卓球レポートを読む 2017年11月号

 

卓レポが休刊するという。
このニュースを目にしたときはさすがに我が目を疑った。
私の卓球人生の中で一番の衝撃である。
本当に悲しくて仕方がない。
卓球人気が高まっているこのタイミングでの休刊ということに、抗いがたい時代の趨勢を感じる。
寂しさ悲しさいっぱいであるが、最終号となる2018年4月号まで、1ページ1ページ噛みしめながら読ませていただこうと思う。

 

中国最強を決める戦い

今月号の目玉企画はコチラ。

中国運動大会
4年に1度の中華最強を決める戦い

「中国のオリンピック」とも呼ばれる中国運動大会は、世界選手権を上回るとも言われる由緒あるスーパービッグな大会。

中国代表が国際大会で見せるのとは異なる「本当の中国選手の顔」が垣間見れるという超真剣勝負の模様を振り返りながら、世界最強をも越える中国最強の真実に迫る、という企画である。

大会の振り返り記事の後には、中国運動大会で活躍した、次世代を担う2人の若手選手の技術を紹介している。

1人は男子シングルスで3位に入った17歳の王楚欽、もう1人は、今大会で最も輝きを放っていたという女子シングルス4位の王芸迪
ここでは内容の引用はしないが、若手注目株選手の技術に触れることで、何かしらのヒントを得られるかもしれない。

それにしても、はっきり言ってレベル的にはオリンピックよりも世界選手権よりも上であろう中国運動大会の緊張感たるや想像を絶するものがあるんだろうと思う。
モンスター大会でのモンスター同士のガチンコのぶつかり合いを、一度でいいから生で観戦してみたいものである。

 

チキータ徹底解説

そしてもう1つの注目企画がコチラ

世界の技から学ぶ!
チキータ

この企画は、世界卓球2017デュッセルドルフで撮影した連続写真の中から、トップ選手たちがチキータしているシーンを厳選し、そのポイントに迫るという内容である。
登場するのは、張継科、樊振東、張本智和の3選手。

これだけ聞くと、よくありそうな内容に思えるかもしれないが、ところがどっこい、それはもうあらゆる角度からチキータを徹底的に解説した濃厚な企画となっているのである。

【内容】
チキータの歴史と特徴
チキータするときの準備
フォア前に来たサービスをチキータするときの準備
チキータのバックスイング
安定性重視でチキータするときのスイング
威力重視でチキータするときのスイング
チキータのフォロースルー
チキータした後の戻り
チキータの一連の動き
ロングサービスで不意を突かれたときの対応
台上争いからのチキータ

ここでは「チキータのフォロースルー」を抜粋したい。

前傾姿勢を保ってラケットをしっかり振り切る
チキータを成功させるためには、「フォロースルーまで前傾姿勢をしっかり保つ」ことも重要なポイントだ。
チキータが安定しない選手は、早く戻ろうとする意識が働いて、打球してすぐに上体が起き上がりがちだが、それではチキータのスイングが不安定になる上に、戻りの動作も遅くなってしまう。
チキータするときは、打ち終わりまで前傾姿勢をキープすることを意識してスイングしよう。そうすると、スイングのスピードや安定性が高まるので、質の高いチキータを送ることができる。加えて、フォロースルーまで前傾姿勢を保ってラケットをしっかり振り切ると、その反動で次への戻りをスムーズに行うことができる。

「打ち終わりまで前傾姿勢を保つ」というのは、意外にできていない人が多いのではないだろうか。

私もたまにチキータ(もどき)をするが、次の攻撃のことを意識するあまり、上体が起き上がり気味になってしまい、十分な威力のチキータが打てていないように思う。

表面でのバックハンドを打つときもこのポイントは当てはまると思うので、これからは「上体の角度」にも気をつけて練習しなければと思った。

今月号は、「吉村真晴の攻撃卓球」、そして「戦型別ステップアップレッスン」のシェーク攻撃型でもチキータがテーマとなっていて、まさに歌川国芳の「金魚づくし」もびっくりの「チキータづくし」な内容となっている。

チキータにまみれたい人は必読である。

 

スピードドライブに対するカウンター

そしてもう1つ取り上げたいのがコチラの企画である。

邱建新の卓球論 Vol.11
スピードドライブに対するカウンターはラケットをしっかり振り切って威力を出す

当ブログでは何度か取り上げているコーナーではあるが、やっぱり内容的に素晴らしいので、またまた取り上げざるを得ないといったところ。

今回、邱さんが解説するのは「スピードが速いドライブ(スピードドライブ)に対してカウンタードライブするときのポイント」である。

邱さんは最初に、全国レベルの選手と対戦するときに必要なのは「スピードドライブが来たらブロックではなく、カウンターを第一に考える」という意識を持つことだと説いている。
高いレベルで勝ち抜くには、ブロックだけしかできないと、相手に容易に連続攻撃を許してしまうことになるからである。

その前提を踏まえて、スピードドライブに対するカウンタードライブするときのポイントを、樊振東のプレーを例に挙げてこう解説する。

時間がない中でもラケットを振り切って自分から威力を出す
(前略)
樊振東のプレーで参考にしてほしいのが、「ラケットをしっかり振り切っている」点です(写真3~5)。スピードドライブは球質が重いことが多いため、スイングが小さいと球威に押されてしまいます。小さい振りのカウンタードライブでは威力が出ず、仮にコートに入ったとしても相手に再び攻撃されてしまうでしょう。
プラスチックボールに変わる以前は、ボールに合わせるような小さい振りでカウンタードライブしても、相手のボールの勢いを借りることができたので、球威を出すことができました。しかし、プラボールに変わってボールが若干重くなったことにより、小さな振りではスピードドライブの球威に押される上に、相手のボールの勢いを利用しにくくなりました。
したがって、プラボール時代でスピードドライブに対するカウンタードライブを決めるためには、樊振東のようにラケットをしっかり振り切り、スピードドライブの勢いを借りるのではなく、自分の力で威力を出すことが重要になるのです。
(後略)

 

 

これは何も「フルスイングで打つ」とか「大振りする」いうことではなく、「しっかり振り切る」ということがミソなのだろう。
そこを勘違いして思いっきり振り回したりしないように気をつけなければいかんですな。

邱さんは、もう1つのポイントとして「腰を落としながらスイングする」ことも挙げているが、スピードドライブをカウンタードライブで返すというのは恐ろしく難しい技術である。

しかし今の時代、これができなければ全国レベルで勝つことは難しいのであろうから、高い目標を持って練習に励んでいる人たちには必須な技術、ということですわね。

 

んなわけで、以上、11月号でした。

 

8 件のコメント

  • 卓球レポートの休刊寂しいです
    何十年も続いてきたものがなくなるって
    ちょっと信じられない部分があります
    休刊の方が衝撃的すぎて内容に触れる精神的な余裕がありません

    • しんこうしんこうさん
      やはりそうですかぁ。
      卓球人なら誰もが一度はお世話になる紙の先生ですからね。その先生が定年を迎えたといったところでしょうか。
      あまりに寂しいですが、他のツールでの発信を考えてるようなので、そちらに期待したいところですね。

    • ラケットマンさん
      60年以上続いた重みは大きいですよね。
      その恩恵を受けられただけでも卓球人として幸せを感じますw

  • 指導者のいない環境でずっとやってきた自分にとっては卓レポのようなメディアが卓球の先生でした。彼らが上達の歓びを教えてくれたから、卓球が楽しくのめり込んでいきました。
    先生は引退するわけじゃない。ただ、活躍の方法を少し変えるだけ。また新しい形で、我々卓人を導いてくれるはずです。

    • Kさん
      本当にその通りですね。
      全国津々浦々、指導者のいないところにも卓レポ先生はいた。先生の教え子は数え切れない。まだまだ教えを請う子供たちはたくさんいる。これからは新しいカタチで指導を続けてくれるだろう。
      そんな思いでいっぱいです。
      少し休憩したらまた走り出してくれるでしょうから、楽しみに待ちたいですね!

  • 卓球レポート残念ですね。寂しいです。
    話変わりますけど、少年J誌で卓球漫画の連載が始まりましたね。多くの人に卓球の楽しさ、奥深さが伝わるよう期待します。

    • ペンカットさん
      これほど休刊を惜しまれる雑誌というのもあまりないでしょうね。
      改めてその愛されぶりに驚かされます。
      卓球漫画が始まったんですか!?
      少年J誌というと、あのモンスター誌!?
      これはまた話題になりそうですね!

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