昨日の夜、卓球関係のニュースをチェックしようとネットで検索したら、「報道ステーション」の松岡修造さんのコーナーに石川佳純選手が出演するという情報をキャッチ。
見るとその日が放送日であり、番組は後半に入っていたので慌ててテレビをつけると、ちょうどコーナーが始まったところだった・・・危うく見逃すとこだった。
出演といってもスタジオに登場するのではなく、流れるのは修造さんの取材Vである。
VTRが流れる前に修造さんは見事なバックハンドを決めていた(フォームが完璧)。さすが一流テニスプレーヤー!
そんな感じでVが始まったのであるが、まず修造さんは、現在世界ランキング4位で、世界選手権やオリンピックの表彰台も射程圏内となった石川選手の、「絶対に超えなければならない壁」について説明する。
その壁とは、ランキングで石川選手の上にいる中国の丁寧(1位)、劉詩雯(2位)、李暁霞(3位)の3選手のこと。
ロンドン五輪で対戦したが、石川(157cm)、丁寧(172cm)、李暁霞(174cm)と体格差があり、パワーの違いが明らかであった。
その差をいったいどのようにして埋めるのか? 修造さんはその答えを知るために石川が練習しているナショナルトレーニングセンターを訪れる。
そこは日本男子の代表合宿が行われており、大勢の男子の中で女子は石川選手一人だけ。
「競技によっては女子が男子と練習することもあります。しかし、相手が代表レベルというのは僕は初めて見ました」と修造さんも驚くほど、それは異例の取り組みである。
そんな石川選手の過酷な武者修行は一昨年から行っているそうなのだが、なぜそれが実現したのか?
提案したのはなんと男子日本代表の倉嶋洋介監督だという。
倉嶋「技術力は元々あったので、これにプラスして男子のパワープレーについていけるようになったら、中国の選手にも対抗できる子になるんじゃないかなと」
そしてVTRは修造さんと石川選手の対談になり――
修造「(男子との練習を)実際やってみてどうですか?」
石川「昔は中国選手と対戦しても、宇宙人だって思うぐらいなレベルが――でも男子の選手とやると、もっと宇宙人、みたいなボールが来るので(笑)」
スーパー宇宙人とも思える男子からどうポイントを奪うか? その課題に取り組むことで、中国人選手との戦い方が見えてくるというわけだ。
男子選手と練習する中で、石川選手はあることに気付いたという。
石川「試合をした時に、自分が先手を取って戦おうという意識が前よりもすごい強くなりました」
修造「なぜですか?」
石川「相手に1発強いボールを打たれたら、反応もできないぐらい速いので」
以前は中国選手との対戦では、相手の強打に対しても石川選手は防戦一方で自分から攻撃を仕掛けることがなかなかできなかった。
では、先手を取るにはどうしたらいいのか?
元中国チャンピオンの陳莉莉コーチは、「レシーブ時のフリック」がカギになると語る。
最近は女子でも台上のレシーブにチキータを使う選手も増えているが、石川選手はチキータではなく、あくまでフリック。
しかし、速いボール(強く弾くフリック)、回転が極端に少ないボール(ナックルのようなフリック)、回転を掛けたフリック(横回転を掛けたツッツキのような感じ)など、いくつかのフリックを使い分ける。
この技術は、より早く、より返しにくいボールを打とうとすると、ミスのリスクも大きくなるため、女子ではほとんど使い手がいないという。
この技をマスターするために石川選手は、ひたすら陳コーチと反復練習。
石川「1時間半ずっと同じ練習をするのは、前だったらあまりやってなかったんですけど、出来るまで終わらないので、出来るようになるしかない(笑)」
今年の全日本選手権準決勝の最終ゲーム、ポイントは9対8、あと2ポイントで敗退という場面。
ここで石川選手は相手のサービスをフリックし、次の球をバックハンドで打って得点。
勝負どころをものにし、見事に逆転勝利をおさめる。
石川「これだけ練習してきたんだから出来るっていう自信がその時はありました。前だったら負けていたら『どうしようこのプレー効かない』みたいになってたんですけど、自分の持ってるものは全部引き出しから出して戦おうっていう考えができるようになりました」
ひとつの技術が効かなくても慌てる
ことなく、持っているものを全て出して戦おうと考えられるというのは、精神のタフさが身についたということなのだろう。
ことなく、持っているものを全て出して戦おうと考えられるというのは、精神のタフさが身についたということなのだろう。
その引き出しの中には今後、フリック以外の秘策もいろいろ入れられることだろう。
それらを全て駆使して、世界卓球では大暴れしてもらいたいものである。
それにしても、松岡修造という男は熱い。
石川選手はロンドン五輪の3位決定戦で、勝ったことのある相手にストレートで負け、試合後に修造さんは石川選手にインタビューした。
修造さんは「本気で応援してるから、本音で言うね」と前置きして、なぜ勝てなかったのか? 何が前と違ったのかと問う。
石川選手はその時「そんなの無理だよぉ」と心の中で思っていたそうだが、このような直球の質問はなかなかできるものではない。
「本気で応援してる」と自信を持っている人のみが可能なことだ。
なんと修造さんは試合後、石川選手のお母さんのもとへ行き、「あの試合は勝てた」と泣きながら言ったそうだ。
熱い、熱過ぎるぞ修造!
普通なら、「勝てる試合なのに何で負けたんだ」などと聞こうものなら、「素人のくせに簡単に言うな!」と非難されるところだろうが、これほどまでに真剣に応援してくれている人であるならば、見ているこちらも腹が立つどころか感動すら覚える。
実に不思議な男である。
修造さんは福原愛への取材などもよく行っているが、修造さんが卓球や卓球選手を語ると、実にその魅力をうまく伝えているといつも感心する。
その話術の秘密を知りたいと思った私はちょこっと調べてみた。
すると『伝わる! 修造トーク』というオモロそうな本を発見。
ひとまずこれを読んで修造トークの秘密を探ってみたいと思います。
ちなみに修造さんは、来月からスタートする「TOKYO応援宣言」という番組にレギュラー出演することが決まったそうだ。
「応援ナビゲーター」として、2020年の東京五輪出場を目指すアスリートを全力で後押しするという。
世間では今、日めくりカレンダーが大ヒットするなど、「修造ブーム」になっているという。
心強い日本最強の応援マン松岡修造にも要注目である。
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