卓球王国を読む 2017年8月号

 

今月号も我を忘れて読み倒しました。

 

卓球王国 2017年 08 月号 [雑誌]

 

表紙に「表紙 スペシャルバージョン」と書かれていたのでなんだろうと思ったら、表紙が折り畳まれておって、それをペロンとめくると、こんな感じになっていた。

まさかのダブル表紙!

ミックスの金も快挙、シングルスの銅も快挙、どちらも表紙にしたい。
だったら両方とも表紙にしちゃおうってことなんだろうね。
素敵な演出です。

 

底知れぬ向上心

そんな今月号の注目特集はもちろんコチラ

2017世界選手権ドイツ大会〈個人戦〉
日本メダルラッシュ!48年ぶりの快挙!!
詳細報道&メダリストインタビュー
〈混合複・金〉吉村真晴・石川佳純、〈男子複・銀〉森薗政崇・大島祐哉
〈女子単・銅〉平野美宇 、〈女子複・銅〉早田ひな・伊藤美誠
〈男子複・銅〉丹羽孝希・吉村真晴 、〈男子単・ベスト8〉張本智和
倉嶋洋介・馬場美香監督インタビュー
世界選手権の舞台裏

この超速報は、大増ページのスペシャル版となっていて、これでもかというくらいの大ボリュームであった。

 

世界卓球で大活躍した選手たちのインタビューがてんこ盛りなのであるが、特に印象的だったのは、平野美宇選手の底知れぬ向上心をうかがわせる言葉である。

この1年間で劇的な進化を遂げた平野選手は、ワールドカップで勝った頃から意識が変わり、本も読むようになったという。
そんな平野選手に大好きなアイドルのことを聞くと、このように答える。

―― アイドル動画は?
平野 そこはぶれないです(笑)。特に男性アイドルが好きになってから強くなりました。アイドルのライブとかに行っても、楽しいけど、いつも帰る時には悔しいと思います。ライブで3万人、5万人という観客を元気にさせている。自分は何をやっているんだろうと思う。自分が見ている側にいることが悔しくて、「自分もビッグになってやる!」と思って帰ります。
アイドルは自分の上の存在だけど、それこそオリンピックで優勝すれば同じ位置に近づけると思うし、そこを超えたいなと思う。ライブに行くとモチベーションが上がってくる。全日本前の1月1日もライブに行って、元気をもらって、絶対この人たちよりもビッグになってやると思って、全日本で優勝しました(笑)。

 

こんなモチベーションの上げ方もあるのかと驚かされるね。

――今は卓球が楽しい?
平野 勝った時はうれしい。卓球は好きだけど楽しくない。去年くらいまでは楽しくやって勝てればいいかなという考えだったけど、今は命がけで卓球に懸けているので楽しくないです。
――山の頂点に近づけば近づくほど空気が薄くなるから大変だね。卓球を楽しく思うことが減っているのかな。
平野 減っていますね。試合後の1日、2日くらいの時しか楽しくない。でも、卓球は好きなんです。それは変わらないんです。でも、結構辛いですね。試合前は死にそうになりながらやっています。自分を追い込んで、負けは許されない、絶対勝とうと思ってやっているし、そう思うようになってから成績も上がっていきました。

 

ここまで自分を追い込まなければ、到底中国を倒せる選手にはなり得ないんだろうね。

2年後の世界卓球(個人戦)で、この命がけの日々がどのような成果となってあらわれるのか、今から楽しみで仕方がない。

 

剛力の秘密

そして、もうひとつ取り上げたい企画がコチラ。

【グッズ特集】
今、この用具が熱い!
〈vol.3〉超重量ラケット剛力(ニッタク)の秘密を探る!

その価格、¥33,000(+税)という泣く子も黙る高級ラケット『剛力』
試してみたいけど値段が値段なだけになかなか手が出せないという方もおられると思うが、最近になって多くのトップ選手が『剛力』に手を伸ばしているという。

硬い・重い・扱いづらいと言われる、時代の波に逆らっている『剛力』がなぜ人気となっているのか、その秘密に迫っている企画である。

『剛力』は、王子卓球クラブの作馬六郎さんの発案によって生まれたラケット。

かつて日本でも発売されていた中国製ラケット『PF4』は、作馬さんが教え子に持たせて、世界選手権や五輪に出場させた伝説のラケットであるが、徐々に手に入らなくなってしまう(手に入っても粗悪品が多い)。
じゃあ自分で作ったら良いと考え、いろいろなメーカーに提案したが断られ、ニッタクだけが「おもしろそうですね」と引き受けてくれたという。

ラケットを作るにあたり、作馬さんがお願いした条件は以下の6つ。

【ラケットへの条件】
重量は100g以上にする
7枚合板で作る
板は等厚で作る
ブレードは大きく
グリップはFLのみ
価格を高くする

この条件を踏まえ、作馬さんは『剛力』へのこだわりを次のように語っている。

ラケット開発の最初に、、左の条件をお願いしました。これは『PF4』を再現するという意味です。私はもともと、片面に粒高や表ソフトなどの軽量なラバーを貼る選手向けに使っていたので、ラケットが100~110gくらいないと総重量も重くならないし、相手の打球に押されてしまう。
は重心の問題です。フレアで深く握った時に、重心が手前にくるようになっています。前陣での女子を想定したラケットなので、重量が重くても切り替えが遅くならないようにフレアのみにしています。
『剛力』は、本当は王子卓球クラブ専用の秘密兵器にしたかった。でもそうはいかないメーカーの事情もある。だから、せめて価格を高くしてほしいとお願いしました。合わないからとすぐに止めるような選手には使ってほしくない。我慢して使えば、他のラケットにはない良さがわかるでしょう。

 

高価格の裏に「すぐに使用を止めてほしくない」という願いが込められていたというのは驚きである。

ここまで徹底的にこだわり抜いたからこそ、これほどの超個性的なラケットが誕生したのは納得ですね。

特集では他にも、開発担当者の「剛力Q&A」、ミキハウス・四天王寺学園の大嶋雅盛監督のコメント、日本トップ女子カットマン・佐藤瞳選手が語る「剛力の魅力」、そして、日本リーガーのカットマン3人と、剛力初体験&剛力初心者の攻撃マン選手2人による「剛力試打」など、剛力情報がパンパンに詰まっている。

以前から興味を持っていた剛力であるが、この特集を読んだら試してみたくてしかたなくなった。

私も剛力の中ペンが出たら買いたいなと思うが、出るのかなぁ……出ないだろうなぁ。

 

粒高を極める

剛力特集の流れで紹介したいのがコチラである。

作馬六郎の王子卓球
第4章 粒高の技&戦術①

第4章からはいよいよ粒高の技と戦術について解説。

粒高選手を本格的に教えられる指導者はあまりいないのて、粒高ユーザーは必読の回である。
前半である今回は、粒高のいろいろなバックハンドの技術を紹介している。

その中から「カットブロック」のポイントを抜粋。

上回転を下回転にするカットブロック。
長短をコントロールしよう!
上回転のボールを下回転にして返すという粒高の特性を活かしたカットブロックは、主に相手のドライブに対して使います。
ラケットを上から下に鋭く切り降ろして下回転にします。ポイントは打球点です。ボールが台についてからすぐ、つまり頂点前を打つようにします。打球点を落としてしまうと、あまり回転がかからず、速いボールも出ないので相手に余裕を持たれてしまいます。早い打球点でとらえることができれば、打球のテンポが速くなり、相手の連続攻撃を封じ込めることができるのです。
また、カットブロックは前後の揺さぶりが非常に大切です。どれだけ良いサービスやスマッシュを持っていても、前後の揺さぶりができないと打つチャンスが来ません。長短のコントロールもカットブロックには必要です。
カットブロックを長くしたい場合は、ラケットの先端寄りで打球し、短く止めたい時はラケットのグリップ寄りで当てると良いでしょう(左ページラケット図参照)。また、打った瞬間にラケットを少し引くようにすると、より短く止まりやすくなります。
ボールが高く浮いてしまう人は、ラケットを少し伏せた角度で打つようにすると、低く収まるようになります。

・3と4が「長いカットブロック」の打球場所
・1と6が「短いカットブロック」の打球場所

当てる場所によってブロックの長短をコントロールするというのはかなり高度な技術であるが、私も表ユーザーなので参考になる。

この連載はDVD化され、7月上旬に発売予定とのこと。
こちらも非常に気になるところである。

 

こんな感じの8月号でした。

ほんで、ふと最後のページの次号予告を見てみると、次号の特別企画のタイトルが「卓球でメシを食う!」であった。

めっちゃそそられるやないの。
はよ読みたい。

 

10 件のコメント

  • おお、今月号も面白そうです。
    こちらのブログを拝見するようになってから王国を買う機会が増えました。
    明日買ってこよう。

    剛力、と言うかオリジナルのPF4の中国式を1本持っていますがひたすら重く、硬く、ミートに適したラケットです。
    うちのは比較的良個体だと思いますので、あれと同じようなのを再現したなら確かに時代に逆行してると言わざるを得ませんねw

    ただPF4しか使えないと言う方もいらっしゃいますのでどハマりしたら魅力的なんでしょうね。
    そういう方には救世主的なラケットになりますね。
    なんせPF4は突然変異的な良個体以外は粗雑なベニア板ですので。

    • つぐさん
      拙ブログが購買欲を促すことに少なからず影響を与えているとのこと、ブロガー冥利につきます!

      オリジナルのPF4をお持ちなんですか! それは羨ましい。
      剛力とはデザイン的にはまったく違いますが、オリジナルのデザイン(見た目)はいかにも中国ラケットって感じで素敵ですよね。
      時代に逆らっているのに売れる剛力の魅力たるや、一度使ったら手放せなくなるラケットなんでしょうね。

      昔のラケットをリニューアルして新しい個性派ラケットを作るという試みは面白いのでいろいろなラケットでやってほしいものです(笑)

  • 超重量級ラケット・・・自分には使いこなせそうにないですね笑
    素振りするにはいいかもですね!
    劉国梁監督の件でトップ3人が不戦敗しましたね。
    世界卓球でも馬龍のコーチが変わってました。
    なんか少し寂しい気がします・・・

    • シェーク裏裏野郎 さん
      私も非力なので使いこなせない気がします(笑)
      素振り専用に使ったら作馬さんに怒られそうですね(笑)
      劉国梁監督の辞任はほんとにショックです。
      選手にはなんらかのペナルティが課せられるようですが、しばらく国際大会に出られないようなことになるとイヤですねぇ……。
      いっそのこと劉国梁には、現役復帰してTリーグにでも参戦してほしいですね 笑

    • しんこうしんこうさん
      さすがにこの価格だと気軽に試せませんよねw
      周りに使ってる人もいないから打たせてもらえる機械もないですし。
      当面、剛力への片想いは続きそうです(笑)

  • 剛力はとても魅力的ですが貧乏学生にはとても手が出せない価格ですね……。
    バック表の自分も使ってみたいですが、自分今両面中国ラバーを使ってるので、今のラバーを剛力に貼ると210グラムを多分ゆうに越えてしまうんですよね(笑)
    買うなら大学生になってからか成人してからが妥当ですかね……。
    しかし、作間六郎さんの卓球理論は常識破りでいて的を射ているというところがすごいですよね。勝つための方法だけを敷き詰めて考えている感じが格好いいです(笑)

    • 卓球主義さん
      学生さんには厳しめの価格ですよね……。剛力を買うためにバイトする人もいるかもしれませんね 笑
      210グラム越えは重たいですねぇ。
      でもそれを振り回せる筋力をつけたら無敵かもしれませんよ!

      作馬さんのように常識をぶち壊し、かつ結果もしっかり出すというのは本当に凄いことですね。
      作馬さんは立ち姿が昭和の名俳優のようでめちゃくちゃカッコいいんですよね(笑)

  • 自分は剛力の中ペンが出て欲しいと思っているんですが、やっぱり難しいでしょうね〜。
    粒高ユーザーは一度は使って見たいラケットですよね。

    • キョウヒョウユーザーさん
      欲しいですよねぇ、剛力の中ペン!
      ペンの粒高ユーザーならみんな買うんじゃないでしょうか(価格にもよりますが)。
      グリップを切ってペンに改造して使うという手もありますが、失敗したら悔やんでも悔やみきれませんね 笑

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