世の中には「アドバイス論」というのはけっこうあって、どのようにアドバイスをすれば良いかという情報はいろいろと出回っているけれども、アドバイスをもらう側のテクニックというのはあまりないように思う。
私のやっている仕事の中に「ネタ見せ」というものがあるんだけれど、これは芸人さんのネタを見て、あーだこーだそーだとアドバイスをするという仕事で、私はこれを毎週、10年以上続けているのでアドバイスをするということに関してはいろいろとテクニックを持っているんだけれど、長く続けていると「聞く側のテクニック」というものも見えてくる。
この仕事をやっていて最も困るのは芸人さんのリアクションが薄いときである。
こちらがいろいろと喋っても「はい」と薄く相づちを打つだけ、いわゆる「打っても響かない」というやつで、この一方通行状態は実によろしくない。
逆に良いケースというのは「打てば響く」芸人さんで、こちらが何か言うと、それに対して自分の意見を言ったり、悩んでいる箇所について相談したり、元気な相づちを打ったりするというタイプ。
中にはネタをやり終わったあと、こちらが口を開く前にすぐ喋り始める芸人なんてのもいるんだけれど、これぐらい前のめりな姿勢は実に素晴らしい。
これはただ単に「話しやすい雰囲気になるから仕事がやりやすい」という単純なことではなく、芸人側からすると「より良いアドバイスを引き出せる」というメリットがあるのである。
実に不思議なんだけれど、聞く側のリアクションが良いと、アドバイスをしている側の気持ちも乗ってきて、よりインスピレーションが働いて良いアドバイスが出やすくなるのである。
私は卓球の指導者としての経験はないんだけれど、卓球の場合もこれと同じようなことはあるんじゃないかと思っている。
卓球の場合、アドバイスを受けている人を見ているとリアクションが良い人というのはあまりいないように思うんだけれど、これはかなり損をしているんじゃなかろうか。
ただ普通に相づちを打っているだけでなく、思っていること、思いついたことを口にしたほうがお互いの思考がぶつかりあって新しいアイデアが生まれたり、指導者の気持ちを乗せることでより良いアドバイスを引き出したりといったことができるのではないだろうか、なんて思うのである。
思っていることを喋ると言っても「こないだコジマ電気で店員と間違えられたんです」とか「あ、セミの声が聞こえる。今年も夏が来ましたね」など、卓球とまったく関係のないことを言うのはよろしくない、というのは当たり前だけれど、指導者が喋っている内容に関することなら何でもいいから思っていることをバンバン言っていくのがお互いにとって良い状態になることは間違いなかろう。
ちなみに私は卓球教室に行ってアドバイスを受ける側になったときは本職でのこうした経験を活かして、できるだけ良いリアクションを取るように心がけているんだけれど、やはりコーチからの良いアドバイスが引き出しやすくなっているなあと実際に感じる。「やや大袈裟に相づちを打つ」というだけでも効果があるのでおすすめしたい。
さて、卓球に関するアドバイスというと、国際大会なんかで各国の選手の様子が実に興味深い。
というのも、日本人選手はベンチコーチのアドバイスをしっかり頷きながら、時には自分の意見を挟んだりしながらきちんと話を聞いている選手が多いんだけれど、他の国の選手はコーチの話に頷くこともなく、まったく話を聞いていないのではないかという感じの選手が多い。
中にはコーチが必死に喋っているにもかかわらずチョロチョロと動き回りながら「聞く気ゼロ」みたいな選手もいる。
実際にはちゃんと聞いているのかもしれないが、あんな態度を取っている選手にアドバイスをしなければいけないというのも実に大変だなあと、いつも外国のコーチたちを見ていて思う私である。
最近、買い物客が「店員からの声かけは不要です」の意思を示すショッピングバッグを導入したお店が話題になっていたけれども、いっそのこと卓球でも、タイムアウト時に「アドバイス不要」「戦術面のアドバイス希望」「精神面のアドバイス希望」などの意思を示す札かなんかを選手が選べるようにすれば良いのではないかしら。
と、そんなことはどうでもいいんだけれど、アドバイスを受ける者は「打てば響く」つう姿勢でいることが良いアドバイスを引き出して結局自分のためになるのでよいと思うよ、ということが言いたいのでありますの。
アドバイスされる側の姿勢。確かに大事ですよね。
基本は素直に話しを聞くことだと思いますが、場面によっては我を通させてもらう場合も。
ある試合のゲーム間に「もっとショートを使って。そんなに回り込みを使わなくてもいい」と言われたことがあるのですが、以降のゲームも回り込めるボールに対しては積極的に回り込んで行きました。
理由は足が動いていたこと。
自分の場合、足が動いている時にショートに頼り過ぎると足が止まってしまうこと。自分の感覚ではショートとフォアハンドのバランスは良かったこと等から「ありがとう。でも今日はカロリー消費を目標にしてますから(笑)」と自分の判断を優先しました。
判断は間違っていなかったと思いますが、詳細を説明する時間が無かったとは言え「カロリー消費が目標」という説明はいかがなものだったのかと思います(笑)。
逆に自分が「もっと足を使って」とアドバイスした時に「今日は省エネが目標」と言われるかも知れませんね(笑)。
てぐすさん
「カロリー消費が目標」これは最高の切り返しですね!
足が動いて回り込める・動けるという状態なら積極的に回り込んでいったほうがいいですもんね。
間違っていない理由だと思います。
しかもちゃんと「ありがとう」ってつけてから反論してるところに相手への気遣いが感じられます 笑
時に我を通すのはほんと大事ですよね。
やっぱりああすれば良かったと後で後悔するのが一番よろしくないですからね。
でも選手から「省エネが目標」なんて切り返されるのは確かにイヤですねえ。
「今の時代はコスパが大事ですから」とか言われたら「このゆとり世代が!」と吐き捨ててベンチコーチを放棄して帰っちゃいますよ(笑)。
クラブでコーチに近い役割をしてる訳なんですが、学生とか学生あがりの人は教えにくいなと思います。
自分なんかはもうおっさんですから強くしてくれるなら小学生にもアドバイスをもらいたいと思っていますが、やっぱり大学生とかはなかなか人の意見は聞けないものなんだなと思います。
おじさんおばさんなら割と素直に聞いてくれるんですけど。
教わる側も教わる姿勢があるなと最近思います。
まあ自分は適当な人なので聞いてくれないなら放ったらかしですが。
自分のコーチなんかは辛抱強く教えてるものだなと感心します。
つぐさん
おぉ、コーチ的な役割をされているのですか。
確かに学生時代にゴリゴリやっていた人はあまり他人のアドバイスを聞きたがらないかもしれませんね。
レディースの方は素直な人が多いイメージはあります。教える側も楽しくやれそうですね。
自分がもし教えるのであれば、純粋でやる気のある小学生か中学生がいいですね。
その年代の子供は教えがいもあるし、大会も楽しいもの(カデット・ホープス・全中など)が多いですから。
時間があればコーチ業のまねごともやってみたいなあなんてたまに妄想することがありますw
アドバイスは難しいですね。高校のころOBの方に中ペンのグリップで裏側は伸ばすか丸めるか相談したらある先輩は伸ばこと、ある先輩は丸めることを勧められました。
私はフォアハンドは伸ばし、ショートやツッツキなどは丸めてグリップを使いわけるようになりました。当時はあまり主流ではありませんでしたが、自分にあった方法が一番ですね。
また公立校だったので定期的に数校集まって団体戦を行っていましたが、私はレギュラーではなかったので、OBの先輩に対戦相手の団体メンバーの戦形や特徴の調査を命じられました。
今でいうスカウティングですね。先輩方はなかなか私のアドバイスを聞いてもらえませんでしたが、同期のレギュラーが私のアドバイスで勝利したら聞いてもらえるようになりました。やはり実績が必要なのでしょうね。
後日OBの先輩におまえは卓球は下手だけど相手の癖や特徴をよく見ていて、攻略法を立てるのが非常にうまいと貶されているのか褒められている微妙なコメントをいただきました。
そのOBの先輩いわく上手なやつが的確なアドバイスができるとは限らないけど、下手なやつは卓球をよく勉強しているやつが多いのでアドバイスが具体的で的確だとのことでした。
アドバイスは奥が深いですね。
青いスペクトルさん
アドバイス経験があるといかにそれが難しいかしみじみわかりますよねぇ。
別々の人に違う意見を言われると選択に迷いますし。
まさに意見を聞いたうえで自分の「直感」を信じるのが一番ですね。
それにしてもフォアは伸ばしてショートとツッツキは丸めるとは器用ですねぇ 笑
私も指は迷いましたが、使い分けは絶対に無理です・・汗
スカウティング業務は大変そうですね。
せっかく偵察して報告してもぜんぜん聞いてもらえなかったらショックでしょうし・・。
逆にそれで勝ったときにはスカウティング冥利につきるというものですね。
まさに「実績が必要」というのは私の仕事でも同じなので実に納得です。
結果が出ると途端に態度が変わる人がいますからね 笑
「下手なやつは卓球をよく勉強しているやつが多いのでアドバイスが具体的で的確」というのはなるほどなあと感心しました。
部内にそういうのが1人はいますよね。
縁の下の力持ちとしてこれほどありがたい存在はいないですよね。
いやあ、ほんとに「アドバイス道」は奥が深いですねぇ。