初めての東京選手権観戦 ~お金を払ってでも観る価値のある小中学生。そして謎の金髪ペン少年に大興奮~

 

昨日、東京選手権の最終日に行って来た。

全日本選手権には欠かさず足を運んでいるんだけれど、東京選手権は初観戦。
驚くのが、開催期間が3月6日から11日までという長丁場ということ。
大会の前半は年代別での争い(なんと20種目)、そしてショービズの部(今回はボクシング元世界王者の長谷川穂積さんが参戦)が行われる。
そして後半戦は男女ダブルスと男女シングルス、さらにはカデットとジュニアの部まで行われるというてんこ盛り大会なのである。

で、最終日当日の私。
ほとんど寝ずに早起きし、10時前に東京体育館に到着。1000円で当日券を購入。

まだ観客はほとんどいない。
適当な席に座ると、周りには卓球界の有名な人たちが何人もいて、最も驚いたのは、90年代の日本代表として活躍した、レジェンド・遊澤亮さんがいたこと。

わおわお、なんて1人で興奮していると、さっそく試合が始まったわけだが、全日本と比べて台数が多く、注目選手がどこでやっているのか非常にわかりづらい。
私は常に会場を移動しながら、面白い試合はないかと探しながらの観戦となった。

 

で、何気なく歩いていると、私はある選手を発見して、思わず叫びそうになった。
明徳義塾中の手塚崚馬選手である。

昨年の全中で、愛工大附属勢を5連破して日本一となったミラクルボーイであるが、何が注目かというと、その独自のプレースタイルである。
両面裏ソフトでありながら、ミート打ちを多様する「前陣速攻スタイル」という、生粋のミート系男子なのである。

【手塚選手がらみの過去記事】
ミート打ちを軽んじるなかれ ~日本卓球人のDNAに染み込む最強の技術~

この型破り卓球をする手塚選手の情報を卓球王国で得て、そのプレーが観たくて観たくてしょうがない状態であった私は、
あはん! 手塚くんがいる!
と大興奮し、至近距離でガン見できる席に移動した。

結論から言いますね。
「中学生の試合でこれほど感動したのは初めて」というくらい感動した。

叩いて叩いて叩きまくるその打ちっぷりの見事さよ。

まずフォアであるが、コンパクトなスイングで強烈な打球を放っていたが、ほとんど手打ちなんじゃないかという打ち方も多く、それでも安定して入るという精度に驚かされた。
ミマパンチのような感じでパンパン弾きまくるのである。

張本くんのミート打ちは「張パンチ」なので、手塚くんのは「手パンチ」と勝手に名付けようと思ったが、なんだか「手」と「パンチ」がくっ付くとややこしいので却下。

で、バックハンドはどんなふうに打つのかと注目すると、バックもバチバチに速射砲のごとく弾きまくるという戦法。
完全に「バック表」の打ち方であって、よく裏でそこまで弾きまくれるもんだと感心するくらいバックハンドも凄かった。

手塚くんの試合を観られただけでも来た甲斐があったと思った。
冗談抜きにそれくらい感動した。

驚異のライジング卓球
無事に手塚くんは勝利して、次の試合も楽しみだなぁ、なんて幸せに浸っていると、私が最も注目する宇田幸矢選手の試合が始まっているのに気づいて、慌てて移動。

東京選手権のチケットは1000円の自由席のみで、全日本だと「S席」となる座席にも座れるので、アリーナ席並みの至近距離で試合を観られるのも嬉しいポイント。
んなわけで、間近で宇田選手の試合を観戦したわけであるが、その超高速のライジング卓球に心底シビレた。

特にチキータを含めたバックハンドのハイスピードぶりは圧巻である。

こんなにカッコいい卓球をする選手が日本にいるだろうかと思うくらいカッコよかった。

宇田選手はこの日の初戦(7回戦)で韓国選手を下し、かなり好調のように見えたが、次の準々決勝で明治大の龍崎選手に敗れてしまった。

あまりにリスクが高いプレースタイルだから、勢いに乗ったら止められないけれど、入らなくなると崩れやすい印象で、まだちょっと安定性に欠ける部分はあるのかもしれない。
だけども、これで安定感が増してくると、とんでもない怪物になるはずである。

しかも目の前で見ると、なかなか筋肉質な身体で、16歳にしてはパワーがあると感じた。
本格的なウェイトトレーニングを積んで身体を鍛え上げたときの「パワー&ライジング」の卓球がどんなことになるのか楽しみである。

ペンホルダー界のホープ発見
宇田選手の試合のあとに、またウロチョロしておったら、またまた驚きの選手を発見した。

松生TTCの前出陸杜選手(全日本カデット2位)である。

以前コチラの記事→(卓球王国を読む 2017年4月号)でも触れたが、小学生ながら180gを超えるラケット(中ペン裏裏)をブンブン振り回すというペン少年に、私は注目しておったのである。

前出くんも出てたんかい!
と私は大興奮し、さっそく至近距離でガン見。

両ハンドでドライブとミート打ちを使い分け、気迫溢れるプレーでガンガン攻め立てる卓球。
いやもうね、言葉にならんくらい個性的で面白い卓球であった。

現在は中学1年生の前出くんであるが、ラバーは両面にMAXを貼っているらしく、さぞかし中学生離れしたパワーがあるんだろうと思っていたが、実際に見るとかなり小柄だったので驚いた(150cmちょうどくらいかな)。

でも台から下がっても両ハンドでガンガン打ち合ってたからねぇ。驚愕のペン少年ですよ、ほんとに。

ちなみに今大会はベスト16か8あたりで負けてしまったが、これからが本当に楽しみな選手である。

金色(こんじき)のペン少年
今大会はとにかくペン選手が多かった。
前出くんもそうだが、松下大星選手や明徳義塾中の斉藤秀太(中ペン裏裏)選手、さらにはペン表のカデット選手もいたし、ペンのサウスポー韓国選手もいた。

他にも何人もペン選手がいて、ペン好きの私は存分に楽しんでいたわけであるが、そんな中で、遠くのコートでプレーしているペン選手をまたまた発見した。
どうもカデットの選手っぽいのだが、なんだか他の選手と雰囲気が違うなと思ったら、どうやら金髪のようなのだ。

カデット選手で金髪ってどういうこと?
学校で怒られないのか?
それとも大人なのか?

居ても立ってもいられず、私は近づいていって、よくよく見てみると、なんと外国人(欧米系)の少年であった。

とっても小さな少年が中ペン(裏裏)をブンブン振り回している。

いったい誰?
国内のクラブに所属する選手なら注目されているはずだが、まったく知らない。

謎のペン少年は残念ながら負けてしまったが、かなりのレベルであった。
さっそく貼り出されているトーナメント表を確認しにいってみると、男子カデットの中にアルファベット表記の選手が2人いて、所属が「フランス卓球連盟/フランス」と書いてある。

これだな。

女子カデットを見ると「フランス卓球連盟/フランス」「ナショナルチーム/フランス」という選手がいて、どうやら招待されてやってきたフランスチームのようである。

なるほど、フランスの少年だったのか。

それにしても、ペンをチョイスするとは、素晴らしい。
中学生なのか小学生なのかわからないけれど、現在このレベルであれば、将来はなかなか期待できるのではないだろうかと思う。

フランス代表となって、前出くんとのペン対決なんてのをやってもらいたいよね。

 

まあそんなわけで、こんな感じの東京選手権だったのだが、とにかく、個性的な選手の試合は飽きない。
ずっと観ていられる。

個性的と言えば、「4面打法」という超トリッキープレーでお馴染みの、最強女子ペン粒の松島由佳選手(御影高)もいた。
女子ジュニア4回戦で敗退したが、対戦相手がこれまた超個性的な「フォア変化系ラバーのカットマン」の相馬夢乃選手(新発田ジュニア)という、超個性派対決のドリームマッチも実現した。

【過去記事】
大注目のフォア変化系カットマン ~個性的な戦型でトップ選手になるということ~

 

そんなわけで、観たいと思っていた次世代の個性派プレーヤーのほとんどを観られて、大満足の東京選手権。

あとは、日本一の個性派ペン少女の小塩悠菜選手が観たいね。

どこかでひょっこり観られること願いながら——。

【関連記事】
特殊な握りの小学生ペンホルダーチャンピオン ~ボクシング界に取られたくない逸材~

 

10 件のコメント

  • うわぁ、なんて楽しそうな大会。
    完全にノーチェックでした。
    若手にペンホルダー選手なんて絶滅したかと思ってましたが、進化した次世代ペンホルダーがたくさん生まれてたのですね。
    要チェキです!

    • つぐさん
      そうなんですよ!
      私も予想外の楽しさに驚きました。
      これで1000円はお得です。
      意外にスルーしている人が多い大会だと思いますが、行ったらハマるかもしれません。
      お気に入りのペンキッズがきっと見つかりますよ(笑)

    • Kさん
      まさにその言葉がぴったりですね。
      「個性」だけならわりといますが、「強さ」も備えた個性派はなかなかいませんよね。
      私自身は、もちろん「個性だけ」です・・・(ペン表ってだけですが)笑

  • いろんなカテゴリーがあって、お祭りみたいな大会ですね。
    観戦もしてみたいですが、出場してみたくなりました。

    • すんさん
      いやほんとに、卓球祭りって感じです 。
      「80代後半の部」もありますからね。
      私も出場してみたいと思いましたが、いま出てもコテンパンにやられるので、60歳を過ぎたら挑戦したいです 笑

  • 選手はもちろん真剣に取り組んでいるんでしょうが、見ているこちらからするとまさしくお祭りのような大会ですね(笑)
    自分はこの大会の存在すら知りませんでしたが、いつかは観戦しに行きたいものです。

    • 卓球主義さん
      まさにカオスな大会です(笑)
      観戦している方はお気楽ですが、全日本並みの激しい戦いが繰り広げられている熱い大会なんですよ。
      これだけレベルの高い大会なのに、コアな卓球ファンにもあまり知られていないというのはもったいないですよね。
      東京選手権の宣伝大使になりたいくらいです(笑)

  • 東京選手権といえば、ほんの10年くらい前までは、ブーム前の全日本と同じくらい(2階席が埋まるくらい)には、人が入ってたのに、最近はマイナーな、単なる大規模オープン大会になってしまって、あまり一般受けせず、つまらなくなりました。
    (その代わり、今回のような、コアなファンにはたまらないんでしょうがww)

    このコメント欄を読んでも、「ああ、やっぱりその程度の認知度なんだ」と、あらためて思いましたね(笑)。

    選手も、学生ばかり。今回の決勝の2人、そりゃまあ確かに、強いのは分かるけど・・・

    昔は、全日本に出ていたメンツが、ほぼそのまま出ていましたし、それに加えて、全日本に出られない助っ人中国人や、留学生が出ていたので、むしろ全日本よりもレベルが高かったくらいなのに・・・
    凋落が激しすぎます(笑)。

    narukoさんみたいな、独自の楽しみ方が無い人には、ちょっと千円払うのは・・・と思っちゃいます。

    以上、中学生の頃から、東京選手権に毎年20年近く通っている愛好家のグチでした。
    気を悪くされたらすみませぬ。

    追伸
    私も手塚君にはビックリしました。プレーはもちろんですが、試合前の練習も、ドライブ打たずにミートだけでしたもんね。相手やりにくそうでした。

    • ぽっちぃさん
      昔はそんなに盛り上がっている大会だったんですね。
      いや、驚きました。
      そのレベルを知っている方からすれば確かに物足りないかもしれないですね。
      私みたいなマニアックファンにはたまらない大会でしたが(笑)
      中高生の試合を楽しむという新たな観戦文化としての東京選手権はかなり価値が高いのかなとは思います。

      手塚くんのプレーは普通のフォア打ちでも興奮しちゃいますね(笑)
      やはりマニアにはたまらない大会ということですねw

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