERの「全日本選手権におけるテナジー使用率」、そして「全日本のローカルヒーローたち」という全日本企画が続く。

普通の出版社であればこれだけで「別冊・全日本」として出版してもおかしくないほどの内容である。
ここでは、平野美宇選手のインタビューよりちょっこし抜粋してご紹介したいと思う。

 

性格の狭さは戦術の狭さ

史上最年少優勝を果たした平野美宇選手。

昨年の全日本の時よりもさらにレベルアップした要因として「性格の変化」を挙げているのだけれど、これが実に興味深いのである。

私の性格も変わったかもしれない。自分で自分の性格を変えようとしました。たとえば、今までは仲の良い人としかしゃべらないし、苦手な人とは絶対しゃべらないタイプだった。
コーチに「性格の狭さは戦術の狭さでもある」と言われて、心を狭くするのではなく、心を広くするためにいろんな人としゃべるようにしました。そうしたら試合中でも「自分はいろんな人としゃべってきたから大丈夫」と自信が持てて、心を広くしたら戦術も広くなった気がします。苦手な人であっても話をすれば得るものが多いし、仲の良い人や得意な人とばかり話をしてても、視野が狭くなって戦術も狭くなる気がしました。

性格の狭さが戦術の狭さにつながるとは非常に面白いよね。

ガムシャラに技術練習だけをやりこんでいただけだったらここまでのレベルアップもなかったかもしれないと考えると、実に興味深いではないですか。

仲の良い人には普通に話をするけど、それ以外の人には今までは自分を作って話をしてました。良いふうに自分を思ってもらいたいから、自分を作っていた。良いふうに思われたいもうひとりの自分がいるんですよ。本当の自分じゃないんです、それは。
だから、それをやめました。みんなに対して同じように話をしようと思いました。それからすごく明るくなったというか、楽になったし、卓球も積極的になった気がします。

 

これは私のような一般プレーヤーでも参考にできるものなのではなかろうか。

技術的に行き詰まりを感じている人や、もう一段階レベルアップをはかりたい人は自分の性格を見つめ直し、そこを変えるような行動を取ってみるという手もあるのではないか。

うん、これは試してみる価値アリ、ですな。

 

世界ジュニアでの超テク

そしてもう1つの目玉企画がコチラ。

魅せる、黄金世代[前編]
伊藤美誠・早田ひな

“世界を舞台に活躍する女子「黄金世代」の選手たち。その強さの秘密は一体どこにあるのか。昨年の世界ジュニアに出場した4選手の技術を全員と対戦経験のある平野早矢香氏が解説する”という企画である。

前編では伊藤美誠選手・早田ひな選手を取り上げているのだが、ここでは、伊藤選手についての分析を抜粋する。

平野さんが、伊藤選手の「ココがスゴイ!」と思うところの1つとして挙げているのが「相手の力を封じるコース取り」である。

世界ジュニア女子団体決勝の劉煒珊戦の、あるラリーの中で見せた「ミドルへのバックブロック」について「うまさが光る」と解説している。

相手のプレーヤーの特徴は、ミドルを攻めた時によく見えてきます。フォアで取ってくるか、バックで返してくるか。強く打ち返してくるか、とりあえずブロックしようと手を出してくるか。この相手はフォアミドルでもバックでカバーしているので、バックハンドに自信があるタイプ。大きく体をひねって打球することでバックサイドが空いています(21)。決定打のチャンスを広げ、打球のコースの幅も広げた絶妙なミドル攻めです。
ミドル攻めは相手が中陣に下がって、時間的余裕があると効果が薄くなるので、前陣でプレーする女子には効果的。男子の場合はサービス・レシーブから早い段階で使っていきましょう。

 

文中の写真21がコチラ(ミドルを攻めたシーン)。

 

平野さんは、単純な両サイドへの送球より、相手の体勢を崩してから次球を狙い打てる「ミドル攻め」の方が効果的であると解説している。

ミドルに来たボールをバックハンドで処理すれば、体がフォア側に傾いてバック側が空く、ミドルをフォアハンドで処理すれば、体がバック側に傾いてフォア側が空く、ということである。

そして平野さんはこう締めくくっている。

サイドを切るボールで攻めると、威力がない場合にはより厳しくサイドを切って返される危険性がありますが、ミドル攻めに対しては相手はサイドを切るような厳しい返球が難しい。返球のコースがあまくなりやすいのもメリットのひとつです。

 

ここ最近「ミドル攻め」について研究している私は、思わずなるほど~と唸ってしまった。

コース取りというとついつい「両サイドを突く」ことをベースにしてしまうが、単純な両サイド攻撃は逆効果となる可能性さえあるということなんだね。

今度から伊藤選手の試合を観るときは「ミドルを突くコース取り」にも注目したいと思う。

 

一流選手のこだわり

そしてもう1つ、触れておきたい企画がコチラ

全日本で聞いた 私の用具のこだわり

用具担当としておなじみの編集部員ゆうさんが全日本選手権で聞いた、一流選手の用具のこだわりを紹介するコーナー。

18名の選手のこだわりが本人のコメント付きで掲載されているのだが、ここでは私が最も驚いた選手をご紹介。

その選手とは、松生TTCの前出陸杜選手

小学6年だが、コートに入った時のオーラは大物。ペンホルダー両ハンドドライブ型の超新星はジュニアの部1回戦で高校生に勝利した。中国式の両面に厚いラバーを貼り、重量は180gを越えるが、それを苦にせずにブンブンと振り回す。
「フォアとバックともに硬いラバーを選びました。軟らかい『V>15リンバー』は使いやすかったけどカウンターが落ちてしまい、不安がありました。『エキストラ』のほうが硬くて回転がかかります。
ラケットは『スワット』(TSP)を使っていましたが、少しスピードが出なかったので、今のラケットにしました。監督が使っていて、試しに使わせてもらったらすごく良かったです。『スワット』より弾みが良くて、体が大きな選手とラリーをしても打ち負けないようになりました」

このコーナーでは選手の使用用具も掲載されているが、前出選手は両面に「V>15エキストラ」のMAXを貼っているとのこと。
小学生が両面MAXの中ペンを振り回しているだなんて……すごすぎる。

成長してパワーが備わったとき、さらに重たいラケットを振り回しているかもしれないと考えると、将来が非常に楽しみである。

 

ということで、今回は以上であるが、本当はもう1つどうしても触れておきたい企画あって、それが「我ら、ペンホルダーズ」である。

先月号から「クニヒロ卓球」でプロコーチとして活躍する、片面ペン表の庵木伸吾さんの企画が始まり、前回のテーマが「表ソフトのドライブ」で、今回が「スマッシュ&カウンターは打てる!」なんだけれど、どちらも非常に素晴らしい内容なのである

詳しく紹介したいんだけれども、長くなっちまうので残念だが割愛……。

ただ、ペン表選手はもちろんだが、シェークフォア表や、裏ソフトでもミート打ちやスマッシュを多用する選手は必読の内容であるということだけは声高に叫んでおきます。

 

そんなわけで、こんな感じの4月号であるが、今回のペンホルダーズのように、毎回、泣く泣く割愛する企画が必ずある。

毎号、取り上げたい企画がありすぎて困るという、実に書評家泣かせの雑誌である卓球王国。

来月号もきっと、大いに泣かせてくれるに違いない。

ハンカチを用意して、楽しみに待ちたい。

 

 

4 件のコメント

    • しんこうしんこうさん
      おっしゃるとおり!
      仕事がない日に1日中読み続けても読み終わらないですからねww

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