卓球王国を読む 2015年6月号

 

いまだ世界卓球の余韻に浸っている中、6月号を読みました
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対談 水谷隼 石川佳純
王者、恐るべし

全日本選手権7度優勝の水谷隼と、3度優勝の石川佳純。
ともに世界ランキング5位の世界的なトップ選手でもある日本のチャンピオン2人の対談です!

人一倍卓球に対してストイックなチャンピオン同士の語らいは、2人が試合で見せるラリーよりも熱く激しい応酬が繰り広げられておりました。

まずはお互いのストロングポイントを語るところから対談はスタート。

水谷選手が石川選手について話した後、石川選手は水谷選手についてこのように語った。

石川  もちろん小学生の時から水谷君を知っているけど、17歳で全日本初優勝する時から決勝はずっと見てきました。私の中では水谷君はずっとチャンピオンというイメージがあります。
正直に言って、水谷君は卓球への理解がすごいし、深いと思う。現役選手なので(深い部分を)すべてしゃべれないけど、「頭の中にはいっぱい詰まっているんだろうな」と、話をしても試合を見ても感じます。
それに試合を見ながら、「水谷君は何を考えてプレーしているのかな」「なぜこういう技術を使っているのか」と考えます。カットマンや攻撃選手と試合をしても、彼はナックルボールを使う。見習いたいと思うし、卓球は強く打てばいい、スピードがあればいいというものじゃない。その辺に水谷君の卓球への理解のすごさを感じますね。
それに勝負強さ。常に苦しい場面でもポーカーフェイスだし、全日本でも世界選手権の団体戦でもエースとしてのプレッシャーが大きい中での戦い方はすごい。
水谷  いいこと言うね(笑)。オレほめられるのに慣れてないから(笑)。
卓球のことで言えば、深い部分をあまり語ったこともないし、深い話になると他の選手と距離を感じてしまうし、たぶん理解を得られないから話さなくてもいいという気持ちが自分の中にある。
(33Pより抜粋)

そして、二人にはある共通点がある。
それは、卓球一家だということ。

――二人とも卓球家族の中で小さい頃から育った選手ですね。
水谷  うちは超スパルタ(笑)。
石川  へえ、知らなかった。笑は1日1時間半しか練習やらなかった(笑)。
水谷  語ることは別にないです。何か恥ずかしいです。
石川  スパルタの時期があったから今の水谷君があるんじゃないですか。
水谷  そういう簡単な話じゃない。トラウマになっているから。両親ともに厳しかったから。
石川  それは逃げ道がないですね。うちはどちらかと言えば母が厳しかったですね。子どもの頃はスイミングとかもサボろうとするじゃないですか。でも、母は妥協を許さない。引っ張って連れて行かれました。当時は父が逃げ道でした。うちは家族全員で王楠のビデオを観る、それが日課でした(笑)。
水谷  それはすごい。うちもスカパー契約して卓球チャンネル観てました。ぼくはおじいちゃんが逃げ道だった。
(34&35Pより抜粋)

家族全員で王楠のビデオを観るのが日課って!
筋金入りの卓球一家ですな。
我が子を卓球のスター選手にしようと思うなら、小さい頃から家族一緒に卓球に取り組める環境作りが必要ってことかぁ、大変だな…。

 
自分がどうすればもっと強くなれるのかを聞きたい、まじめに答えてほしいと切望する石川選手。

それに対し、初めこそふざけた返答をした水谷選手だったが、一転、真面目にアドバイスをおくる。

――水谷選手、石川選手がさらに上に上がるためには何が必要でしょう。
水谷  あと2倍の練習をする。
石川――ほら、まじめに答えてくれないでしょ(笑)。(2倍の練習だと)寝る時間がなくなっちゃう。
水谷  やっぱりボールの球威、回転ですね。女子の中でも佳純ちゃんのボールは軽いほうだと思う。普通の選手が3本、4本で決まるボールが、5本、6本と続いてしまう。それが3本くらい打って決まれ
ば、もっと勝ちやすくなる。技術的に言えば、弾くだけでなく、もっと擦る感覚で回転をかける。回転量が多くてスピードあることで相手は取りづらくなる。特にプラスチックボールになってからは、回転をかけるとナチュラルに変化してくれるので得点につながりやすい。佳純ちゃんは以前よりもボールのスピードは上がっているし、攻めも厳しくなっているけど、回転量がもっとほしい。
それに、誰もやっていないことをやったほうがいいし、男子の卓球に近づけること。YGサービスとかチキータもそうだけど、男子のトップ選手が使っている技術を身につけるべきだと思う。
(41Pより抜粋)

めちゃくちゃ鋭い分析!
佳純ちゃんのボールが軽いだなんて思ったことなかった…。
ここに抜粋したのはほんの一部であり、他にも、コーチについて、お互いに聞きたいこと、対談をして改めて思った相手のことなど、いろいろなことをたっぷり語り合っている。

卓球王国が創刊以来初めて組んだというチャンピオン同士の対談。
これは必読ですぞ!

 

そしてもうひとつ触れておきたいのがコチラ

チャンピオンの勝利の法則〈後編〉“サービス”と勝者のメンタリティー
なぜ水谷隼は勝ち続けるのか。

石川選手との対談では、他の選手と卓球について深い話はしないと言っていた水谷選手。
けれど水谷選手は誰よりも深く深く卓球のことを常に考え続けている。

この記事を読むだけでも、そのことを実感するはずである。
例えば、「ヤマを張る」ことについて、

  自分の卓球を考えた時に、さらに上に行くためには「ヤマを張る」ことが必要だろう。試合の中で、現在は7対3くらいでヤマを張っているのを、9割、10割くらいでヤマを張れるようにしたい。9割、10割で予測することはすでに「ヤマ」とは言えないかもしれないが、それは一か八かの攻めではない。リスクを冒して攻撃しているように見えて、それが9割、10割の確率で入れば、「完全なる予測」とも言える。
そういう攻めができるのであれば格上に対しても、格下に対しても、アグレッシブに攻めていくことができる。今までの試合では1試合に2、3本できていたかもしれないが、それを1ゲームに数本できるようにしていきたい。
また、攻撃だけでなく、守りでももっとヤマを張って、カウンターを狙っていかないと、格上の選手には勝てないだろう。
(65Pより抜粋)

卓球求道者・水谷隼の深い考察を楽しめる記事です。

読むべし! ですよ。

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