郭躍華(カクヤクカ)の試合を初めてガッツリと観ました。
郭躍華は77年(バーミンガム)、79年(平壌)、81年(ノヴィ・サド)、83年(東京)と、4大会連続で世界選手権の決勝に進出した卓球界の超人です。
まずは、79年の平壌大会、小野誠治VS郭躍華の試合から。
前回大会は日本の河野満選手に敗れたが、この時は世界ナンバーワンと言われていた郭躍華と、3人の中国選手を破るという快進撃で決勝まで進出した22歳の小野誠治選手の戦い。
前回大会は日本の河野満選手に敗れたが、この時は世界ナンバーワンと言われていた郭躍華と、3人の中国選手を破るという快進撃で決勝まで進出した22歳の小野誠治選手の戦い。
この試合は郭躍華が第3ゲームの終盤で肉離れを起こし、ドクターに治療を行ってもらいながら続けたが続行不可能となり、第4ゲームが始まってすぐに棄権して小野選手が優勝したという、卓球界に語り継がれる有名な試合である。
まず目につくのが、郭躍華のガッチリとした肉体である。
ユニフォームの上からでもわかるくらい筋肉が盛り上がっているが、日頃の鍛錬の厳しさがうかがえる、ホレボレする肉体美である。
小野選手と比べると
この肉体から繰り出される強烈なフォアハンド、そして強靭なフットワークが郭躍華の魅力。
所狭しとコートの中を動きまくって、フォハハンドでガンガン攻撃していく。
そしてサービスの巧みさも特筆すべきポイントである。
切れ味鋭いサービスで相手を翻弄し、その中に時おりまぜてくる投げ上げサービスが抜群の効果を発揮する。
とまあ、注目ポイントが盛りだくさんの郭躍華なんですが、この試合に関しては小野選手の絶好調ぶりが凄いんですよね。
キレキレのバックハンドサービスからの三球目攻撃、鉄壁のブロック、ショートで振り回してからのスマッシュ。
スマッシュを多用する小野選手だが、ドライブの引き合いになっても負けてはいない。
1ゲーム目のジュースになってからのドライブの引き合いは凄いの一言(13:00あたり)。
小野選手は、郭躍華のフォアへあえてツッツキを送って打たせている。
フォアドライブの餌食になってしまいそうな気がするが、郭躍華はそのボールをクロスへしか打たないので、それを小野選手が待ってましたと狙う(ショートで振り回す)。
小野選手は試合前に、戦術などを書いていると思われるノートを確認しているが、ノートには「フォアへツッツキを送るとクロスに返ってくる」ということが書かれていたのではないだろうか。
今年の世界選手権でも、福原愛選手や伊藤美誠選手がノートをチェックする姿が映っていたが、こうした準備の大切さというのも学ぶべきポイントであると思う。
今年の世界選手権でも、福原愛選手や伊藤美誠選手がノートをチェックする姿が映っていたが、こうした準備の大切さというのも学ぶべきポイントであると思う。
この試合は、郭躍華のテクニック以外にも、小野選手の「戦術」「攻略法」といったところにも注目して観ることをおすすめしたい。
続いてはこちらの試合。
83年・東京大会、郭躍華VS蔡振華
前回のノヴィ・サド大会の決勝戦と同じ顔合わせ。
28歳の郭躍華と21歳の蔡振華の対決であるが、郭躍華は王者の風格が漂ってますね。
なかなかの男前ですし(真田広之に似てると感じるのは私だけだろうか)。
相変わらずガッチリとした肉体を誇る郭躍華であるが、解説の荻村さんによると、50キロから55キロくらいのバーベルを背負って「うさぎ跳び」をしょっちゅうやっているとのこと。
ここだけは良い子のみんなはマネしちゃいけません。
ヒザがぶっ壊れます。
この試合は、成長著しい蔡振華が有利とみる声もあるようだが、そうは問屋が卸さない。
落ち着いた淡々とした王者の卓球で、3-1で蔡振華をねじ伏せる。
ポーカーフェイスで圧倒的なスピードで動きまくる郭躍華のカッコよさ。
流れるような動きで回り込みながらドライブを放つ様は芸術的ですらある。
郭躍華の卓球は、フィジカルとテクニックの両方を兼ね備えた、現在の中国選手のような完成度の高いスタイルである。
このプレースタイルは、許昕や馬琳に受け継がれている気がする(独特の打ち方もちょっと似てますしね)。
近代中国ペンドラの源流とでも言うべき郭躍華の卓球は、中級レベルの選手にも参考になる部分がたくさんあるのではないかと思う。
168cmと決して大きくはないが、フィジカルを鍛えることによって強靭なパワー卓球を可能にしている郭躍華。
現在の日本選手と中国選手の差は「フィジカルの差」という部分がかなり大きいと思うが、小柄な郭躍華のパワー卓球は、これからの日本選手の進むべき道の大きなヒントになるのではないかと思えてならない。
というわけで、以上が私なりの感想であるが、もっと観たいですねえ、郭躍華の卓球。
DVD出ないかなあ。
出ないだろうなあ……。
懐かしいですね。
高校生の時自分の住んでいるところの体育館に郭躍華さん来ました。
あのフォアハンドドライブ生で観れた事は今でも自分の心の宝物です。
雅行さん
なま郭躍華を観たんですか!
羨ましすぎるじゃないですか!
私も江加良が観たいです。