卓球レポートを読む 2018年2月号

 

今月号は、全日本選手権の決勝を観戦後、国際卓球高田馬場店にて購入し、速攻で読み倒しました。

 

寡黙な先駆者

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【カラー特集】
強くなりたい君へ。
岸川聖也からの5つのメッセージ
【インタビュー】
岸川聖也
開拓者の静かなる矜持

私が現役選手の中で最も好きな岸川聖也選手の特集ということで、のっけからワクワクしっぱなしであった。

今の日本人選手は両ハンドドライブをガンガン振っていくプレースタイルが当たり前のようになっているが、この先進的なプレーの起源は岸川選手と言っても過言ではない。
後輩たちは岸川兄さんのプレーを模範に両ハンドの技術を磨き、世界に通用する選手へと成長していったのである。
そんな岸川アニキが、5つの視点から強くなるためのポイントを語る、という企画である。

5つのメッセージとはコチラ

・技術についてのメッセージ
・練習についてのメッセージ
・戦術についてのメッセージ
・心構えについてのメッセージ
・用具についてのメッセージ

日本卓球界の新たな歴史を切り開いてきたパイオニアからの熱いメッセージ、身体が火照っちゃうくらい、充実の内容であった。

そしてインタビューでは、今年で30歳を迎えた岸川選手に、これまでの卓球人生を振り返ってもらいながら、その胸に秘めた矜持を探っていく。

岸川選手が中学生の頃の日本男子卓球界は低迷期を迎えており、日本では強くなる練習環境が整っていなかった。
そこで岸川選手が選んだのは「ドイツ留学」という道。青森山田高の3年生だった坂本竜介選手と一緒に、15歳でドイツに渡ったのである。

「当時の僕に自分の思いがあったとすれば、『強くなりたい』という気持ちだけです。他のことは考えなかったというより、考える力がなかった。まだ、15歳でしたから。坂本さんとデュッセルドルフのアパートで共同生活を始めたのですが、卓球の練習をしている時以外は、坂本さんに頼ってばかりだったのを覚えています」

そして練習の拠点をデュッセルドルフにおきながら、ブンデスリーガ3部のアマチュアチームでプレーすることになる。
スター選手集団であるデュッセルドルフとも練習する機会があったそうだが、レベルが違い過ぎて、まともな練習相手にならなかったという。

「当時の僕からしたら、彼らの練習を見ているだけで強くなれるような環境でした。普段は3部や2部の選手と練習していたのですが、たまに、10分か20分だけ、デュッセルドルフの選手と一緒に練習させてもらえることがありました。
(中略)
彼らの練習の邪魔にならないように、少しでもいいボールを返そうとするのですが、めちゃくちゃ緊張してしまって・・・・・・。メイスなんかは感情の起伏が激しくて、時には卓球台を蹴ったりするので怖かったですね(笑)」

こんな状態からスタートして、その後、ブンデスリーガに所属する日本人選手として初めてヨーロッパチャンピオンズリーグ制覇を含む3冠にチームを導く活躍を見せるのだからビックリである。
そして日本人初のインターハイの男子シングルス3連覇の偉業や、全日本選手権や世界選手権の活躍へと繋がっていく。

しかし岸川選手の場合、そうした活躍以上に、新しいプレースタイルを日本に持ち込んだ「開拓者」としての役割こそが、日本の卓球界に対する最も大きな貢献なのである。

インタビューでは、水谷選手のこと、今どのような気持ちでラケットを握っているのか、そしてこれからの卓球に対するモチベーションなども語られており、私のような岸川ファンには必読の内容となっている。

決してお喋りではなく、寡黙な印象のある岸川選手だが、そういうところが私は好きなのである。
多くを語らず、創造性あふれるプレーでその生き様を見せるカッコよさ。

ベテランとして、これからどんな最終章を見せてくれるのか、この特集を読んで、ますます楽しみになった。

 

カウンタードライブの秘訣

もう1つの目玉企画はコチラ

【技術特集】
世界の技から学ぶ!
カウンタードライブ

現代の最先端ドライブ卓球の中でも、カウンタードライブは最も重要と言える技術ではなかろうか。
一般レベルの選手がやるにはかなり難しい技術ではあるが、それゆえにマスターできれば大きなアドバンテージとなるだろう。

今回の世界の技シリーズでは、世界卓球2017で撮影した連続写真の中から、トップ選手たちがフォアハンドでカウンタードライブしているシーンを厳選して紹介し、そのポイントを解説している。

登場するのは樊振東、ボル、馬龍の3選手。

いくつかのポイントを紹介しているが、ちょこっとだけ抜粋。

ドライブに合わせるのではなく 自分の力をしっかり使うことが カウンタードライブを決める秘訣
相手のドライブに対して振り遅れないようコンパクトに準備したら、早い打球点を狙って、ラケットを斜め上にしっかり振り抜くことがスイングのポイント。ボールの正面より少し上を狙って、相手のドライブに合わせるのではなく、自分の力でドライブをかけ返すイメージで打球しよう。そうすると、相手のドライブの威力を抑えつつ、打球に威力を出すことができる。
一方、相手のドライブに合わせるような小さな振りでは、ドライブに押されやすい上に、仮に打球が相手コートに入ったとしても威力が出ない。時間の余裕がない中でも「可能な限りラケットを振り抜く」ことを心掛けよう。
(後略)

 

確かにカウンターする時ってついつい合わせにいってしまうんだよね・・・。
「バックスイングはコンパクト、そしてそこからしっかり振り抜く」ってことが大事。
うん、これはしっかり頭に叩き込んでおかなければいけないポイントである。

中国選手のようなえげつない剛腕カウンターは無理でも、一般レベルなら十分に通用するヨチヨチカウンターくらいはマスターしたいものですな。

 

2月号の大きな企画はこの2つであったが、他にも、ワールドツアー・グランドファイナルの大会報道や、世界ジュニアで彗星のごとく現れたスウェーデンのモアガルドの「自由すぎるサービス」の紹介など、見逃せない企画がいくつもある。

休刊まであとわずかとなったが、来月号も期待して待ちたい。

以上、2月号でした。

 

4 件のコメント

  • 『世界最強 中国卓球の秘密』だったかな?たしかあの本で「快帯(早い打点でコンパクトに鋭く振り抜くカウンター)」ってのが紹介されてましたが、あれがより威力を出しに行く方向に進化してるように感じます。

    • Kさん
      あっ、そう言えば「快帯」ってあったような気がします。中国語はうまいこと表現しますよね。
      カウンタードライブはここ数年で劇的に進化した技術じゃないでしょうか。
      さらに進化したらどえらいことになりそうですねw
      中国のカウンタードライブに対抗するにはミマパンチみたいなミート打ちじゃないかと思います。

  • 僕も岸川選手大好きです。
    まだまだあの華麗な両ハンド卓球が見たいですね。
    あれほどセンスを感じさせる選手というのもめったにいるものではありません。

    • ラケットマンさん
      ほんとにあのオールラウンドプレーは惚れ惚れしますよね!
      和製ワルドナーだと思います。
      T リーグでの活躍を期待したいです。

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