全中女王が示す「フォア表ソフト」の可能性


渋谷のスクランブル交差点でヒグマに遭遇する確率と、小中高生の試合会場でペン表ソフトの選手を発見する確率はおそらく同じくらいだ。

ペンオモファンの私としては悲しいことこの上ないのであるが、しかし、表ソフトを使用しているシェーク選手というのはけっこういる。
いわゆる異質型という戦型であるが、この場合たいていはバック面に表ソフトを貼っているというパターンが主流であるが、まれにフォア面に貼っている選手というのもいる。

フォアが表である場合、「バック面が表」よりはペンオモに近い戦型なので、表ソフトファンとしては見ていて非常に面白い。

もっとこの戦型の選手が現れてほしいと思うのだが、フォア表のスタイルで果たして全国レベルで通用するのだろうかという疑問・不安もあるかと思う。

その気持ちもわかります。
しかしですよ奥さん、そんな懸念材料を吹っ飛ばしてくれる選手が現れたのですよ。

今年の全中の女子シングルスを制した、 塩見真希選手(四天王寺羽曳丘)である。

少し前にもフォア表の世界的な選手はいたけど、日本の若い選手から現れたのが嬉しいではありませんか。

 

塩見選手は「バック面が裏ソフトでフォア面が表ソフト」という戦型で、「多彩でミスの少ないバックハンドからチャンスをつくりだし、表ソフトラバーでのフォアハンドスマッシュで確実に仕留めるプレー」が持ち味の選手。

元々は両面裏ソフトを使用していたらしいが、中学1年生時(13年)の11月に、フォアを表ソフトに変えたという(翌年カデットで優勝)。

そのきっかけは、プレーに特徴がないという理由で、監督やコーチから、
「フォア表のスタイルにチャレンジしてみてはどうか」とアドバイスされたから。

最初のうちはテンション系表ソフトの『ブースターSA』を使っていたそうだが、慣れてきてからは、より表ソフトらしい回転の変化が出る『スペクトル』に変えたという。

まさかのスペクトル!
私が現役時代に使っていたラバーである。個人的にとっても嬉しい。

回転系表ソフトではなくスピード系でナックルの出やすいスペクトルを選択したところに、打って打って打ちまくってやるという意思が感じられますな。

 変えてからしばらくは、表ソフトでの打球の感覚に慣れるために、フォアハンドの基本練習を多くやりました。フォアとミドルに1本ずつ交互に送ってもらい、相手のフォアに打つ練習や、同様にバックとミドル1本ずつ交互に送ってもらい、相手のバックに打つ練習などです。
 多球練習では、フォアサイドにドライブを出してもらって、フォアハンドのミート打ちで叩く練習も多くやりました。「フォア半面は叩く」というのを基本にしていて、その練習は今でも多くやっています。
 また、サービスからの展開の練習はよくやっています。横回転サービス(右横回転系)を出したら、3球目はフォアハンドメインでボールの内側をとらえるイメージで打球、逆横回転サービス(左横回転系)を出したら、3球目はバックハンドでボールの内側をとらえるイメージを心がけています。
(卓球王国2015年11月号「王国タイムアウト」より)


やはりフォアハンドは「徹底的に叩く」という意識を持っている塩見選手だが、ミート打ちだけではなく、フォアハンドドライブも工夫をしているという。

表ソフトのドライブは普通に打っていると簡単にカウンターされてしまうので、相手に待たれないように、ドライブの球質に変化をつけるようにしているのだとか。

今はこうした技術に磨きをかけている真っ最中であるが、このプレースタイルが完成に近づいた時、どのような選手になっているか非常に楽しみである。

最後に、ここ最近の世界的なフォア面表ソフトの選手をご紹介する。

シンガポールの李佳薇(リ・ジャウェイ)選手である。

アテネ五輪と北京五輪でシングルス4位のツワモノであるが、フォアハンドのミート打ちがえげつないのよ。
バックハンドは裏ソフトでドライブかけているので、表ソフトの球との変化の差が激しくて相手選手(石川佳純)はとてもやりづらそうである。

「フォア表ソフト」という戦型は可能性がまだまだありますな。

そこのあなたも、試しに表ソフトに変えてみてはいかが?

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卓球レポートを読む 2015年10月号

 

26 件のコメント

  • シェーク裏ソフトが主流の今、表ソフトの可能性は「いやらしく」「やりにくく」「速い」と言う点だと思います。私自身が中ペン表だったので、指導する生徒、選手も表率が非常に高くなっています。
    好成績を残した私の生徒にフォア、スポンジの無い一枚ラバー(ヤサカ、コバルト)で全日本学生と全日本選手権男子ダブルスで準優勝までいきました。全中もダブルス優勝しています。(パートナーは水谷くんでしたが…笑) 表には可能性が有ります。
    今だからこそ、表ソフト選手には頑張ってもらいたいですね!

  • カントクさん
    「いやらしさ」と「やりにくさ」と「速さ」。まさにこの三拍子は表の真骨頂ですね!
    これから表ソフトが輝く時代になると期待しています。
    ていうか、カントクさん、めちゃくちゃ凄い指導者さんなんですねっ。
    これからもどんどん表選手を増やしてくださいませ(笑)

  • はじめまして。塩見選手と同じく今、中1の娘がフォア裏でバック面が表ソフトを使っていますが、コーチからバック面の角度がうまく出ないと言われて、フォア表でバック面が裏ソフトがどうかとアドバイスされ、悩んでいたところこのサイトに来ました。レベル的には一応全国大会にも出場しましたが、最近フォア面が入らないです。もともとドライブはできなくミート打ちです。良かったらアドバイスをお願いします。

  • たけちゃんさん
    ドライブができなくてミート打ちがメインであれば、フォアを表にするのはありだと思います。
    フォアを表にするなら、よりしっかりとしたフォアハンドドライブが打てないとダメですし、バックハンドドライブも身に付けなければいけないでしょう。
    それが厳しいのであれば今の戦型のままでもいいと思います。
    結局は本人が「どちらが使いやすいか」ということに尽きると思います。
    美誠ちゃんはフォア裏ですけどバンバンミート打ちしますしね。
    裏の方が使いやすいのであれば裏でのミート打ちを練習すればいいのではないかと思います。

  • 今はフォア表、バック裏で少しずつですが練習しています。塩見選手と同じくブースターSAをバックで使っているのですごく運命と感じています。理想は練習量を2倍にして両方使えるようになればいいんですが、今はどちらが使いやすいか、試してみます。

  • 最近、フォア表を始めました。
    S右表裏なんですが、フォア表は周りの人もやり難いみたいで(笑)
    バックには柔らかいミズノGF T40 を使っていますが、今度半粒か粒高にしようかと検討中です。

    今は表面が硬めのラケットを使っているのでフォア表はナックルが出やすく良いのですが、コントロール性を上げたくて柔らかいラケットを検討中です。

    • でこさん
      コメントありがとうございます!
      そしてフォア表デビューおめでとうございます。
      フォア表というだけで相手にはちょっとしたプレッシャーをかけられるというのは大きな利点ですね。
      バックを半粒か粒高にすることを検討中とのこと、面白いですねぇ。
      ぜひ挑戦してもらいたいです(できれば取材したい笑)。
      フォア表の道はなかなか大変な歩みかもしれませんが、ぜひぜひ頑張ってください!

  • 今まではFミズノGF T40 厚、Bスペクトルレッド厚だったのを逆に持ってフォア表で練習してきました。
    2,3ヶ月練習して慣れてきたので、昨日ラケットを新調しました!

    バタフライのSKカーボンにFスピンピップスブルー中、Bアタック8極薄にとりあえず。
    スピピブルーは楽にドライブが掛かりますが、スペクトルよりは相手も楽そうです(笑)

    しばらく様子を見てスペクトルブルー等の表らしい球が出やすいものに換えると思います。
    バックは初変化系ですが、相手も嫌がりますがこちらのコントロールが難しいですね(汗)
    スピピブルーを換えるとサーブに悩みそうなので、その時にはB面は裏ソフトに戻すかもです。

    ちなみにSKカーボンは3枚板なのでアウターカーボンになりますが、板が薄いので柔らかく感じます。

    • でこさん
      ラケットの新調おめでとうございますっ。
      Fスピンピップスブルー中とBアタック8極薄とは素晴らしい組み合わせですねぇ。
      変化系は私も使ってみたいと考えてますが、やはり自分のコントロールも難しいんですね。
      使いこなせたらかなりクセ者な戦型になるので挑戦したいとは思いますがw
      ラケット次第でも特徴が変わってくるのでいろいろと悩みどころではありますが、そこがまた卓球の魅力ですよね。
      私ももう1本ラケット欲しいです 笑

      • B面はやはり安定が必要ですね。愛ちゃんはアタック8を使いこなして、すごいと実感しました(笑)
        安定のためにB面にスピピブルーを回して、スペクトルブルー厚をF面に貼ろうかな?
        新しいラケットに貼っているスピピブルーをバックに使う際にはみなさんはB面に張り替えますか?それともF面に貼ったままでラケット反転でB面として使いますか?

        • でこさん
          愛ちゃんはアタック8のプロですからねw

          私はペンなので考えたことがないのですが、グリップの感覚が変わりそうなので張り替えると思います。

          • 私には、まだまだアタック8を攻撃用としてコントロールしながら攻める技術は無さそうです(笑)
            ニューラケットのB面にスピピブルー中を回して、F面には前から使っているスペクトルレッド厚か新しくスピード系の表ソフトを採用しようかなと考えています。
            スペクトルレッドは威力も軽打時の安定などが魅力です。
            スペクトルブルーは硬く感じるのでコントロールに不安が残ります。その代わりナックルは出やすいかな…
            新しく表ソフトに入り込んできたヴェガも気になります。
            試合が近いので慣れたスペクトルレッドが有力かな?
            表表で考えるとスペクトルとスピピって面白いと思うんですがね(笑)

  • 塩見選手はフォアがビユートリーになったようですね。
    自分は今も迷走中です(笑)

    エースラケットはF面スペクトルレッド、B面ミズノGF T40
    新しく用意したラケットは、現在はF面ヴェガSPO、B面GF PROですが、F面をまたスピピ ブルーに戻してB面を柔らかめの裏で検討中です。
    以前、表表を挑戦しましたが、自分の引き出しの無さが露呈しただけで(笑)

    • でこさん
      お、ビュートリーになったんですかっ。
      以前ブログでも取り上げて興味あるラバーですが、そこまで手が回りません・・・。
      ヴェガSPOはかなり興味があり早く試したいと思っています(と言いつつまだまだ先になりそうですが)。

      表表は難しいですよね。それゆえにカッコ良さも際立ちます。
      トップ選手に現れれば子供たちもやりたがるかもしれませんね(祈)。

      • スピンとナックルのバランスが難しいです。
        ナックル出やすいラバーだと、スピン掛けたい時に滑る事があります。
        かといって、スピン重視の表だとスピンの影響も受け安いし、なによりやらしい球が出難いので表ソフトの有効性が損なわれますよね。
        今裏に貰い物のミズノGF-PROを貼っていますがスピンが凄く掛かるので、F表のギャップで結構有効です。
        ただB面には硬過ぎなので、迷っています。
        F面はスピピブルーが自分には一番合ってそうです。
        スピンが掛るのに、ナックルも出しやすいです!

        • でこさん
          スピンを取るか表らしさを取るか、迷うところですよね。
          スピンがかかるのにナックルも出やすいラバーはあるいみ最強の表かもしれません。
          いやらしさで言えばスペクトルブルーは相当なものです 笑
          私的にはかなり弾んでスピンもかなりかかるという表が理想かもしれませんw

  • 新調したSKカーボンがメインになってきています。
    しかも一旦初心に戻るため、両裏に戻しました!
    表ソフトから離れ、しかもテンションではなく高弾性です(笑)
    旧ラケットは未だにフォア表スペクトルレッド、バック裏ですが。

    世界選手権レベルでは粘着、というかキョウヒョウを貼ってる選手が増えました?
    石川さんや塩見さんのバックなどなど…情報が出てますね。
    中国に対抗するために回転を意識しているようですね。
    そんな流れに逆らうのも面白いかなと思いません?
    レシーブも回転の影響を受けにくいですし、ツッツキに対して角度を合わせてカウンターも決まれば、してやったりとニヤリ(笑)
    メインを裏裏にしたこともあり、余計に表ソフトは表で面白いと思います。

    • でこさん
      両裏に戻したんですね。
      しかも高弾性とはかなり初心に戻りましたね(笑)

      塩見選手も粘着にしたとはちょっと驚きです。
      表と粘着の組み合わせはかなりくせ者感が強い戦型でいいですね。
      日本人選手が中国に勝つための光明は表ソフトにあるのかもしれませんね!

      • 下がらないプレイに徹する時は旧ラケットのF表B裏で行ってますよ(笑)
        最近プレイとしては前衛だけでなく下がって打つ事も多くて、その時は威力が欲しいので、カーボンラケットに特厚でないとという事で使い分けています。

        • でこさん
          なるほどそうなんですね。
          私もカーボンラケットに特厚という組み合わせが最も好きです。
          飛びすぎるとブロックがやりにくくなるので注意が必要ですが 笑

          • 中学時代は前衛速攻だったので、中や薄を使っていましたが、付き合いでPTAのラージをすることになった際に特厚じゃないとラージは飛ばないと言われ、特厚+カーボンにしてからハマりました(笑)
            今回、子供のラバーを高弾性に戻させる事にした際に不公平と言われたので、新しい方を高弾性の特厚にしました!
            旧ラケはスペクトルレッドの特厚でしたが(笑)
            前衛でも、ラバーによっては特厚が良いですよ!

          • でこさん
            ラージがきっかけだったんですね。
            スペクトルブルーなら弾みが弱いので特厚でもしっくりきます。
            私も前陣ですが、とにかく弾みを求めるタイプなので、もっと弾むラバーに変えようと考えています 笑

  • 今さらながら、フォア表のサブラケットも復活しています!
    ただスペクトルレッド特厚だと威力はあるのですが、何かインパクトがボケた感があるので、スペクトルブルー中に替えようかと思っています。
    サブラケットを前陣専用にするつもりなので、それなら中辺りがナックルも出しやすく良いように思います。
    バックは最近お気に入りのミズノQ3かな…

    • でこさん
      レッドの特厚からブルーの中への変更とは思い切りますね 笑
      ブルーの中だとあまり弾まないのでコントロールはかなり良さそうなイメージです。
      特にブロックは鉄壁となり、レシーブもやりやすくなるのではないでしょうか。
      ミズノQ3は話題ですよね。非常に気になりますね。
      私のスペクトルブルーは寿命を迎え、もっぱら裏面のレガリスレッド(中)をフォアで使っています(苦笑)。

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