12日(日)に放送された「ネオスポ」(テレビ東京)の特集コーナーで、伊藤美誠選手が取り上げられていた。
中学生で世界卓球の代表に選ばれた、卓球界でいま最も注目を集める14歳の伊藤。
ドイツオープンで最年少優勝を果たし、世界ランキングもグッと上がって現在15位!
日本勢の中でも4番手につけているわけだが、これがどれだけ凄いことかおわかりでしょうか?
同じ14歳で初めて世界卓球に出場したあの福原愛ちゃんは、当時の世界ランキングは91位だったんですよ。
ね、15位ってエグイでしょ。
番組の特集は、伊藤美誠はなぜそんなに強いのか、その秘密に迫るという内容。
ドイツオープン優勝から2日後、遠征先のホテルにカメラが潜入すると、机の上には学校の宿題があった。
スタッフ「いつやるの?」
伊藤「試合がない日なので、今日とか明日とかないから、そのとき結構やってます」
浮世離れした強さを持ってはいるが、やはり普段は普通の中学生なんだね(当たり前だ)。
そんな伊藤の身長は153cm。
卓球というスポーツは、なぜこんな小さな身体の14歳が活躍できるのか?
その理由を語るのは、卓球前日本男子代表監督の宮崎義仁さん。
宮崎「卓球というのは100mを走りながらチェスをするような競技。予測が優れていれば優れてるほど勝ちやすい。反射神経や敏しょう性は12歳がピークと言われていて、その12歳までにいかに伸ばすか。小学生、中学生の低学年が一般の大人を負かしてもまったく不思議じゃない」
反射神経や敏しょう性が人一倍優れていることが伊藤の強さの秘密なのだ。
余談であるが、伊藤の身長(153cm)は野口英世と同じである(余談中の余談だな)。
そしてもうひとつ、伊藤には他の選手とは違う特徴がある。
宮崎「みなさんが使わないラバーを使っている」
伊藤は2歳から母親の勧めでバック面は表ソフトラバーを使っているという。
母親「性格的におもしろい卓球が好きだったり、あとは手先も器用だったということと、あと反射神経もすごい良かったので、表使ったらおもしろいかなという感じがあった」
わずか2歳で手先の器用さと反射神経の良さを見抜くお母さんの目利きがあったからこその今の戦型だったのだ。
表ソフトを応援する私としては、お母さんに拍手を送りたい。
天性の素質を持つ伊藤であるが、なんと幼稚園の頃から深夜の2時まで練習していたというのだから、お口あんぐりである。
N:幼い頃からの猛特訓で、難しいつぶつぶラバーを自分のものにした美誠ちゃん。このラバーの力が最も発揮されたのがドイツオープンの準決勝でした。相手はなんとロンドンオリンピックの銅メダリスト。美誠ちゃんのつぶつぶラバーから繰り出される特殊な軌道のボールに相手はまったく対応できず、なんとストレート勝ちを果たしたのです。
この特集は「強さの秘密はウラガワ」と題していた。
ウラガワとは表ソフトラバーのこと。
番組内では、表ソフトのことを「つぶつぶラバー」と表現しており、「表ソフト」という言葉は一度も出てこなかった。
「ウラガワが表」という表現では、卓球に詳しくない人にはややこしくて意味がよくわからないからね。
それはいいとして、私が感心したのは、ラバーに注目したという点である。
特集では、使うのが難しい表ソフトラバーを、伊藤は厳しい特訓によって使いこなせるようになったという視点で、その強さの秘密を解き明かしていた。
卓球選手を取り上げる番組はけっこうあるが、ラバーについて詳しく解説するといったことはあまりない。
そうした卓球のマニアックな部分に焦点を当てるとは、さすが世界卓球を一週間ゴールデンタイムに放送するテレ東さんである。
目のつけどころが違いますな。
ラバーやラケットの種類、戦型がたくさんあるといったような、一般的に知られていない卓球の深い知識をテレビでもっと紹介してもらいたいと、私は常々思っている。
他のラケット競技と比べた時、明らかに他とは違う独自の面白さ・難しさが卓球にはある。
そこを知ってもらえれば、少しでも卓球に興味が湧いて、ちょっと観てみようかな、やってみようかな、となってくれるかもしれない。
カットマンなんて他のラケット競技では不可能な戦型であり、素人が観てもその打ち方が独特なのがわかる。
テレ東さん、次はぜひカットマンを特集してもらえないだろうか。
そのためにはカットマンが日本代表に入っている、或いはカットマンのスーパーキッズが現れないといけないのだろうが、数は少なくとも、男女ともに良いカットマンはいるし、今後もすごいカットマンが現れる可能性は大いにある。
カットマン特集は夢ではない。
そう、憂うべきはペン表である。
現役時代にペン表であった私は、「ペンオモ」の復活を胸を焦がしに焦がして待ちわびておるのです。
「ペン表ソフト速攻型の天才小学生 強さの秘密!!」
なんていう企画は、いったいいつのことになるのやら……。
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