「卓球試打雑誌」という妄想

ファッション雑誌に登場するモデルというものは、基本的にスタイル抜群の美男美女である。

前から思っていたんだけれど、ビジュアルスペックの飛び抜けている人たちのコーディネートを見たとして、果たして一般的なビジュアルピーポーにとってどれほど参考になるのだろうかと。

「この服かわいい（かっこいい）」と思って買ってみたはいいものの、実際に着てみると「まったくイメージと違うではないか」とうちひしがれる人も多いのではなかろうか。

ラケットやラバーの試し打ちをして、その使用感を述べる、いわゆる卓球の「試打」であるが、これも日頃卓球雑誌や動画でよく目にするのは、基本的には上級者の試打である。

これはこれでもちろんとても参考になるし、有意義なことではあるが、より多くの人の参考になるような、理想的な試打というものを、ここでひとつ妄想してみたいと思う。
で、私が提案するのは、幅広いレベルの選手の試打を参考にできる「試打雑誌」の創刊である。

ファッション業界で言うところの「読者モデル」に近い感じなんだけれど、例えば、「県のトップレベルの小学生」「卓球を始めたばかりの中学生」「ママ・主婦選手」「メタボなおじさん選手」など、トッププレーヤーではない選手が試打をして、その感想を語っている雑誌というわけだ。

卓球を始めたばかりの中学生が、トッププレイヤーの「ボールをしっかりと掴んでくれる」「カウンターがやりやすい」という意見を読んでも、そもそも持っている技術力が違い過ぎてイメージがつかみにくい。

しかし、自分と同じように卓球を始めたばかりの中学生の意見であれば、より具体的にイメージしやすいのではないだろうか。

私たちの目に触れる試打の情報は、男子選手が行っているものが多いと思うが、女子選手はやはり女子選手の使用感の方が具体的なイメージはつかみやすいはずで、女子選手専用の試打雑誌があれば、なかなか重宝されるのではないかと思う。

つまり欲を言えば、ファッション雑誌のように細かくジャンル分けされているのが理想だってこと。
ティーン、ガールズ、メンズ、ギャル系、ストリート系、セレブ系、とかあるでしょ。

試打雑誌の場合も、
小・中学生、高校生、レディース、表ソフト系、カットマン系、粒高系、てな具合に細分化できたらいいんだけどね。

粒高女子の試打雑誌「ツブレモン」とか、１０代のカットマン専用試打雑誌「カットティーン」とか。

「小悪魔バタフライ」とかもいいよね

そうなると、選手としての実績は大したことがないけれど、試打業界で絶大な人気を誇る「カリスマ試打選手」なんていうのも現れるだろう。
当然スカウトマンも登場し、あちこちの試合会場に現れては「うちの専属試打選手にならないかい」なんて声をかける。

各試打雑誌の競争は激化し、試打選手という職業が独り歩きし、ついにはひとつの人気職業となってしまうかもしれんね。

ワインのソムリエのように、世界的なコンクールが開かれるまでになったりして。
つまりこんな感じになる↓

世界試打コンクールにて、日本代表試打選手のＡが、とあるラバーの試打をして、感想を述べる。

「月明かりに照らされた大輪のユリの花のようなブルースポンジの気泡が、深緑の森を飛び回るミツバチのような粒形状とともに可憐なグリップ力を運んで来ます。そして濡れそぼった子犬が秋の海辺を歩いているようなさわやかな粘着性が、調和のとれたエレガントな摩擦力を生み出しています」

うーん、うっとうしいね。

ということで、とにかく言いたかったのは、いろんなレベルの選手がより参考にしやすいように試打雑誌ができれば楽しいよねっていう、ただそれだけなんですよ、はい。

で、そんな面倒くさいことをどこの誰がやってくれるのかということであるが、おそらく誰もやってくれないだろう。

私がクラウドファンディングで資金を調達してやってみるという手もあるが、私が作るとどうしても「メンズペンオモ」みたいなマニアックなやつになっちゃうだろうから、それもどうかと思うんだよねぇ、やっぱり……。