卓球王国を読む 2017年6月号

 

今月号は行きつけの純喫茶で、のんびりと読み倒しました。

 

卓球王国 2017年 06 月号 [雑誌]

 

大人の色気が漂う吉村和弘選手が表紙の今月号。

まず注目するのは、今月から始まった新コーナーのコチラ

強者のスーパーテク VOL.1
吉村和弘 脅威のチキータ

こちらは“トップ選手が主戦武器にしている技術にスポットを当て、打ち方や考え方を紹介する”という企画。

第1弾に登場するのは、強烈なチキータを武器に全日本選手権で準優勝した吉村和弘選手。

吉村選手が駆使するチキータは、「基本のチキータ」「一撃のチキータ」「短いチキータ」「サイドスピンチキータ」の4種類で、対戦相手のプレースタイルや試合の状況によって使い分けているという。

それぞれのチキータのコツを吉村選手本人が解説しているのだが、その中から「一撃のチキータ」のポイントを一部抜粋する。

一撃のチキータの打ち方は、基本のチキータと大きく違う点はありませんが、より力強くスイングするために「右足の踏み込みと踏ん張り」が必要になります。バック前やミドル前のボールに対しても打つことができますが、もっともやりやすく、威力を出すことができるのはフォア前のボールに対して打つ時です。フォア前のボールをチキータする時は、右足を卓球台の外に出すことができるため、右足をより前に踏み込むことができて、踏ん張りも強くできます。そのため強いスイングが可能になります。
また、一撃のチキータでは打球に回転とスピードを出すために、バックスイングで手首を最大限まで引くこともポイントです。インパクトは頂点で、ぼくは上からたたき落とすくらいのイメージでスイングするようにしています。

 

一撃のチキータは得点力が高いので有利な技術ですが、中国など世界のトップ選手にはそれだけでは通用しないと思っています。そこで、相手の待ちやタイミングを外す目的で「短いチキータ」や横回転を強くいれた「サイドスピンチキータ」を使っています。チキータに緩急と回転の差を混ぜることで、相手は的を絞りにくくなります。

と言っているように、多彩なチキータを使えれば、それだけでかなり有利に試合を運べるようになるのだろう。

この企画を熟読し、1つずつチキータのバリエーションを増やしていけば、ライバルに大きな差をつけてやれるのではないだろうか。

 

そしてこの企画あとには吉村選手のインタビュー記事があり、こちらも必読である。

青森山田中から野田学園高という異例の進学をしたり、2年生時に全日本ジュニアで優勝したがスランプに陥り、翌年のインターハイには出場すらできず、そこから苦しい時期が続いたが脱却するためにドイツに渡るなど、興味深い話がいろいろと語られている。

 

卓球ビギナー応援企画スタート!

今月号から始まったもう1つの新企画がコチラ

ガンバレ!ピンポン1年生

この春から卓球を始めた新1年生のためのビギナー応援企画で、卓球の基本的な知識を紹介するという内容なのであるが、そこはさすが王国さん、ビギナー企画にありがちな単純な作りではなく、実にわかりやすいうえに、細かい部分もしっかりフォローする見事な構成になっている。

卓球の歴史から始まり、用具の種類や選び方、戦型、基本的な技術、ルールなどを、イラストや写真つきでわかりやすく紹介。

そして後半部分の「ビギナーのための用具選びのPoint!」では、ビギナー向けのおすすめラケットとおすすめラバーをズラリと並べ、どのように選べば良いのか、ビギナーが強くなるための用具選びのポイントを解説してくれている。

この連載があれば、卓球初心者でも安心して卓球の世界に入っていけるだろう。
ピカピカのピンポン1年生は要ガン見である。

 

スワット パワーが熱い!

もひとつ取り上げたいのがコチラ

【グッズ特集】
今、この用具が熱い!
〈vol.1〉スワット パワー(TSP)の全貌

今年行われた全日本選手権、男女シングルスベスト16以内において、3名の選手が使用していたというスワットパワー(TSP)。
プラボールになり、7枚合板が最注目されている中で、スワットパワーはどんな理由で人気になっているのか、その全貌を探る、という企画である。

現在7種類のラインナップがある中で、スワットパワーは威力を重視したラケット。
このラケットを関東学生リーグ1部の強豪大学・中央大の選手4人が試打をして感想を述べ合っている。

さらには、4月からヤマト卓球の契約になった吉村和弘選手にも試打を依頼。

吉村選手はスワットパワーについて次のように語っている。

「打ってみて、まず木材合板なのに、木材じゃないと感じました。つまり、木材らしいつかむ感覚がありながら、弾く感覚もある。ボールをキャッチして、そこから強く弾いてくれるので、木材でありながら、特殊素材と遜色がない弾みとスピードがあります。相手の台の深いところへ入るので、すごいなと思います。
ぼくが使っている『カルテットAFC』(VICTAS)もそうなのですが、つかみと弾きを兼ね備えているラケットだと思います。2本は似ていますね。
『スワット パワー』は木材ならではの弧線が作れるし、当て方によっては直線的なボールも作れますね。打球に変化をつけやすいので、トップ選手が使うのもうなずけます」

 

そして、ヤマト卓球の商品開発担当・仲村錦治郎さんがスワットパワーのヒットの秘密を語る。

7枚合板はアジアの選手とヨーロッパの選手で好みがガラッと違います。アジアは中国選手のように「ボールをつかんでから飛ばす」どっしりしたラケットを好みます。たとえば『クリッパーウッド』(スティガ)です。
一方、ヨーロッパの選手は球離れが早いラケットを好みます。サービスと3球目攻撃タイプにぴったりです。たとえば『パーソンパワープレイ』(ドニック)です。私の現役時代はこのヨーロッパ系の7枚合板が流行していたので、開発の時もヨーロッパ系ばかりを作ってしまったのです。そこで思い切ってアジア系を投入しました。それが『スワット パワー』なのです。

男子は完全に特殊素材全盛の時代に入っていましたが、女子はまだまだ7枚合板が人気だったので、『スワット パワー』も最初は女子選手狙いで発売しました。しかし、思ったよりつかむ、そして硬くて弾むという理由で男子選手が使ってくれたのです。嬉しい誤算でしたね。出荷本数もどんどん増えていて、新たな看板ラケットになりそうです。

 

アジア選手が好む7枚合板を追求した結果、男女トップ選手が使用するようになった、ということだそうです。

この記事を読んで、今さまざまなレベルの選手がスワットパワーに熱々の熱視線を注ぐ理由がわかったような気がする。

スワットシリーズと言えば、表ソフトにも合うという評判をよく聞くラケットでもある。
私もこのスワットパワーを試してみたいものですねぇ。

 

ということで、今回も良質な卓球情報満載の卓球王国であった。

かゆいところに手が届くどころか、これからかゆくなるであろうところを先回りしてかいてくれている雑誌であると、あらため感じた。

 

6 件のコメント

  • 木材が好まれる時代ってなんか良いですね
    ゴルフやテニスなどのスポーツが木材から離れる中
    卓球に木材が使われるのはそれ程繊細なスポーツなんでしょうね
    あと、素材が木材に逆転されつつあるということは
    ボールのスピードが落ちる→表やカットなどのチャンスも増える
    ということでしょうか

    • しんこうしんこうさん
      卓球界はずっと木材ラケットを作り続けてほしいですよね(木材ラケットの香りは最高です)。
      特に日本は良い木がありますからねww
      表やカットのチャンスが増えると有り難いですが、こればっかりはどうですかねぇ・・・。
      表やカットにがっつり特化した最強の木材ラケットが発売されると面白いですけどね 笑

  • スワットパワーいいですよね!
    自分も前使ってる人に試合でボコられた思い出があります(笑)
    木材がまた注目されるというのは、近年の特殊素材ラケット等による用具の値段の高騰を止めてくれそうで期待がもてます。貧乏プレイヤーのためにも、木材には頑張って欲しいです!(と言っても自分はスワットカーボン使ってます(笑))

    • 卓球主義さん
      リーズナブルなのに性能も良いラケットは最高ですよね!
      今後は各メーカーからも7枚合板ラケットがどんどんリリースされるかもしれませんね。
      期待したいところです。
      と言いつつ、私も現役の頃からカーボンラケットを使い続けていますが 笑

  • 普段チキータは全然使わないのですが色々な種類があるので自分に合ったチキータを使いたいと思います!

    • シェーク裏裏野郎さん
      ひとつでも自分に合ったチキータをマスターできれば強力な武器になりますよね!
      逆チキータなんかもトリッキーで好きです。
      私もすぐに諦めないで、もう一度チャレンジしてみます 笑

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