卓球王国は今月号も面白い記事がてんこ盛りであった。
本当に内容が濃い雑誌ですねぇ。
で、5月号の目玉企画はコチラ。
“チャンピオンの勝利の法則 なぜ水谷隼は勝ち続けるのか”
国内無敵の王者水谷隼による、技術、戦術の解説、そして今伝えるべきメッセージが掲載されている。
まず、[プラボール時代の勝ち方]と題して、プラボールに対してどのように対応すればいいのか、いくつかの技術について解説しているのだが、その中からほんの一部だけご紹介。
自分の中では、セルボールの時よりも、台との距離をとったほうが良いのかな、と感じている。台に近すぎると、その分反応を早くしなければならないが、台から距離をとれば、その分時間ができる。プラボールになって、相手のボール自体の威力、スピードも回転も落ちているから、わずかではあるが自分の時間が作れる分、以前よりは反応してブロックやカウンターはやりやすくなっている。そのゼロコンマ何秒という時間があるだけで、感覚としては全く違う。だから、あまり台に近づきすぎないように意識して、カウンターを狙っていく。プラボールはカウンターやミート打ちはやりやすいし、相手が回転をかけてきたボールに対してはナックル性のブロックや、上回転をかけて伸ばしたりするような変化をつけやすくなった。セルボールの時は、強く打たれたボールに対して、反応すれのが精一杯、手を伸ばすのが精一杯、という状態だったが、プラボールになってからは、前述したように、相手も下回転のボールに対して思い切り強打できないので、最初は回転をかけて入れてくる展開が多くなる。つまり相手に打たれたボールに対して余裕が持てるようになった。その余裕があるからこそ、打たれたボールに変化をつけて返球できるはずだ。
(31Pから抜粋)
そして後半の、水谷が卓球界へ伝えたい熱いメッセージだが、今回のテーマはこれだ
“日本の指導者に伝えたいこと”
卓球界に対して、これまでにも様々な想いを発信してきた水谷であるが、今回は日本の指導者について言及している。
水谷が苦言を呈するのは、その役割について。
中国であれば、たとえリードしていても、相手の弱点を見つけたら、それまでの戦術を変更して弱いところを徹底して攻める。
日本の場合は、得点や失点という結果だけでベンチにいるコーチが戦況を判断するため、逆転負けや格下に負けるケースが多いのではないかと水谷は指摘する。
例えば3-0でリードした4ゲーム目、このような状況で日本のコーチはほとんど「いいぞ、そのままでいいぞ」と言う。
けれどこの言葉は、そのゲームを捨てているようなものだということに気づいてほしいと水谷は警鐘を鳴らす。
もし自分がベンチでアドバイスする立場だったら、そのゲームで何が良かったかを選手に伝える。戦術的なことがメインで、基本的には「コース取り」のことを伝える。中国のコーチ、例えば張継科のコーチの場合は「このコースには絶対打つな」とか「このレシーブは絶対にするな」「ここに来たらストレートに打て」といった具体的なアドバイスをする。(中略)日本のコーチだと勝っている時は何も言わず、負けている時にアドバイスを与えることが多い。でもそれでは手遅れだ。前述したようにリードしている時でも、「相手が対応してきている」ことを見抜かなければならない。「点数を取った、取られた」に気を取られるのではなく、「相手の弱点、相手の長所を見抜く」ことが重要だと思う。(後略)
(38Pから抜粋)
私のプライベートコーチである邱(建新)さんもよく言うけれど、日本の指導者はベンチで一生懸命に手を叩いていることが多い。指導者というのは試合の戦況を見て、先を読まなければならないのに、選手と一緒になって応援している。コーチは基本的には冷静にゲームを分析するのが仕事で、指導者が熱くなってしまうと、試合を冷静に見て分析することはできない。(40Pから抜粋)
詳しくは今月号を読んで確認してもらいたいのだが、自分の経験をもとに、かなり鋭い指導者論を展開している。
これだけのことを25歳の若者がなかなか言えるものではない。
これだけのことを25歳の若者がなかなか言えるものではない。
耳の痛い内容かもしれないが、選手だけでなく、指導者の人にも読むことをお勧めします。
そして今月号では、注目の新連載が始まった。
それがコチラ
“吉田海偉の卓球 鬼のペンドラ〈Vol.1〉”
全日本のランキングでただ1人のペンホルダー選手の、元日本チャンピオン・吉田海偉。
裏面を使わないペンホルダーとしては世界トップ3に入るだろうと私は思っているが、強烈なパワードライブに雄叫び、その豪快なプレースタイルはまさに“鬼のペンドラ”。
その通り名にふさわしい吉田海偉が、ペンで勝つためのあんなことやこんなことを惜しげもなく教えてくれる、そんなコーナーのようだ。
第1回目の記事の中から、グリップについての記述をご紹介する。
ペンのグリップは人によって違いますが、私の特徴は後ろの三本指を伸ばすことです。この三本の指をまっすぐにすることでパワーが出ます。威力のあるフォアを打ちたい人は、できるだけ伸ばしたほうが良いでしょう。韓国選手はみんな伸ばしていますし。現在世界No.1の許昕(中国)もかなり三本指を伸ばしているグリップてす。私も以前は後ろの指を曲げたグリップでしたが、11年に中国の超級リーグに参戦した時にコーチに言われて伸ばすようにしたらボールの威力がかなり上がりました。後ろの指を曲げるグリップは、手首が使いやすく、台上がやりやすいので、安定感を求める選手には良いです。グリップは自分のプレースタイルによって変わりますが、強い一発がほしいなら伸ばしたほうが良いでしょう。
(97Pから抜粋)
「鬼のペンドラ」は、DVDも発売中なので、こちらの方もチェックしてみてはいかがだろうか。
解説・モデル:吉田海偉
ペンホルダー必見!
ペンドラ必勝度200%アップ!!
シェーク攻撃型主流の時代に
敢然と立ち向かう
ペンホルダードライブ型のカリスマ。
驚異的なフットワーク、
相手を打ち抜くパワードライブ、
超絶テクニックの数々など、
吉田海偉の技術を紹介する。
詳しくはコチラから↓(動画も観られるよ!)
ペンドラの鬼が、ペンでもやれることを、いや、ペンだからこそやれる! ペンだから強い! ということを証明してくれる心強い新企画が始まったことに、私はワクワクが止まらない。
10年後にはきっと、ペンドラの鬼が全国にたくさん現れるていることだろう。
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